序論
本章では、スキームの極限に関する事項をまとめる。主として、 アフィン推移射をもつ有向集合上の逆系 (Categories, Definition 00D3) の極限を研究する。絶対 Noether 近似について論じる。 基底上局所有限表示なスキームを、それに付随する点函手が 極限を保存するものとして特徴づける。絶対 Noether 近似の応用として、 整射によるアフィンスキームの像がアフィンであることを証明する。 さらに、Chow の補題のいくつかの非常に一般的な変種を証明する。 基本的な参考文献は [EGA] である。
アフィン推移射をもつスキームの有向逆極限
本節では極限を構成する。
補題
\(I\) を有向集合とする。\((S_i, f_{ii'})\) を \(I\) 上の スキームの逆系とする。すべてのスキーム \(S_i\) がアフィンならば、 極限 \(S = \lim_i S_i\) はスキームの圏において存在する。 実際、\(S\) はアフィンであり、\(S = \Spec(\colim_i R_i)\) である。 ここで \(R_i = \Gamma(S_i, \mathcal{O})\) とする。
証明
\(S = \Spec(\colim_i R_i)\) と定めればよい。 Schemes, Lemma 01I1 から、\(S\) は局所環付き空間の圏においてさえ極限であることが従う。
補題
\(I\) を有向集合とする。\((S_i, f_{ii'})\) を \(I\) 上の スキームの逆系とする。すべての射 \(f_{ii'} : S_i \to S_{i'}\) がアフィンならば、極限 \(S = \lim_i S_i\) は スキームの圏において存在する。さらに、
各射 \(f_i : S \to S_i\) はアフィンであり、
元 \(0 \in I\) および任意の開部分スキーム \(U_0 \subset S_0\) に対して \[f_0^{-1}(U_0) = \lim_{i \geq 0} f_{i0}^{-1}(U_0)\] がスキームの圏において成り立つ。
証明
元 \(0 \in I\) を選ぶ。極限が有向なので \(I\) は空でないことに注意する。 各 \(i \geq 0\) に対し、\(\mathcal{O}_{S_0}\)-代数の準連接層 \(\mathcal{A}_i = f_{i0, *}\mathcal{O}_{S_i}\) を考える。 Morphisms, Lemma 01S8 を参照すれば、\(S_i = \underline{\Spec}_{S_0}(\mathcal{A}_i)\) である。 \(\mathcal{A} = \colim_{i \geq 0} \mathcal{A}_i\) とおく。 これは \(\mathcal{O}_{S_0}\)-代数の準連接層である。 Schemes, Section 01LA を参照せよ。 \(S = \underline{\Spec}_{S_0}(\mathcal{A})\) とおく。 Morphisms, Lemma 01SA により、各 \(i \geq 0\) について推移射と両立する射 \(f_i : S \to S_i\) を得る。たとえば Morphisms, Lemma 01SG により、射 \(f_i\) はアフィンである。 上の Lemma 01YW から、任意のアフィン開集合 \(U_0 \subset S_0\) に対して、逆像 \(U = f_0^{-1}(U_0) \subset S\) は、開集合の系 \(U_i = f_{i0}^{-1}(U_0)\)(\(i \geq 0\))のスキームの圏における極限である。
\(T\) をスキームとする。\(g_i : T \to S_i\) を両立する射の系とする。 \(S = \lim_i S_i\) を示すには、一意な射 \(g : T \to S\) が存在して \(g_i = f_i \circ g\) をすべての \(i \in I\) に対して満たすことを 証明しなければならない。 各 \(t \in T\) に対し、\(U_0 \subset S_0\) を \(g_0(t)\) を含む アフィン開集合とする。\(V \subset g_0^{-1}(U_0)\) を \(t\) を含む アフィン開近傍とする。 上の議論により、一意な射 \(g_V : V \to U = f_0^{-1}(U_0)\) であって、 \(f_i \circ g_V = g_i|_{U_i}\) をすべての \(i\) に対して満たすものを得る。このように構成された 開集合 \(V \subset T\) は \(T\) の位相の基をなす。一意性により、 射 \(g_V\) は射 \(g : T \to S\) に貼り合わさる。これが求める射 \(g : T \to S\) である。
最後の主張は、上の極限の構成から明らかである。
補題
\(I\) を有向集合とする。 \((S_i, f_{ii'})\) を \(I\) 上のスキームの逆系とする。 すべての射 \(f_{ii'} : S_i \to S_{i'}\) がアフィンであると仮定し、 \(S = \lim_i S_i\) とする。\(0 \in I\) とする。 \(T\) を \(S_0\) 上のスキームとする。このとき \[T \times_{S_0} S = \lim_{i \geq 0} T \times_{S_0} S_i\] である。
証明
右辺は Lemma 01YX によりスキームである。等式は形式的に従う。 Categories, Lemma 002M を参照せよ。
無限積
スキームの無限積は一般には存在しない。たとえば Examples, Section 078E では、\(\mathbf{P}^1\) の無限個のコピーの積は 代数空間ですらないことが示されている。
一方、アフィンスキームの無限積は存在し、しかもアフィンである。 Schemes, Lemma 01I1 を用いると、 これは環の圏に無限余積が存在することに対応する。すなわち、 \(I\) を集合とし、\(R_i\) を各 \(i\) に対する環とすると、環 \[R = \otimes R_i = \colim_{\{i_1, \ldots, i_n\} \subset I} R_{i_1} \otimes_\mathbf{Z} \ldots \otimes_\mathbf{Z} R_{i_n}\] を考えることができる。別の環 \(A\) が与えられたとき、写像 \(R \to A\) は、環写像 \(R_i \to A\)(\(i \in I\))の族と 同じものである。これは有限テンソル積の 対応する性質から従う。
補題
\(S\) をスキームとする。\(I\) を集合とし、各 \(i \in I\) に対して \(f_i : T_i \to S\) をアフィン射とする。このとき、積 \(T = \prod T_i\) は \(S\) 上のスキームの圏において存在する。実際、 \[T = \lim_{\{i_1, \ldots, i_n\} \subset I} T_{i_1} \times_S \ldots \times_S T_{i_n}\] であり、射影射 \(T \to T_{i_1} \times_S \ldots \times_S T_{i_n}\) はアフィンである。
証明
省略する。ヒント:補題の前の議論と同様に論じ、 極限の存在には Lemma 01YX を用いよ。
補題
\(S\) をスキームとする。\(I\) を集合とし、各 \(i \in I\) に対して \(f_i : T_i \to S\) を全射なアフィン射とする。このとき、積 \(T = \prod T_i\)(Lemma 0CNI)は、 \(S\) 上のスキームの圏において \(S\) へ全射的に写る。
証明
\(s \in S\) とする。点 \(t_i \in T_i\) で \(s\) に写るものを選ぶ。 巨大な体拡大 \(K/\kappa(s)\) であって、\(\kappa(s_i)\) が \(K\) に 各 \(i\) について埋め込まれるものを選ぶ。このとき、射 \(\Spec(K) \to T_i\) で像が \(s_i\) であるものを得、それらは \(S\) への射として一致する。 従って射 \(\Spec(K) \to T\) が得られ、これにより \(T\) の点で \(s\) に写るものが存在することが示される。
補題
\(S\) をスキームとする。\(I\) を集合とし、各 \(i \in I\) に対して \(f_i : T_i \to S\) を整射とする。このとき、積 \(T = \prod T_i\) (Lemma 0CNI)は、\(S\) 上の スキームの圏において \(S\) 上整である。
証明
省略する。ヒント:アフィン部分上では、次の代数的事実に帰着する。 \(A \to B_i\) がすべての \(i\) に対して整ならば、 \(A \to \otimes_A B_i\) は整である。
性質の降下
まず、極限の位相を記述するいくつかの基本補題を与える。
補題
\(S = \lim S_i\) を、アフィン推移射をもつスキームの有向逆系の極限 (Lemma 01YX)とする。このとき \(S_{set} = \lim_i S_{i, set}\) である。ここで \(S_{set}\) は スキーム \(S\) の基礎集合を表す。
証明
\(i \in I\) をとる。アフィン開集合 \(U_i \subset S_i\) をとる。 \(U_{i'} = f_{i'i}^{-1}(U_i)\) および \(U = f_i^{-1}(U_i)\) と書く。 ここで \(f_{i'i} : S_{i'} \to S_i\) は推移射、 \(f_i : S \to S_i\) は射影である。 Lemma 01YX により \(U = \lim_{i' \geq i} U_i\) である。 \(U_{set} = \lim_{i' \geq i} U_{i', set}\) を示せたと仮定する。 このとき、\(S_i\) のアフィン被覆を用いる簡単な議論から補題が従う。 従って、すべての \(S_i\) と \(S\) がアフィンであると仮定してよい。 これにより、次の段落で考える代数的問題に帰着する。
環の系 \((A_i, \varphi_{ii'})\) が \(I\) 上で与えられたとする。 \(A = \colim_i A_i\) とおき、標準写像を \(\varphi_i : A_i \to A\) とする。 このとき \[\Spec(A) = \lim_i \Spec(A_i)\] である。実際、素イデアル \(\mathfrak p_i \subset A_i\) が与えられ、 \(\mathfrak p_i = \varphi_{ii'}^{-1}(\mathfrak p_{i'})\) が すべての \(i' \geq i\) に対して成り立つとする。このとき単に \[\mathfrak p = \{x \in A \mid \exists i, x_i \in \mathfrak p_i \text{ with }\varphi_i(x_i) = x\}\] とおく。これがイデアルであり、 \(\varphi_i^{-1}(\mathfrak p) = \mathfrak p_i\) を満たすことは明らかである。 さらに、これが素イデアルでもあることが容易に従う。
補題
\(S = \lim S_i\) を、アフィン推移射をもつスキームの有向逆系の極限 (Lemma 01YX)とする。このとき \(S_{top} = \lim_i S_{i, top}\) である。ここで \(S_{top}\) は スキーム \(S\) の基礎位相空間を表す。
証明
Topology, Lemma 0A2Q の判定法を用いる。 Lemma 0CUE において \(S_{set} = \lim_i S_{i, set}\) を見た。 写像 \(f_i : S \to S_i\) はスキームの射であり、従って連続である。 従って \(f_i^{-1}(U_i)\) は、各開集合 \(U_i \subset S_i\) に対して開である。 最後に、\(s \in S\) とし、\(s \in V \subset S\) を開近傍とする。 \(0 \in I\) を選び、アフィン開近傍 \(U_0 \subset S_0\) であって \(s\) の像を含むものを選ぶ。このとき \(f_0^{-1}(U_0) = \lim_{i \geq 0} f_{i0}^{-1}(U_0)\) である。 Lemma 01YX を参照せよ。 さらに、\(f_0^{-1}(U_0)\) と \(f_{i0}^{-1}(U_0)\) はアフィンであり、 \[\mathcal{O}_S(f_0^{-1}(U_0)) = \colim_{i \geq 0} \mathcal{O}_{S_i}(f_{i0}^{-1}(U_0))\] である。これは Lemma 01YX の証明から、または Lemma 01YW から従う。 \(a \in \mathcal{O}_S(f_0^{-1}(U_0))\) であって \(s \in D(a) \subset V\) を満たすものを選ぶことができる。 実際、主開集合はアフィンスキーム \(f_0^{-1}(U_0)\) の位相の基をなす。 次に、\(i \geq 0\) と、元 \(a_i \in \mathcal{O}_{S_i}(f_{i0}^{-1}(U_0))\) で \(a\) に写るものを 選ぶことができる。 従って \(D(a_i) \subset f_{i0}^{-1}(U_0) \subset S_i\) は、 \(S\) における逆像が \(D(a)\) である開部分集合である。これで証明が完了する。
補題
\(S = \lim S_i\) を、アフィン推移射をもつスキームの有向逆系の極限 (Lemma 01YX)とする。 すべてのスキーム \(S_i\) が空でなく準コンパクトならば、 極限 \(S = \lim_i S_i\) は空でない。
証明
\(0 \in I\) を選ぶ。極限が有向なので \(I\) は空でないことに注意する。 アフィン開被覆 \(S_0 = \bigcup_{j = 1, \ldots, m} U_j\) を選ぶ。 \(I\) は有向であるから、ある \(j \in \{1, \ldots, m\}\) が存在して、 \(f_{i0}^{-1}(U_j) \not = \emptyset\) がすべての \(i \geq 0\) に対して成り立つ。従って \(\lim_{i \geq 0} f_{i0}^{-1}(U_j)\) は空でない。実際、非零環の 有向余極限は非零である(\(1 \not = 0\) だからである)。 \(\lim_{i \geq 0} f_{i0}^{-1}(U_j)\) は極限の開部分スキームなので、結論を得る。
補題
\(S = \lim S_i\) を、アフィン推移射をもつスキームの有向逆系の極限 (Lemma 01YX)とする。 \(s \in S\) とし、その像を \(s_i \in S_i\) とする。このとき
スキームとして \(s = \lim s_i\)、すなわち \(\kappa(s) = \colim \kappa(s_i)\) であり、
集合として \(\overline{\{s\}} = \lim \overline{\{s_i\}}\) であり、
スキームとして \(\overline{\{s\}} = \lim \overline{\{s_i\}}\) である。 ここで \(\overline{\{s\}}\) と \(\overline{\{s_i\}}\) には 被約誘導スキーム構造を入れる。
証明
\(0 \in I\) とアフィン開被覆 \(S_0 = \bigcup_{j \in J} U_{0, j}\) を選ぶ。 \(i \geq 0\) に対して \(U_{i, j} = f_{i, 0}^{-1}(U_{0, j})\) とし、 \(U_j = f_0^{-1}(U_{0, j})\) とおく。 ここで \(f_{i'i} : S_{i'} \to S_i\) は推移射、 \(f_i : S \to S_i\) は射影である。 \(j \in J\) に対し、次の条件は同値である: (a) \(s \in U_j\)、(b) \(s_0 \in U_{0, j}\)、 (c) \(s_i \in U_{i, j}\) がすべての \(i \geq 0\) に対して成り立つ。 (a), (b), (c) が成り立つ添字の集合を \(J' \subset J\) とする。 このとき \(\overline{\{s\}} = \bigcup_{j \in J'} (\overline{\{s\}} \cap U_j)\) であり、 \(\overline{\{s_i\}}\) についても \(i \geq 0\) に対して同様である。 \(\overline{\{s\}} \cap U_j\) は集合 \(\{s\}\) の位相空間 \(U_j\) における閉包であることに注意する。同様に、 \(\overline{\{s_i\}} \cap U_{i, j}\) についても \(i \geq 0\) に対してそうである。 従って、\(S\) および \(S_i\) がすべての \(i\) に対してアフィンの場合に 補題を証明すれば十分である。これにより、次の段落で考える 代数的問題に帰着する。
環の系 \((A_i, \varphi_{ii'})\) が \(I\) 上で与えられたとする。 \(A = \colim_i A_i\) とおき、標準写像を \(\varphi_i : A_i \to A\) とする。素イデアル \(\mathfrak p \subset A\) をとり、 \(\mathfrak p_i = \varphi_i^{-1}(\mathfrak p)\) とおく。このとき \[V(\mathfrak p) = \lim_i V(\mathfrak p_i)\] である。これは Lemma 0CUE から従う。 なぜなら \(A/\mathfrak p = \colim A_i/\mathfrak p_i\) だからである。 この環の等式は、被約誘導スキーム構造についての最後の主張も 成り立つことを示す。等式 \(\kappa(\mathfrak p) = \colim \kappa(\mathfrak p_i)\) もこの主張から従う。
本節の残りでは、次の状況を考える。
設定
\(S = \lim_{i \in I} S_i\) を、アフィン推移射 \(f_{i'i} : S_{i'} \to S_i\) をもつスキームの有向系の極限 (Lemma 01YX)とする。 \(S_i\) はすべての \(i \in I\) に対して準コンパクトかつ準分離であると仮定する。 射影を \(f_i : S \to S_i\) と書く。また元 \(0 \in I\) を一つ選ぶ。
この状況では射 \(S \to S_0\) はアフィンである。従って \(S\) は 準コンパクトかつ準分離である1。 求めている結果の型は次の通りである:\(S\) 上に対象があれば、 ある \(i\) に対して \(S_i\) 上に同様の対象が存在する。
補題
Situation 086P のもとで、次が成り立つ。
\(S_{set} = \lim_i S_{i, set}\) である。ここで \(S_{set}\) は スキーム \(S\) の基礎集合を表す。
\(S_{top} = \lim_i S_{i, top}\) である。ここで \(S_{top}\) は スキーム \(S\) の基礎位相空間を表す。
\(s, s' \in S\) とし、\(s'\) が \(s\) の特殊化でないならば、 ある \(i \in I\) に対し、像 \(s'_i \in S_i\)(\(s'\) の像)は 像 \(s_i \in S_i\)(\(s\) の像)の特殊化ではない。
\(S\) の位相に関するさらに容易な事実をここに追加せよ。 (要件:追加するものはアフィンの場合に容易でなければならない。)
証明
(1) は Lemma 0CUE の特別な場合である。
(2) は Lemma 0CUF の特別な場合である。
(3) は Lemma 0CUG の特別な場合である。
補題
Situation 086P のもとで考える。 \(\mathcal{F}_0\) を \(S_0\) 上の準連接層とする。 \(\mathcal{F}_i = f_{i0}^*\mathcal{F}_0\) と \(i \geq 0\) に対しておき、 \(\mathcal{F} = f_0^*\mathcal{F}_0\) とおく。このとき \[\Gamma(S, \mathcal{F}) = \colim_{i \geq 0} \Gamma(S_i, \mathcal{F}_i)\] である。
証明
\(\mathcal{A}_j = f_{i0, *} \mathcal{O}_{S_i}\) と書く。 これは \(\mathcal{O}_{S_0}\)-代数の準連接層である (Morphisms, Lemma 01SA を参照)。 また \(S_i\) は \(\mathcal{A}_i\) の \(S_0\) 上の相対スペクトルである。 Lemma 01YX の証明では、 \(S\) を \(\mathcal{A} = \colim_{i \geq 0} \mathcal{A}_i\) の \(S_0\) 上の相対スペクトルとして構成した。 次のようにおく: \[\mathcal{M}_i = \mathcal{F}_0 \otimes_{\mathcal{O}_{S_0}} \mathcal{A}_i\] および \[\mathcal{M} = \mathcal{F}_0 \otimes_{\mathcal{O}_{S_0}} \mathcal{A}.\] このとき \(f_{i0, *} \mathcal{F}_i = \mathcal{M}_i\) および \(f_{0, *}\mathcal{F} = \mathcal{M}\) である。\(\mathcal{A}\) は層 \(\mathcal{A}_i\) の余極限であり、テンソル積は有向余極限と可換するので、 \(\mathcal{M} = \colim_{i \geq 0} \mathcal{M}_i\) と結論できる。 \(S_0\) は準コンパクトかつ準分離であるから、 \[\begin{eqnarray*} \Gamma(S, \mathcal{F}) & = & \Gamma(S_0, \mathcal{M}) \\ & = & \Gamma(S_0, \colim_{i \geq 0} \mathcal{M}_i) \\ & = & \colim_{i \geq 0} \Gamma(S_0, \mathcal{M}_i) \\ & = & \colim_{i \geq 0} \Gamma(S_i, \mathcal{F}_i) \end{eqnarray*}\] である。中間の等式については Sheaves, Lemma 009F および Topology, Lemma 0069 を参照せよ。
補題
Situation 086P のもとで考える。 各 \(i\) に対して、空でない閉部分集合 \(Z_i \subset S_i\) が与えられ、 \(f_{i'i}(Z_{i'}) \subset Z_i\) をすべての \(i' \geq i\) に対して満たすとする。 このとき、点 \(s \in S\) であって \(f_i(s) \in Z_i\) をすべての \(i\) に対して満たすものが存在する。
証明
\(Z_i \subset S_i\) に付随する被約閉部分スキームも \(Z_i\) と書く。 Schemes, Definition 01J4 を参照せよ。 閉埋め込みはアフィンであり、アフィン射の合成はアフィンである (Morphisms, Lemmas 01SE および 01SC を参照)。従って \(Z_{i'} \to S_i\) は \(i' \geq i\) のときアフィンである。 Morphisms, Lemma 01SG により、 射 \(f_{i'i} : Z_{i'} \to Z_i\) はアフィンであると結論する。 各スキーム \(Z_i\) は準コンパクトスキームの閉部分スキームとして 準コンパクトである。従って Lemma 01Z2 を適用して、 \(Z = \lim_i Z_i\) は空でないことが分かる。標準射 \(Z \to S\) があるので結論を得る。
補題
Situation 086P のもとで考える。 \(i\) と射 \(T \to S_i\) が与えられ、次を満たすとする:
\(T \times_{S_i} S = \emptyset\) であり、
\(T\) は準コンパクトである。
このとき、\(T \times_{S_i} S_{i'} = \emptyset\) が十分大きい すべての \(i'\) に対して成り立つ。
証明
Lemma 01YZ により \(T \times_{S_i} S = \lim_{i' \geq i} T \times_{S_i} S_{i'}\) である。 従って結果は Lemma 01Z2 から従う。
補題
Situation 086P のもとで考える。 \(i\) と局所構成可能部分集合 \(E \subset S_i\) が与えられ、 \(f_i(S) \subset E\) を満たすとする。このとき、 \(f_{i'i}(S_{i'}) \subset E\) が十分大きいすべての \(i'\) に対して成り立つ。
証明
\(S_i\) を有限個のアフィン開部分スキームの和として書くことにより、 \(S_i\) がアフィンで \(E\) が構成可能である場合に帰着する。 Lemma 01YX および Properties, Lemma 054C を参照せよ。 この場合、補集合 \(S_i \setminus E\) も構成可能である。 従って、アフィンスキーム \(T\) と射 \(T \to S_i\) が存在して、その像は \(S_i \setminus E\) である。Algebra, Lemma 00F8 を参照せよ。 Lemma 05F3 により、 \(T \times_{S_i} S_{i'}\) は十分大きいすべての \(i'\) に対して空であり、従って \(f_{i'i}(S_{i'}) \subset E\) が十分大きいすべての \(i'\) に対して成り立つ。
補題
Situation 086P のもとで、次が成り立つ:
任意の準コンパクト開集合 \(V \subset S = \lim_i S_i\) に対し、 ある \(i \in I\) と準コンパクト開集合 \(V_i \subset S_i\) が存在して \(f_i^{-1}(V_i) = V\) を満たす。
準コンパクト開集合 \(V_i \subset S_i\) および \(V_{i'} \subset S_{i'}\) が与えられ、 \(f_i^{-1}(V_i) = f_{i'}^{-1}(V_{i'})\) を満たすとする。このとき、ある添字 \(i'' \geq i, i'\) が存在して \(f_{i''i}^{-1}(V_i) = f_{i''i'}^{-1}(V_{i'})\) を満たす。
\(V_{1, i}, \ldots, V_{n, i} \subset S_i\) が準コンパクト開集合であり、 \(S = f_i^{-1}(V_{1, i}) \cup \ldots \cup f_i^{-1}(V_{n, i})\) ならば、 \(S_{i'} = f_{i'i}^{-1}(V_{1, i}) \cup \ldots \cup f_{i'i}^{-1}(V_{n, i})\) がある \(i' \geq i\) に対して成り立つ。
証明
\(i_0 \in I\) を選ぶ。極限が有向なので \(I\) は空でないことに注意する。 便宜上 \(S_0 = S_{i_0}\) および \(i_0 = 0\) と書く。 アフィン開被覆 \(S_0 = U_{1, 0} \cup \ldots \cup U_{m, 0}\) を選ぶ。 \(U_{j, i} \subset S_i\) を \(U_{j, 0}\) の、\(i \geq 0\) に対する 推移射による逆像と書く。\(U_j\) を \(U_{j, 0}\) の \(S\) における逆像と書く。 \(U_j = \lim_i U_{j, i}\) はアフィンスキームの極限であることに注意する。
まず一意性の主張を証明する:準コンパクト開集合 \(V_i \subset S_i\) および \(V_{i'} \subset S_{i'}\) が \(f_i^{-1}(V_i) = f_{i'}^{-1}(V_{i'})\) を満たすとする。 \(f_{i''i}^{-1}(V_i \cap U_{j, i''})\) と \(f_{i''i'}^{-1}(V_{i'} \cap U_{j, i''})\) が十分大きい \(i''\) に対して 等しくなることを示せば十分である。従ってアフィンスキームの極限の場合に帰着する。 この場合、\(S = \Spec(R)\) および \(S_i = \Spec(R_i)\) と すべての \(i \in I\) に対して書く。 \(V_i = S_i \setminus V(h_1, \ldots, h_m)\) および \(V_{i'} = S_{i'} \setminus V(g_1, \ldots, g_n)\) と書ける。 仮定は、イデアル \(\sum g_jR\) と \(\sum h_jR\) が \(R\) において 同じ根基をもつことを意味する。これは \(g_j^N = \sum a_{jj'}h_{j'}\) および \(h_j^N = \sum b_{jj'} g_{j'}\) が、ある \(N \gg 0\) と \(a_{jj'}\) および \(b_{jj'}\)(いずれも \(R\) の元)に対して 成り立つことを意味する。 \(R = \colim_i R_i\) であるから、添字 \(i'' \geq i\) を選んで、 方程式 \(g_j^N = \sum a_{jj'}h_{j'}\) および \(h_j^N = \sum b_{jj'} g_{j'}\) が、ある \(R_{i''}\) の \(a_{jj'}\) と \(b_{jj'}\) に対して \(R_{i''}\) において成り立つようにできる。 これは、イデアル \(\sum g_jR_{i''}\) と \(\sum h_jR_{i''}\) が \(R_{i''}\) において同じ根基をもつことを意味し、求める主張を得る。
存在を証明する:\(S_0\) がアフィンならば、\(S_i = \Spec(R_i)\) が すべての \(i \geq 0\) に対して成り立ち、\(S = \Spec(R)\) である。 ここで \(R = \colim R_i\) である。このとき \(V = S \setminus V(g_1, \ldots, g_n)\) が、ある \(g_1, \ldots, g_n \in R\) に対して成り立つ。 十分大きい \(i\) を選んで、各 \(g_j\) が元 \(g_{j, i} \in R_i\) から 来るようにし、\(V_i = S_i \setminus V(g_{1, i}, \ldots, g_{n, i})\) とする。 \(S_0\) が一般の場合、開集合 \(V \cap U_j\) は \(S\) が準分離であるから 準コンパクトである。従ってアフィンの場合から、各 \(j = 1, \ldots, m\) に対して、ある \(i_j \in I\) と準コンパクト開集合 \(V_{i_j} \subset U_{j, i_j}\) が存在し、\(U_j\) におけるその逆像は \(V \cap U_j\) である。\(i = \max(i_1, \ldots, i_m)\) とおき、 \(V_i = \bigcup f_{ii_j}^{-1}(V_{i_j})\) とする。
被覆に関する主張は、開集合 \(V_{1, i} \cup \ldots \cup V_{n, i}\) と \(S_i\)(いずれも \(S_i\) のもの)に一意性の主張を 適用することから従う。
補題
Situation 086P のもとで、\(S\) が準アフィンならば、 ある \(i_0 \in I\) に対し、\(S_i\) はすべての \(i \geq i_0\) について 準アフィンである。
証明
\(i_0 \in I\) を選ぶ。極限が有向なので \(I\) は空でないことに注意する。 便宜上 \(S_0 = S_{i_0}\) および \(i_0 = 0\) と書く。 \(s \in S\) とする。アフィン開集合 \(U_0 \subset S_0\) で \(f_0(s)\) を含むものを選べる。\(S\) は準アフィンなので、元 \(a \in \Gamma(S, \mathcal{O}_S)\) であって \(s \in D(a) \subset f_0^{-1}(U_0)\) を満たし、さらに \(D(a)\) がアフィンであるものを選べる。 Lemma 01Z0 により、ある \(i \geq 0\) が存在して、 \(a\) は元 \(a_i \in \Gamma(S_i, \mathcal{O}_{S_i})\) から来る。 任意の添字 \(j \geq i\) に対して、\(a_j\) を \(a_i\) の \(S_j\) の構造層の大域切断への像と書く。 開集合 \(D(a_j) \subset S_j\) と \(U_j = f_{j0}^{-1}(U_0)\) を考える。 \(U_j\) はアフィンで、\(D(a_j)\) は \(S_j\) の準コンパクト開集合である。 たとえば Properties, Lemma 01PV を参照せよ。従って、開集合 \(U_j\) と \(U_j \cup D(a_j)\) に Lemma 01Z4 を適用して、 \(D(a_j) \subset U_j\) がある \(j \geq i\) に対して成り立つと結論できる。 そのような添字 \(j\) に対し、\(D(a_j) \subset S_j\) はアフィン開集合である (\(D(a_j)\) はアフィン開集合 \(U_j\) の標準アフィン開集合だからである)し、 像 \(f_j(s)\) を含む。
従って、すべての \(s \in S\) に対して、添字 \(i \in I\) と大域切断 \(a \in \Gamma(S_i, \mathcal{O}_{S_i})\) が存在し、 \(D(a) \subset S_i\) は \(f_i(s)\) を含むアフィン開集合となる。 \(S\) は準コンパクトなので、単一の添字 \(i \in I\) と大域切断 \(a_1, \ldots, a_m \in \Gamma(S_i, \mathcal{O}_{S_i})\) を選び、 各 \(D(a_j) \subset S_i\) がアフィン開集合で、かつ射 \(f_i : S \to S_i\) の像が和 \(W_i = \bigcup_{j = 1, \ldots, m} D(a_j)\) に含まれるようにできる。 \(i' \geq i\) に対して \(W_{i'} = f_{i'i}^{-1}(W_i)\) とおく。 \(f_i^{-1}(W_i)\) は \(S\) 全体なので、再び Lemma 01Z4 により、適当な \(i' \geq i\) に対して \(S_{i'} = W_{i'}\) である。従って、\(i\) を \(i'\) で置き換え、 \(S_i = \bigcup_{j = 1, \ldots, m} D(a_j)\) と仮定してよい。 これは \(\mathcal{O}_{S_i}\) が \(S_i\) 上の豊富な可逆層であることを意味する (Properties, Definition 01PS を参照)。従って \(S_i\) は準アフィンである。Properties, Lemma 01QE を参照せよ。これで結論を得る。
補題
Situation 086P のもとで、\(S\) がアフィンならば、 ある \(i_0 \in I\) に対し、\(S_i\) はすべての \(i \geq i_0\) について アフィンである。
証明
Lemma 01Z5 により、\(S_0\) が準アフィンであると、 ある \(0 \in I\) に対して仮定してよい。 \(R_0 = \Gamma(S_0, \mathcal{O}_{S_0})\) とおく。このとき \(S_0\) は \(T_0 = \Spec(R_0)\) の準コンパクト開部分である。対応する準コンパクト開埋め込みを \(j_0 : S_0 \to T_0\) と書く。\(i \geq 0\) に対して \(\mathcal{A}_i = f_{i0, *}\mathcal{O}_{S_i}\) とおく。 \(f_{i0}\) はアフィンなので \(S_i = \underline{\Spec}_{S_0}(\mathcal{A}_i)\) である。 \(T_i = \underline{\Spec}_{T_0}(j_{0, *}\mathcal{A}_i)\) とおく。 \(T_i \to T_0\) はアフィンであり、従って \(T_i\) はアフィンである。 従って \(T_i\) は次の環のスペクトルである: \[R_i = \Gamma(T_0, j_{0, *}\mathcal{A}_i) = \Gamma(S_0, \mathcal{A}_i) = \Gamma(S_i, \mathcal{O}_{S_i}).\] \(S = \Spec(R)\) と書く。Lemma 01Z0 により \(R = \colim_i R_i\) である。従って \(S = \lim_i T_i\) でもある。 相対スペクトルの形成は基底変換と可換するので、開集合 \(S_0 \subset T_0\) の \(T_i\) における逆像は \(S_i\) である。 \(Z_0 = T_0 \setminus S_0\) とし、\(Z_i \subset T_i\) を \(Z_0\) の逆像とする。 \(S_i = T_i \setminus Z_i\) なので、\(Z_i\) がある \(i\) に対して空であることを 示せば十分である。矛盾を導くため、\(Z_i\) はすべての \(i\) に対して 空でないと仮定する。 Lemma 01Z3 により、点 \(s\) で \(S = \lim T_i\) に属し、\(Z_i\) の点へすべての \(i\) に対して写るものが存在する。しかし \(S = \lim_i S_i\) であり、Lemma 01YY により矛盾を得る。
補題
Situation 086P のもとで、\(S\) が分離的ならば、 ある \(i_0 \in I\) に対し、\(S_i\) はすべての \(i \geq i_0\) について 分離的である。
証明
有限アフィン開被覆 \(S_0 = U_{0, 1} \cup \ldots \cup U_{0, m}\) を選ぶ。 \(U_{i, j} \subset S_i\) および \(U_j \subset S\) を \(U_{0, j}\) の逆像とする。\(U_{i, j}\) と \(U_j\) はアフィンである。 \(S\) は分離的なので交叉 \(U_{j_1} \cap U_{j_2}\) はアフィンである。 \(U_{j_1} \cap U_{j_2} = \lim_{i \geq 0} U_{i, j_1} \cap U_{i, j_2}\) であるから、\(U_{i, j_1} \cap U_{i, j_2}\) は十分大きい \(i\) に対して Lemma 01Z6 によりアフィンである。 \(S_i\) が十分大きい \(i\) に対して分離的であることを示すには、いまや写像 \[\mathcal{O}_{S_i}(U_{i, j_1}) \otimes_{\mathcal{O}_S(S)} \mathcal{O}_{S_i}(U_{i, j_2}) \longrightarrow \mathcal{O}_{S_i}(U_{i, j_1} \cap U_{i, j_2})\] が十分大きい \(i\) に対して全射であることを示せば十分である (Schemes, Lemma 01KP)。
煩雑な添字を除くため、アフィン開集合 \(U, V \subset S_0\) が与えられ、 \(U \cap V\) もアフィンであると仮定する。 \(U_i, V_i \subset S_i\)、およびそれぞれ \(U, V \subset S\) を逆像とする。 \(\mathcal{O}(U_i) \otimes \mathcal{O}(V_i) \to \mathcal{O}(U_i \cap V_i)\) が全射であることを十分大きい \(i\) に対して示さねばならず、 \(\mathcal{O}(U) \otimes \mathcal{O}(V) \to \mathcal{O}(U \cap V)\) が全射であることは分かっている。写像 \(\mathcal{O}(U_0) \otimes \mathcal{O}(V_0) \to \mathcal{O}(U_0 \cap V_0)\) は有限型であることに注意する。実際、対角射 \(S_i \to S_i \times S_i\) は埋め込みであり (Schemes, Lemma 01KJ)、従って局所有限型である (Morphisms, Lemmas 01T2 および 01T5)。 従って元 \(f_{0, 1}, \ldots, f_{0, n} \in \mathcal{O}(U_0 \cap V_0)\) で、 \(\mathcal{O}(U_0 \cap V_0)\) を \(\mathcal{O}(U_0) \otimes \mathcal{O}(V_0)\) 上生成するものを選べる。 \(i \geq 0\) に対してスキームの図式 \[\xymatrix{ U_i \cap V_i \ar[r] \ar[d] & U_i \ar[d] \\ U_0 \cap V_0 \ar[r] & U_0 }\] は Cartesian である。このことから、像 \(f_{i, 1}, \ldots, f_{i, n} \in \mathcal{O}(U_i \cap V_i)\) は、 \(\mathcal{O}(U_i \cap V_i)\) を \(\mathcal{O}(U_i) \otimes \mathcal{O}(V_0)\) 上生成し、従ってなおさら \(\mathcal{O}(U_i) \otimes \mathcal{O}(V_i)\) 上生成することが分かる。 仮定により、像 \(f_1, \ldots, f_n \in \mathcal{O}(U \otimes V)\) は写像 \(\mathcal{O}(U) \otimes \mathcal{O}(V) \to \mathcal{O}(U \cap V)\) の像に属する。 また \(\mathcal{O}(U) \otimes \mathcal{O}(V) = \colim \mathcal{O}(U_i) \otimes \mathcal{O}(V_i)\) であるから、それらはある有限段階で写像の像に属する。これで補題は証明された。
補題
Situation 086P のもとで、\(\mathcal{L}_0\) を \(S_0\) 上の可逆加群層とする。引き戻し \(\mathcal{L}\)(\(S\) への)が豊富ならば、 ある \(i \in I\) に対して引き戻し \(\mathcal{L}_i\)(\(S_i\) への)は豊富である。
証明
仮定は、有限個の切断 \(s_1, \ldots, s_m \in \Gamma(S, \mathcal{L})\) が存在して、 \(S_{s_j}\) がアフィンであり、かつ \(S = \bigcup S_{s_j}\) となることを意味する。 Properties, Definition 01PS を参照せよ。 Lemma 01Z0 により、ある \(i \in I\) と切断 \(s_{i, j} \in \Gamma(S_i, \mathcal{L}_i)\) で \(s_j\) に写るものを見つけられる。 Lemma 01Z6 により、\(i\) を大きくした後、 \((S_i)_{s_{i, j}}\) が \(j = 1, \ldots, m\) に対してアフィンであると仮定してよい。 Lemma 01Z4 により、最後にもう一度 \(i\) を大きくした後、 \(S_i = \bigcup (S_i)_{s_{i, j}}\) と仮定してよい。 すると \(\mathcal{L}_i\) は定義により豊富である。
補題
\(S\) をスキームとする。\(X = \lim X_i\) を、アフィン推移射をもつ \(S\) 上のスキームの有向極限とする。\(Y \to X\) を \(S\) 上のスキームの射とする。
\(Y \to X\) が閉埋め込みで、\(X_i\) が準コンパクトであり、 \(Y\) が \(S\) 上局所有限型ならば、\(Y \to X_i\) は十分大きい \(i\) に対して閉埋め込みである。
\(Y \to X\) が埋め込みで、\(X_i\) が準分離であり、 \(Y \to S\) が局所有限型で、\(Y\) が準コンパクトならば、 \(Y \to X_i\) は十分大きい \(i\) に対して埋め込みである。
\(Y \to X\) が同型で、\(X_i\) が準コンパクト、\(X_i \to S\) が局所有限型、 推移射 \(X_{i'} \to X_i\) が閉埋め込み、かつ \(Y \to S\) が 局所有限表示ならば、\(Y \to X_i\) は十分大きい \(i\) に対して同型である。
証明
(1) の証明。\(0 \in I\) と有限アフィン開被覆 \(X_0 = U_{0, 1} \cup \ldots \cup U_{0, m}\) を、\(U_{0, j}\) が あるアフィン開集合 \(W_j \subset S\) に写るように選ぶ。 \(V_j \subset Y\)、それぞれ \(U_{i, j} \subset X_i\)(\(i \geq 0\))、 それぞれ \(U_j \subset X\) を \(U_{0, j}\) の逆像とする。 \(V_j \to U_{i, j}\) が十分大きい \(i\) に対して閉埋め込みであることを 証明すれば十分であり、\(V_j \to U_j\) が閉埋め込みであることは分かっている。 従って、次の代数的事実に帰着する:\(A = \colim A_i\) を \(R\)-代数の有向余極限とし、\(A \to B\) を \(R\)-代数の全射とし、 \(B\) を有限生成 \(R\)-代数とする。このとき、\(A_i \to B\) は 十分大きい \(i\) に対して全射である。
(2) の証明。\(0 \in I\) を選ぶ。準コンパクト開集合 \(X'_0 \subset X_0\) を、\(Y \to X_0\) が \(X'_0\) を経由するように選ぶ。 \(X_i\) を \(X'_0\) の逆像で \(i \geq 0\) に対して置き換えた後、 すべての \(X_i'\) は準コンパクトかつ準分離であると仮定してよい。 \(U \subset X\) を準コンパクト開集合であって、\(Y \to X\) が閉埋め込み \(Y \to U\) を経由するものとする(\(U\) は \(Y\) が準コンパクトなので存在する)。 Lemma 01Z4 により、\(U = \lim U_i\) と、 準コンパクト開集合 \(U_i \subset X_i\) を用いて仮定してよい。 (1) により、\(Y \to U_i\) はある \(i\) に対して閉埋め込みである。 従って (2) が成り立つ。
(3) の証明。(1) の証明と同様に、\(X_0\) 上、ある \(0 \in I\) に対して アフィン局所的に考えることで、次の代数的事実に帰着する: \(A = \lim A_i\) を全射な推移写像をもつ \(R\)-代数の有向余極限とし、 \(A\) は \(A_0\) 上有限表示であるとする。このとき \(A = A_i\) が ある \(i\) に対して成り立つ。実際、\(A = A_0/(f_1, \ldots, f_n)\) と書く。 \(i\) を、\(f_1, \ldots, f_n\) が全射 \(A_0 \to A_i\) のもとで零に写るように選ぶ。
補題
\(S\) をスキームとする。\(X = \lim X_i\) を、アフィン推移射をもつ \(S\) 上のスキームの有向極限とする。次を仮定する:
\(S\) は準分離であり、
\(X_i\) は準コンパクトかつ準分離であり、
\(X \to S\) は分離的である。
このとき、\(X_i \to S\) は十分大きいすべての \(i\) に対して分離的である。
証明
\(0 \in I\) とする。極限が有向なので \(I\) は空でないことに注意する。 \(X_0\) は準コンパクトなので、有限個のアフィン開集合 \(U_1, \ldots, U_n \subset S\) で、\(X_0 \to S\) の像が \(U_1 \cup \ldots \cup U_n\) に含まれるものを見つけられる。 構造射を \(h_i : X_i \to S\) と書く。ある \(i \geq 0\) に対して、射 \(h_i^{-1}(U_j) \to U_j\) が \(j = 1, \ldots, n\) について 分離的であることを調べれば十分である。 \(S\) は準分離なので、射 \(U_j \to S\) は準コンパクトである。 従って \(h_i^{-1}(U_j)\) は準コンパクトかつ準分離である。 このようにして \(S\) がアフィンの場合に帰着する。この場合、 \(X_i\) が分離的であることを示さねばならず、\(X\) が分離的であることは 分かっている。従って補題は Lemma 086Q から従う。
補題
\(S\) をスキームとする。\(X = \lim X_i\) を、アフィン推移射をもつ \(S\) 上のスキームの有向極限とする。次を仮定する:
\(S\) は準コンパクトかつ準分離であり、
\(X_i\) は準コンパクトかつ準分離であり、
\(X \to S\) はアフィンである。
このとき、\(X_i \to S\) は十分大きい \(i\) に対してアフィンである。
証明
有限アフィン開被覆 \(S = \bigcup_{j = 1, \ldots, n} V_j\) を選ぶ。 構造射を \(f : X \to S\) および \(f_i : X_i \to S\) と書く。 各 \(j\) に対し、スキーム \(f^{-1}(V_j) = \lim_i f_i^{-1}(V_j)\) はアフィンである (有限射は定義によりアフィンであるから)。従って Lemma 01Z6 により、ある \(i \in I\) が存在して、 各 \(f_i^{-1}(V_j)\) がアフィンとなる。言い換えれば、 \(f_i : X_i \to S\) は十分大きい \(i\) に対してアフィンである。Morphisms, Lemma 01S8 を参照せよ。
補題
\(S\) をスキームとする。\(X = \lim X_i\) を、アフィン推移射をもつ \(S\) 上のスキームの有向極限とする。次を仮定する:
\(S\) は準コンパクトかつ準分離であり、
\(X_i\) は準コンパクトかつ準分離であり、
推移射 \(X_{i'} \to X_i\) は有限であり、
\(X_i \to S\) は局所有限型であり、
\(X \to S\) は整である。
このとき、\(X_i \to S\) は十分大きい \(i\) に対して有限である。
証明
Lemma 09ZM により、\(X_i \to S\) は すべての \(i\) に対してアフィンであると仮定してよい。 有限アフィン開被覆 \(S = \bigcup_{j = 1, \ldots, n} V_j\) を選ぶ。 構造射を \(f : X \to S\) および \(f_i : X_i \to S\) と書く。 ある \(i\) が存在して、\(f_i^{-1}(V_j)\) が \(V_j\) 上有限であることを \(j = 1, \ldots, m\) に対して示せば十分である (Morphisms, Lemma 01WI)。 実際、\(i' \geq i\) に対し、合成 \(X_{i'} \to X_i \to S\) は有限射の合成として 有限である(Morphisms, Lemma 01WK)。 これによりアフィンの場合に帰着する:\(R\) を環とし、 \(A = \colim A_i\) とする。\(R \to A\) は整で、\(A_i \to A_{i'}\) は すべての \(i \leq i'\) に対して有限であるとする。さらに \(R \to A_i\) は すべての \(i\) に対して有限型である。目標:\(A_i\) が \(R\) 上有限であることを ある \(i\) に対して示す。 そのため、\(i \in I\) を一つ選び、生成元 \(x_1, \ldots, x_m \in A_i\) を \(A_i\) の \(R\)-代数としての生成元としてとる。 \(A\) は \(R\) 上整なので、モニック多項式 \(P_j \in R[T]\) で \(P_j(x_j) = 0\) が \(A\) で成り立つものを見つけられる。従って、ある \(i' \geq i\) が存在して、 \(P_j(x_j) = 0\) が \(A_{i'}\) において \(j = 1, \ldots, m\) に対して成り立つ。 \(A'_i\) を \(A_i\) の \(A_{i'}\) における像とすると、Algebra, Lemma 02JJ により \(R\) 上有限である。 \(A'_i \subset A_{i'}\) も有限なので、Algebra, Lemma 00GL により \(A_{i'}\) は \(R\) 上有限であると結論する。
補題
\(S\) をスキームとする。\(X = \lim X_i\) を、アフィン推移射をもつ \(S\) 上のスキームの有向極限とする。次を仮定する:
\(S\) は準コンパクトかつ準分離であり、
\(X_i\) は準コンパクトかつ準分離であり、
推移射 \(X_{i'} \to X_i\) は閉埋め込みであり、
\(X_i \to S\) は局所有限型であり、
\(X \to S\) は閉埋め込みである。
このとき、\(X_i \to S\) は十分大きい \(i\) に対して閉埋め込みである。
証明
Lemma 09ZM により、\(X_i \to S\) は すべての \(i\) に対してアフィンであると仮定してよい。 有限アフィン開被覆 \(S = \bigcup_{j = 1, \ldots, n} V_j\) を選ぶ。 構造射を \(f : X \to S\) および \(f_i : X_i \to S\) と書く。 ある \(i\) が存在して、\(f_i^{-1}(V_j)\) が \(V_j\) の閉部分スキームであることを \(j = 1, \ldots, m\) に対して示せば十分である (Morphisms, Lemma 01QO)。 これによりアフィンの場合に帰着する:\(R\) を環とし、 \(A = \colim A_i\) とする。\(R \to A\) と \(A_i \to A_{i'}\) は、後者については すべての \(i \leq i'\) に対して全射であるとする。さらに \(R \to A_i\) は すべての \(i\) に対して有限型である。目標:\(R \to A_i\) がある \(i\) に対して 全射であることを示す。 そのため、\(i \in I\) を一つ選び、生成元 \(x_1, \ldots, x_m \in A_i\) を \(A_i\) の \(R\)-代数としての生成元としてとる。 \(R \to A\) は全射なので、\(r_j \in R\) であって \(r_j\) が \(x_j\) に \(A\) で写るものを見つけられる。 従って、ある \(i' \geq i\) が存在して、\(r_j\) は \(x_j\) の像に \(A_{i'}\) において \(j = 1, \ldots, m\) に対して写る。 \(A_i \to A_{i'}\) は全射なので、これは \(R \to A_{i'}\) が全射であることを意味する。
補題
\(S\) をスキームとする。\(X = \lim X_i\) を、アフィン推移射をもつ \(S\) 上のスキームの有向極限とする。次を仮定する:
\(S\) は準分離であり、
\(X_i\) は準コンパクトかつ準分離であり、
推移射 \(X_{i'} \to X_i\) は閉埋め込みであり、
\(X_i \to S\) は局所有限型であり、
\(X \to S\) は埋め込みである。
このとき、\(X_i \to S\) は十分大きい \(i\) に対して埋め込みである。
証明
開部分スキーム \(U \subset S\) を、\(X \to S\) が閉埋め込み \(X \to U\) と包含射 \(U \to S\) の合成として分解するように選ぶ。 \(X\) は準コンパクトなので、\(U\) を縮めて \(U\) が準コンパクトであると仮定してよい。 \(V_i \subset X_i\) を \(U\) の逆像と書く。\(V_i\) の引き戻しは \(X\) なので、 Lemma 01Z4 により、\(V_i = X_i\) は十分大きいすべての \(i\) に対して成り立つ。従って、\(X = \lim X_i\) と \(U\) 上のスキームの圏において 仮定してよい。このとき Lemma 0A0N により、 \(X_i \to U\) は十分大きい \(i\) に対して閉埋め込みである。これで補題が証明された。
絶対 Noether 近似
この節のよい参考文献は Thomason と Trobaugh の論文 [TT] の Appendix C である。 有向系に関する規約については Categories, Section 002Z を参照せよ。 以下では Section 01YV の極限の存在結果と性質を、 その都度断ることなく用いる。
補題
\(W\) を \(\mathbf{Z}\) 上有限型な準アフィンスキームとする。 \(W \to \Spec(R)\) がアフィンスキームへの開埋め込みであると仮定する。 このとき、有限型 \(\mathbf{Z}\)-代数 \(A \subset R\) で、 開埋め込み \(W \to \Spec(A)\) を誘導するものが存在する。 さらに、\(R\) はそのような部分代数の有向余極限である。
証明
アフィン開被覆 \(W = \bigcup_{i = 1, \ldots, n} W_i\) を、 各 \(W_i\) が \(\Spec(R)\) の標準アフィン開集合となるように選ぶ。 言い換えると、\(W_i = \Spec(R_i)\) と書けば、 \(R_i = R_{f_i}\) がある \(f_i \in R\) に対して成り立つ。 有限個の元 \(x_{ij} \in R_i\) を選び、これらが \(R_i\) を \(\mathbf{Z}\) 上生成するようにする。 \(N \gg 0\) を、各 \(f_i^Nx_{ij}\) が \(R\) の元から来るように選び、 その元を \(y_{ij} \in R\) と書く。 \(A\) を、\(\mathbf{Z}\)-代数であって、\(f_i\) と \(y_{ij}\)、および (任意に)\(R\) の有限個の追加の元で生成されるものとする。この \(A\) が所要の 性質をもつ。詳細は省略する。
補題
環の Cartesian 図式 \[\xymatrix{ B \ar[r]_s & R \\ B'\ar[u] \ar[r] & R' \ar[u]_t }\] が与えられているとする。\(W' \subset \Spec(R')\) を \(W' = D(f_1) \cup \ldots \cup D(f_n)\) の形の開集合とし、 \(t(f_i) = s(g_i)\) を満たすある \(g_i \in B\) に対して \(B_{g_i} \cong R_{s(g_i)}\) が成り立つとする。 このとき \(B' \to R'\) は \(W'\) から \(\Spec(B')\) への開埋め込みを誘導する。
証明
\(h_i = (g_i, f_i) \in B'\) とおく。More on Algebra, Lemma 01Z8 により、所望のとおり \((B')_{h_i} \cong (R')_{f_i}\) である。
次の補題は Noether 近似の精密な定式化である。
補題
\(S\) を準コンパクトかつ準分離なスキームとする。 \(V \subset S\) を準コンパクト開集合とする。\(I\) を有向集合とし、 \((V_i, f_{ii'})\) を \(I\) 上のスキームの逆系で、推移写像がアフィン、 各 \(V_i\) が \(\mathbf{Z}\) 上有限型、かつ \(V = \lim V_i\) であるものとする。 このとき、次のものが存在する:
有向集合 \(J\)、
スキームの逆系 \((S_j, g_{jj'})\)(添字集合は \(J\))、
順序を保つ写像 \(\alpha : J \to I\)、
開部分スキーム \(V'_j \subset S_j\)、および
同型 \(V'_j \to V_{\alpha(j)}\)。
これらは次を満たす:
推移射 \(g_{jj'} : S_j \to S_{j'}\) はアフィンであり、
各 \(S_j\) は \(\mathbf{Z}\) 上有限型であり、
\(g_{jj'}^{-1}(V'_{j'}) = V'_j\) であり、
\(S = \lim S_j\) かつ \(V = \lim V'_j\) であり、
図式 \[\vcenter{ \xymatrix{ V \ar[d] \ar[rd] \\ V'_j \ar[r] & V_{\alpha(j)} } } \quad\text{and}\quad \vcenter{ \xymatrix{ V'_j \ar[r] \ar[d] & V_{\alpha(j)} \ar[d] \\ V'_{j'} \ar[r] & V_{\alpha(j')} } }\] は可換である。
証明
\(Z = S \setminus V\) とおく。アフィン開集合 \(U_1, \ldots, U_m \subset S\) を、 \(Z \subset \bigcup_{l = 1, \ldots, m} U_l\) となるように選ぶ。 開集合の列 \[V \subset V \cup U_1 \subset V \cup U_1 \cup U_2 \subset \ldots \subset V \cup \bigcup\nolimits_{l = 1, \ldots, m} U_l = S\] を考える。各場合 \[V \cup U_1 \cup \ldots \cup U_l \subset V \cup U_1 \cup \ldots \cup U_{l + 1}\] について補題を逐次証明できれば、\(V \subset S\) に対して補題が従う。 各場合にはアフィン開集合を一つ付け加えている。従って、次を仮定してよい:
\(S = U \cup V\)、
\(U\) は \(S\) のアフィン開集合であり、
\(V\) は \(S\) の準コンパクト開集合であり、
\(V = \lim_i V_i\) であり、\((V_i, f_{ii'})\) は有向集合 \(I\) 上の 逆系で、各 \(f_{ii'}\) はアフィン、各 \(V_i\) は \(\mathbf{Z}\) 上有限型である。
射影を \(f_i : V \to V_i\) と書く。\(W = U \cap V\) とおく。 \(S\) は準分離なので、これは \(V\) の準コンパクト開集合である。 Lemma 01Z4 により(\(I\) を縮めた後)、 開集合 \(W_i \subset V_i\) が存在して \(f_{ii'}^{-1}(W_{i'}) = W_i\) かつ \(f_i^{-1}(W_i) = W\) であると 仮定してよい。\(W\) は \(U\) の準コンパクト開集合なので準アフィンである。 従って、再び \(I\) を縮めた後、\(W_i\) がすべての \(i\) に対して 準アフィンであると仮定してよい。Lemma 01Z5 を参照せよ。
\(U = \Spec(B)\) と書く。\(R = \Gamma(W, \mathcal{O}_W)\) および \(R_i = \Gamma(W_i, \mathcal{O}_{W_i})\) とおく。 Lemma 01Z0 により \(R = \colim_i R_i\) である。 いま環の写像 \[\xymatrix{ B \ar[r]_s & R \\ & R_i \ar[u]_{t_i} }\] がある。 \(B_i = \{(b, r) \in B \times R_i \mid s(b) = t_i(r)\}\) とおくと、 各 \(i\) に対して Cartesian 図式 \[\xymatrix{ B \ar[r]_s & R \\ B_i \ar[u] \ar[r] & R_i \ar[u]_{t_i} }\] を得る。推移写像 \(R_i \to R_{i'}\) は写像 \(B_i \to B_{i'}\) を誘導する。 \(B = \colim_i B_i\) であることは明らかである。 次の段落では、十分大きいすべての \(i\) に対して、合成 \(W_i \to \Spec(R_i) \to \Spec(B_i)\) が開埋め込みであることを示す。
\(W\) は \(U = \Spec(B)\) の準コンパクト開集合なので、 有限個の元 \(g_l \in B\)(\(l = 1, \ldots, m\))で、 \(D(g_l) \subset W\) かつ \(W = \bigcup_{l = 1, \ldots, m} D(g_l)\) となるものを見つけられる。 これは、\(D(g_l) = W_{s(g_l)}\) が \(U\) の開部分集合として 成り立つことを意味する。ここで \(W_{s(g_l)}\) は \(W\) の最大の 開部分集合で、その上で \(s(g_l)\) が可逆となるものを表す。従って \[B_{g_l} = \Gamma(D(g_l), \mathcal{O}_U) = \Gamma(W_{s(g_l)}, \mathcal{O}_W) = R_{s(g_l)},\] であり、最後の等式は Properties, Lemma 01P7 である。 \(W_{s(g_l)}\) はアフィンなので、これはさらに \(D(s(g_l)) = W_{s(g_l)}\) が \(\Spec(R)\) の開部分集合として 成り立つことを意味する。 \(R = \colim_i R_i\) なので、\(I\) を縮めた後、 \(g_{l, i} \in R_i\) がすべての \(i \in I\) に対して存在し、 \(s(g_l) = t_i(g_{l, i})\) であると仮定できる。 もちろん \(g_{l, i}\) は、\(g_{l, i}\) が \(g_{l, i'}\) に 推移写像 \(R_i \to R_{i'}\) のもとで写るように選ぶ。このとき Lemma 01Z4 により、再び \(I\) を縮めた後、 対応する開集合 \(D(g_{l, i}) \subset \Spec(R_i)\) が \(W_i\) に \(l = 1, \ldots, m\) に対して含まれ、\(W_i\) を被覆すると仮定できる。 Lemma 01Z9 により、射 \(W_i \to \Spec(R_i) \to \Spec(B_i)\) は開埋め込みであると結論する。
Lemma 01Z7 により、\(B_i\) を 部分代数 \(A_{i, p} \subset B_i\)(\(p \in P_i\))の有向余極限として 書ける。それぞれは \(\mathbf{Z}\) 上有限型であり、\(W_i\) は \(\Spec(A_{i, p})\) の開部分スキームと同一視される。 \(S_{i, p}\) を、\(V_i\) と \(\Spec(A_{i, p})\) を開集合 \(W_i\) に沿って 貼り合わせて得られるスキームとする。Schemes, Section 01JA を参照せよ。 得られるスキームの可換図式は次のとおりである: \[\xymatrix{ & & V \ar[lld] \ar[d] & W \ar[l] \ar[lld] \ar[d] \\ V_i \ar[d] & W_i \ar[l] \ar[d] & S \ar[lld] & U \ar[lld] \ar[l] \\ S_{i, p} & \Spec(A_{i, p}) \ar[l] }\] 射 \(S \to S_{i, p}\) が得られるのは、右上の正方形が スキームの圏における押し出しだからである。 \(S_{i, p}\) は \(\mathbf{Z}\) 上有限型であることに注意する。 実際、有限型 \(\mathbf{Z}\)-代数のスペクトルからなる有限アフィン開被覆をもつ。 \(J = \coprod_{i \in I} P_i\) 上の前順序を、\((i', p') \geq (i, p)\) が \(i' \geq i\) かつ写像 \(B_i \to B_{i'}\) が \(A_{i, p}\) を \(A_{i', p'}\) に写すことと同値であるように定める。 これは射 \(S_{i', p'} \to S_{i, p}\) を定めるためにまさに必要な条件である。 すなわち、推移射 \(V_{i'} \to V_i\) と \(W_{i'} \to W_i\)、および射 \(\Spec(A_{i', p'}) \to \Spec(A_{i, p})\) を用いて、上のような 可換図式を作る。最後の射は環写像 \(A_{i, p} \to A_{i', p'}\) により誘導される。 必要な可換性は構成に組み込まれている。 \(S\) はスキーム \(S_{i, p}\) の有向極限であると主張する。 構成によりスキーム \(V_i\) の極限は \(V\) なので、これは \(B\) が環 \(A_{i, p}\) の極限であるという事実に帰着し、 その事実は構成から真である。写像 \(\alpha : J \to I\) は \(j = (i, p) \mapsto i\) という規則で与えられる。 開部分スキーム \(V'_j\) は、上の \(V_i \to S_{i, p}\) の像にほかならない。 (5) の図式の可換性は構成から明らかである。これで補題の証明は終わる。
命題
\(S\) を準コンパクトかつ準分離なスキームとする。 有向集合 \(I\) と、スキームの逆系 \((S_i, f_{ii'})\)(これは \(I\) 上の逆系)で 次を満たすものが存在する:
推移射 \(f_{ii'}\) はアフィンであり、
各 \(S_i\) は \(\mathbf{Z}\) 上有限型であり、
\(S = \lim_i S_i\) である。
証明
これは Lemma 07RN の \(V = \emptyset\) とした特別な場合である。
極限と有限表示射
次は Algebra, Lemma 00QO の一般化である。
命題
\(f : X \to S\) をスキームの射とする。 次の条件は同値である:
射 \(f\) は局所有限表示である。
任意の有向集合 \(I\) と、逆系 \((T_i, f_{ii'})\) で、 \(S\)-スキームからなり \(I\) 上で添字付けられ、各 \(T_i\) がアフィンであるものに対して、 \[\Mor_S(\lim_i T_i, X) = \colim_i \Mor_S(T_i, X)\] が成り立つ。
任意の有向集合 \(I\) と、逆系 \((T_i, f_{ii'})\) で、 \(S\)-スキームからなり \(I\) 上で添字付けられ、各 \(f_{ii'}\) がアフィンであり、すべての \(T_i\) がスキームとして準コンパクトかつ準分離であるものに対して、 \[\Mor_S(\lim_i T_i, X) = \colim_i \Mor_S(T_i, X)\] が成り立つ。
証明
(3) が (2) を含意することは明らかである。
(2) が (1) を含意することを証明しよう。(2) を仮定する。 アフィン開集合 \(U \subset X\) と \(V \subset S\) を、 \(f(U) \subset V\) となるよう任意に選ぶ。 \(\mathcal{O}_S(V) \to \mathcal{O}_X(U)\) が有限表示であることを 示さなければならない。\((A_i, \varphi_{ii'})\) を \(\mathcal{O}_S(V)\)-代数の有向系とする。\(A = \colim_i A_i\) とおく。 Algebra, Lemma 00QO によれば、 \[\Hom_{\mathcal{O}_S(V)}(\mathcal{O}_X(U), A) = \colim_i \Hom_{\mathcal{O}_S(V)}(\mathcal{O}_X(U), A_i)\] を示せばよい。スキーム \(T_i = \Spec(A_i)\) を考える。 これらは \(V\)-スキームの逆系をなし、その添字集合は \(I\) であり、推移射 \(f_{ii'} : T_i \to T_{i'}\) は \(\mathcal{O}_S(V)\)-代数写像 \(\varphi_{i'i}\) により誘導される。 \(T := \Spec(A) = \lim_i T_i\) とおく。上の公式をスキームの射の集合で 書き直すと \[\Mor_V(\lim_i T_i, U) = \colim_i \Mor_V(T_i, U).\] となる。まず \(\Mor_V(T_i, U) = \Mor_S(T_i, U)\) および \(\Mor_V(T, U) = \Mor_S(T, U)\) であることに注意する。従って \[\Mor_S(\lim_i T_i, U) = \colim_i \Mor_S(T_i, U)\] を示せばよく、仮定として \[\Mor_S(\lim_i T_i, X) = \colim_i \Mor_S(T_i, X).\] が与えられている。それゆえ、射 \(g_i : T_i \to X\) が \(S\) 上で与えられ、 合成 \(T \to T_i \to X\) の像が \(U\) に含まれるとき、ある \(i' \geq i\) が存在して、合成 \(g_{i'} : T_{i'} \to T_i \to X\) の像も \(U\) に含まれることを証明すれば十分である。 \(Z_{i'} = g_{i'}^{-1}(X \setminus U)\) と書く。矛盾を導くため、 各 \(Z_{i'}\) は空でないと仮定する。Lemma 01Z3 により、点 \(t\) で \(T\) に属し、 \(Z_{i'}\) にすべての \(i' \geq i\) に対して写るものが存在する。 この点は \(U\) に写らない。これは矛盾である。
最後に (1) が (3) を含意することを証明しよう。(1) を仮定する。 有向逆系 \((T_i, f_{ii'})\) が \(S\)-スキームからなるものとして与えられたとする。 射 \(f_{ii'}\) はアフィンで、各 \(T_i\) はスキームとして準コンパクトかつ 準分離であると仮定する。\(T = \lim_i T_i\) とおく。 射影射を \(f_i : T \to T_i\) と書く。次を示さなければならない:
射 \(g_i, g'_i : T_i \to X\) が \(S\) 上で与えられ、 \(g_i \circ f_i = g'_i \circ f_i\) ならば、ある \(i' \geq i\) が存在して \(g_i \circ f_{i'i} = g'_i \circ f_{i'i}\) となる。
任意の射 \(g : T \to X\) で \(S\) 上のものに対し、ある \(i \in I\) と射 \(g_i : T_i \to X\) が存在して \(g = f_i \circ g_i\) となる。
まず一意性の部分 (a) を証明する。\(g_i, g'_i : T_i \to X\) を \(g_i \circ f_i = g'_i \circ f_i\) を満たす射とする。 任意の \(i' \geq i\) に対して \(g_{i'} = g_i \circ f_{i'i}\) および \(g'_{i'} = g'_i \circ f_{i'i}\) とおく。また \(g = g_i \circ f_i = g'_i \circ f_i\) とおく。射 \((g_i, g'_i) : T_i \to X \times_S X\) を考える。次のようにおく: \[W = \bigcup\nolimits_{U \subset X\text{ affine open}, V \subset S\text{ affine open}, f(U) \subset V} U \times_V U.\] これは \(X \times_S X\) の開集合であり、射 \(\Delta_{X/S}\) が \(W\) への閉埋め込みを経由するという性質をもつ。Schemes, Lemma 01KJ の証明を参照せよ。 仮定により対角を経由するので、合成 \((g_i, g'_i) \circ f_i : T \to X \times_S X\) は \(W\) への射である。 \(Z_{i'} = (g_{i'}, g'_{i'})^{-1}(X \times_S X \setminus W)\) とおく。 各 \(Z_{i'}\) が空でなければ、Lemma 01Z3 により、点 \(t \in T\) で \(Z_{i'}\) にすべての \(i' \geq i\) に対して写るものが存在する。 これは \(T\) が \(W\) に写ることと矛盾する。 従って \(i\) を大きくして、\((g_i, g'_i) : T_i \to X \times_S X\) が \(W\) への射であると仮定してよい。\(W\) の構成と \(T_i\) の 準コンパクト性により、有限アフィン開被覆 \(T_i = T_{1, i} \cup \ldots \cup T_{n, i}\) で、各制限 \((g_i, g'_i)|_{T_{j, i}}\) が \(U \times_V U\) への射となるものを見つけられる。 ここで \((U, V)\) は上の \(W\) の定義に現れるある組である。 \(g_{i'}\) と \(g'_{i'}\) が各 \(f_{i'i}^{-1}(T_{j, i})\) 上で一致することを示せば十分なので、 アフィンの場合に帰着する。アフィンの場合は Algebra, Lemma 00QO と、環写像 \(\mathcal{O}_S(V) \to \mathcal{O}_X(U)\) が有限表示であるという事実から従う (Morphisms, Lemma 01TQ を参照)。
最後に存在の部分 (b) を証明する。 \(g : T \to X\) を \(S\) 上のスキームの射とする。 有限アフィン開被覆 \(T = W_1 \cup \ldots \cup W_n\) を、 各 \(j \in \{1, \ldots, n\}\) に対してアフィン開集合 \(U_j \subset X\) と \(V_j \subset S\) が存在し、 \(f(U_j) \subset V_j\) かつ \(g(W_j) \subset U_j\) となるように選べる。 Lemmas 01Z4 および 01Z6 により(必要なら \(I\) を縮めた後)、 推移写像と両立するアフィン開被覆 \(T_i = W_{1, i} \cup \ldots \cup W_{n, i}\) が存在し、 \(W_j = \lim_i W_{j, i}\) であると仮定してよい。 アフィンスキーム \(U_j\)、\(V_j\)、\(W_{j, i}\) および \(W_j\) に対応する環に Algebra, Lemma 00QO を適用する。 ここで \(\mathcal{O}_S(V_j) \to \mathcal{O}_X(U_j)\) が有限表示であることを用いる (Morphisms, Lemma 01TQ を参照)。 従って各 \(j\) に対し、添字 \(i_j \in I\) と射 \(g_{j, i_j} : W_{j, i_j} \to X\) で、 \(g_{j, i_j} \circ f_i|_{W_j} : W_j \to W_{j, i} \to X\) が \(g|_{W_j}\) に等しいものを見つけられる。 上で証明した (a) により、また \(W_{j_1, i} \cap W_{j_2, i}\) が準コンパクトであること (これは \(T_i\) が準分離であることから従う)を用いて、 添字 \(i' \in I\) で、すべての \(i_j\) より大きいものを見つけ、 次が成り立つようにできる: \[g_{j_1, i_{j_1}} \circ f_{i'i_{j_1}}|_{W_{j_1, i'} \cap W_{j_2, i'}} = g_{j_2, i_{j_2}} \circ f_{i'i_{j_2}}|_{W_{j_1, i'} \cap W_{j_2, i'}}\] これはすべての \(j_1, j_2 \in \{1, \ldots, n\}\) に対して成り立つ。 従って射 \(g_{j, i_j} \circ f_{i'i_j}|_{W_{j, i'}}\) は貼り合わさり、 所望の射 \(T_{i'} \to X\) を与える。
注意
\(S\) をスキームとする。関手 \(F : (\Sch/S)^{opp} \to \textit{Sets}\) が 極限を保存する とは、 アフィンスキームの任意の有向逆系 \(\{T_i\}_{i \in I}\) に対し、 その極限を \(T\) とすると \(F(T) = \colim_i F(T_i)\) が 成り立つことをいう。\(X\) を \(S\) 上のスキームとし、 \(h_X : (\Sch/S)^{opp} \to \textit{Sets}\) をその点関手とする。 Schemes, Section 01JF を参照せよ。 この用語では Proposition 01ZC は、 スキーム \(X\) が \(S\) 上局所有限表示であることと \(h_X\) が極限を保存することが同値であると述べている。
補題
\(f : X \to S\) をスキームの射とする。アフィンスキームの 任意の有向極限 \(T = \lim_{i \in I} T_i\) で \(S\) 上のものに対して写像 \[\colim \Mor_S(T_i, X) \longrightarrow \Mor_S(T, X)\] が全射ならば、\(f\) は局所有限表示である。言い換えると、 Proposition 01ZC の (2) と (3) では、この写像の全射性だけを調べれば十分である。
証明
証明は Proposition 01ZC における 含意「(2) implies (1)」の証明とまったく同じである。 アフィン開集合 \(U \subset X\) と \(V \subset S\) を、 \(f(U) \subset V\) となるよう任意に選ぶ。 \(\mathcal{O}_S(V) \to \mathcal{O}_X(U)\) が有限表示であることを 示さなければならない。\((A_i, \varphi_{ii'})\) を \(\mathcal{O}_S(V)\)-代数の有向系とする。\(A = \colim_i A_i\) とおく。 Algebra, Lemma 00QO によれば、 \[\colim_i \Hom_{\mathcal{O}_S(V)}(\mathcal{O}_X(U), A_i) \to \Hom_{\mathcal{O}_S(V)}(\mathcal{O}_X(U), A)\] が全射であることを示せば十分である。 スキーム \(T_i = \Spec(A_i)\) を考える。これらは \(V\)-スキームの 逆系をなし、その添字集合は \(I\) であり、推移射 \(f_{ii'} : T_i \to T_{i'}\) は \(\mathcal{O}_S(V)\)-代数写像 \(\varphi_{i'i}\) により誘導される。 \(T := \Spec(A) = \lim_i T_i\) とおく。上の公式をスキームの射の集合で 書き直すと \[\colim_i \Mor_V(T_i, U) \to \Mor_V(\lim_i T_i, U)\] となる。まず \(\Mor_V(T_i, U) = \Mor_S(T_i, U)\) および \(\Mor_V(T, U) = \Mor_S(T, U)\) であることに注意する。従って \[\colim_i \Mor_S(T_i, U) \to \Mor_S(\lim_i T_i, U)\] が全射であることを示せばよく、仮定として \[\colim_i \Mor_S(T_i, X) \to \Mor_S(\lim_i T_i, X)\] が全射であることが与えられている。 それゆえ、射 \(g_i : T_i \to X\) が \(S\) 上で与えられ、 合成 \(T \to T_i \to X\) の像が \(U\) に含まれるとき、ある \(i' \geq i\) が存在して、合成 \(g_{i'} : T_{i'} \to T_i \to X\) の像も \(U\) に含まれることを証明すれば十分である。 \(Z_{i'} = g_{i'}^{-1}(X \setminus U)\) と書く。矛盾を導くため、 各 \(Z_{i'}\) は空でないと仮定する。Lemma 01Z3 により、点 \(t\) で \(T\) に属し、 \(Z_{i'}\) にすべての \(i' \geq i\) に対して写るものが存在する。 この点は \(U\) に写らない。これは矛盾である。
次は Proposition 01ZC の応用例である。
補題
\(S\) をスキームとする。\(X\) と \(Y\) を \(S\) 上のスキームとする。 \(Y\) は \(S\) 上局所有限表示であると仮定する。 \(x \in X\) を閉点であって、 \(U = X \setminus \{x\} \to X\) が準コンパクトであるものとする。 \(V = \Spec(\mathcal{O}_{X, x}) \setminus \{x\}\) とおくと、全単射 \[\left\{ \begin{matrix} \text{morphisms }X \to Y\text{ over }S \end{matrix} \right\} \longrightarrow \left\{ \begin{matrix} (a, b)\text{ where } a : U \to Y\text{ and }b : \Spec(\mathcal{O}_{X, x}) \to Y\\ \text{ are morphisms over }S \text{ which agree over }V \end{matrix} \right\}\] が存在する。
証明
\(W \subset X\) を \(x\) の開近傍とする。スキームの貼り合わせ (Schemes, Section 01JA を参照)により、 射の組 \(a : U \to Y\) と \(c : W \to Y\) で \(U \cap W\) 上一致するものを考えれば、主張は成り立つ。 \(\mathcal{O}_{X, x} = \colim \mathcal{O}_W(W)\) である。ここで \(W\) は \(x\) の \(X\) におけるアフィン開近傍全体を走る。 従って \(\Spec(\mathcal{O}_{X, x}) = \lim W\) であり、ここで \(W\) は \(s\) のアフィン開近傍全体を走る。 それゆえ Proposition 01ZC により、 \(b : \Spec(\mathcal{O}_{X, x}) \to Y\) という任意の \(S\) 上の射は、 射 \(c : W \to Y\) で上のようなある \(W\) に対するものから来る (さらに \(c\) は \(W\) を縮めれば一意である)。 任意のアフィン開集合 \(x \in W\) に対して、\(U \cap W\) は \(U \to X\) が準コンパクトであることから準コンパクトである。 従って \(V = \lim W \cap U = \lim W \setminus \{x\}\) は 準コンパクトかつ準分離なスキームの極限である (Lemma 01YX を参照)。 従って \(a\) と \(b\) が \(V\) 上一致するならば、\(W\) を縮めた後、 \(a\) と \(c\) は \(U \cap W\) 上一致する(同じ命題による)。 これで補題が従う。
相対近似
Proposition 01ZA の基底上の変種を論じる。
補題
\(f : X \to S\) を準コンパクトかつ準分離なスキームの射とする。 このとき、有向集合 \(I\) と、スキームの射の逆系 \((f_i : X_i \to S_i)\)(これは \(I\) 上の逆系)が存在して、推移射 \(X_i \to X_{i'}\) と \(S_i \to S_{i'}\) はアフィン、\(X_i\) と \(S_i\) は \(\mathbf{Z}\) 上有限型であり、かつ \((X \to S) = \lim (X_i \to S_i)\) となる。
証明
Proposition 01ZA のように \(X = \lim_{a \in A} X_a\) および \(S = \lim_{b \in B} S_b\) と書く。 すなわち、\(X_a\) と \(S_b\) は \(\mathbf{Z}\) 上有限型であり、 推移射はアフィンである。
\(b \in B\) を固定する。Proposition 01ZC を \(S_b\) と \(X = \lim X_a\) に \(\mathbf{Z}\) 上で適用すると、 ある \(a \in A\) と、図式 \[\xymatrix{ X \ar[d] \ar[r] & S \ar[d] \\ X_a \ar[r] & S_b }\] を可換にする射 \(f_{a, b} : X_a \to S_b\) が存在することが分かる。 \(I\) を、この方法で得られる三つ組 \((a, b, f_{a, b})\) の集合とする。
\((a, b, f_{a, b})\) と \((a', b', f_{a', b'})\) を \(I\) の元とする。 \(b'' \leq \min(b, b')\) とする。再び Proposition 01ZC により、 \(a'' \geq \max(a, a')\) が存在して、合成 \(X_{a''} \to X_a \to S_b \to S_{b''}\) と \(X_{a''} \to X_{a'} \to S_{b'} \to S_{b''}\) が等しくなる。 \(I\) に次の前順序を入れる: \[(a, b, f_{a, b}) \geq (a', b', f_{a', b'}) \Leftrightarrow a \geq a',\ b \geq b',\text{ and } g_{b, b'} \circ f_{a, b} = f_{a', b'} \circ h_{a, a'}\] ここで \(h_{a, a'} : X_a \to X_{a'}\) と \(g_{b, b'} : S_b \to S_{b'}\) は 推移射である。上の議論から、\(I\) は有向であり、写像 \(I \to A\)、\((a, b, f_{a, b}) \mapsto a\) と \(I \to B\)、\((a, b, f_{a, b})\) は余終的である。 \(i = (a, b, f_{a, b})\) に対して \(X_i = X_a\)、\(S_i = S_b\)、 \(f_i = f_{a, b}\) とおけば、\(I\) 上の射の逆系が得られ、 \[\lim_{i \in I} X_i = \lim_{a \in A} X_a = X \quad\text{and}\quad \lim_{i \in I} S_i = \lim_{b \in B} S_b = S\] が成り立つ。これは Categories, Lemma 002R による (\(I\) 上の極限は実際には \(I\) に付随する反対圏上の極限なので、 余終性が始対象性に変わることを思い出そう)。 これで証明は終わる。
補題
\(f : X \to S\) をスキームの射とする。次を仮定する:
\(X\) は準コンパクトかつ準分離であり、
\(S\) は準分離である。
このとき \(X = \lim X_i\) は、スキーム \(X_i\) の有向系で、 各項が \(S\) 上有限表示であり、\(S\) 上の推移射がアフィンであるものの極限である。
証明
\(f(X)\) は準コンパクトなので、\(S\) を \(f(X)\) を含む 準コンパクト開集合で置き換えてよい。従って \(S\) は準コンパクトと仮定できる。 Lemma 0GS1 により、アフィン推移射をもつ ある有向逆系に対して \((X \to S) = \lim (X_i \to S_i)\) と書ける。 これは \(\mathbf{Z}\) 上有限型スキームの射からなる。 極限は極限と可換するので (Categories, Lemma 002M)、 \(X = \lim X_i \times_{S_i} S\) である。 \(i \geq i'\) を \(I\) においてとる。射 \(X_i \times_{S_i} S \to X_{i'} \times_{S_{i'}} S\) はアフィンである。 実際、これは合成 \[X_i \times_{S_i} S \to X_i \times_{S_{i'}} S \to X_{i'} \times_{S_{i'}} S\] であり、第1の射は閉埋め込み (Schemes, Lemma 01KR による)、 第2の射はアフィン射の基底変換 (Morphisms, Lemma 01SD)であり、 アフィン射の合成はアフィンだからである (Morphisms, Lemma 01SC)。 射 \(f_i\) は有限表示である (Morphisms, Lemmas 01TX および 02FV)。 従って基底変換 \(X_i \times_{f_i, S_i} S \to S\) は有限表示である (Morphisms, Lemma 01TS)。
補題
\(X \to S\) を整射とし、\(S\) は準コンパクトかつ準分離であるとする。 このとき \(X = \lim X_i\) と書け、\(X_i \to S\) は有限かつ有限表示である。
証明
層 \(\mathcal{A} = f_*\mathcal{O}_X\) を考える。これは \(\mathcal{O}_S\)-代数の準連接層である。Schemes, Lemma 01LC を参照せよ。 Properties, Lemma 0817 により、 \(\mathcal{A} = \colim_i \mathcal{A}_i\) と書ける。これは有限かつ 有限表示な \(\mathcal{O}_S\)-代数のフィルター付き余極限である。このとき \[X_i = \underline{\Spec}_S(\mathcal{A}_i) \longrightarrow S\] は有限かつ有限表示なスキームの射である。構成により \(X = \lim_i X_i\) であり、補題が証明された。
射の性質の降下
本節は、\(S\) 上の射の性質に関する Section 081A の類似である。以下の状況で議論する。
設定
\(S = \lim S_i\) を、アフィン推移射をもつスキームの有向系の極限とする (Lemma 01YX)。 \(0 \in I\) とし、\(f_0 : X_0 \to Y_0\) を \(S_0\) 上のスキームの射とする。 \(S_0\), \(X_0\), \(Y_0\) は準コンパクトかつ準分離であると仮定する。 \(f_i : X_i \to Y_i\) を \(f_0\) の \(S_i\) への基底変換とし、 \(f : X \to Y\) を \(f_0\) の \(S\) への基底変換とする。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 \(f\) がアフィンならば、ある添字 \(i \geq 0\) が存在して、\(f_i\) はアフィンである。
証明
\(Y_0 = \bigcup_{j = 1, \ldots, m} V_{j, 0}\) を有限アフィン開被覆とする。 \(U_{j, 0} = f_0^{-1}(V_{j, 0})\) とおく。\(i \geq 0\) に対して、 \(V_{j, i}\) で \(V_{j, 0}\) の \(Y_i\) における逆像を表し、 \(U_{j, i} = f_i^{-1}(V_{j, i})\) とおく。同様に \(U_j = f^{-1}(V_j)\) である。このとき \(U_j = \lim_{i \geq 0} U_{j, i}\) である (Lemma 01YX を参照)。 仮定により \(U_j\) はアフィンなので、各 \(U_{j, i}\) は 十分大きい \(i\) に対してアフィンであることが Lemma 01Z6 から分かる。\(j\) は有限個しかないので、 \(i\) を選び、それがすべての \(j\) に対して使えるようにできる。従って \(f_i\) は 十分大きい \(i\) に対してアフィンである。Morphisms, Lemma 01S8 を参照せよ。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 次を仮定する:
\(f\) は有限射であり、
\(f_0\) は局所有限型である。
このとき、ある \(i \geq 0\) が存在して、\(f_i\) は有限である。
証明
有限射はアフィンである。Morphisms, Definition 01WH を参照せよ。 従って上の Lemma 01ZN により、 \(0\) を大きくした後、\(f_0\) はアフィンであると仮定してよい。 \(Y_0\) を有限個のアフィンの和として書くことにより、\(X_0\) と \(Y_0\) が ともにアフィンで、共通のアフィン \(W \subset S_0\) に写る場合へ帰着する。 対応する代数の主張は Algebra, Lemma 07RG から従う。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 次を仮定する:
\(f\) は不分岐であり、
\(f_0\) は局所有限型である。
このとき、ある \(i \geq 0\) が存在して、\(f_i\) は不分岐である。
証明
有限アフィン開被覆 \(Y_0 = \bigcup_{j = 1, \ldots, m} Y_{j, 0}\) で、各 \(Y_{j, 0}\) があるアフィン開集合 \(S_{j, 0} \subset S_0\) に写るものを選ぶ。各 \(j\) に対して、 \(f_0^{-1}Y_{j, 0} = \bigcup_{k = 1, \ldots, n_j} X_{k, 0}\) を 有限アフィン開被覆とする。不分岐であるという性質は局所的なので、 アフィン間の射 \(X_{k, i} \to Y_{j, i} \to S_{j, i}\)、すなわち \(X_{k, 0} \to Y_{j, 0} \to S_{j, 0}\) を \(S_i\) へ基底変換して 得られる射に対して 補題を証明すれば十分である。従って \(X_0, Y_0, S_0\) が アフィンである場合へ帰着する。
アフィンの場合には、次の代数の結果へ帰着する。 \(R = \colim_{i \in I} R_i\) とする。ある \(0 \in I\) に対して、 有限型な \(R_0\)-代数写像 \(A_i \to B_i\) が与えられているとする。 \(R \otimes_{R_0} A_0 \to R \otimes_{R_0} B_0\) が不分岐ならば、 ある \(i \geq 0\) に対して写像 \(R_i \otimes_{R_0} A_0 \to R_i \otimes_{R_0} B_0\) は不分岐である。 これは Algebra, Lemma 0C4F から従う。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 次を仮定する:
\(f\) は閉埋め込みであり、
\(f_0\) は局所有限型である。
このとき、ある \(i \geq 0\) が存在して、\(f_i\) は閉埋め込みである。
証明
閉埋め込みはアフィンである。Morphisms, Lemma 01SE を参照せよ。 従って上の Lemma 01ZN により、 \(0\) を大きくした後、\(f_0\) はアフィンであると仮定してよい。 \(Y_0\) を有限個のアフィンの和として書くことにより、\(X_0\) と \(Y_0\) が ともにアフィンで、共通のアフィン \(W \subset S_0\) に写る場合へ帰着する。 対応する代数の主張は Algebra, Lemma 07RH の帰結である。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 \(f\) が分離的ならば、\(f_i\) はある \(i \geq 0\) に対して分離的である。
証明
対角射 \(\Delta_{X_0/S_0} : X_0 \to X_0 \times_{S_0} X_0\) に Lemma 01ZP を適用する。 (対角射は局所有限型であり、ファイバー積 \(X_0 \times_{S_0} X_0\) は準コンパクトかつ準分離なので、これは可能である。 Schemes, Lemma 01KJ, Morphisms, Lemma 01T5, および Schemes, Remark 0816 を参照せよ。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 次を仮定する:
\(f\) は平坦であり、
\(f_0\) は局所有限表示である。
このとき、\(f_i\) はある \(i \geq 0\) に対して平坦である。
証明
有限アフィン開被覆 \(Y_0 = \bigcup_{j = 1, \ldots, m} Y_{j, 0}\) で、各 \(Y_{j, 0}\) があるアフィン開集合 \(S_{j, 0} \subset S_0\) に写るものを選ぶ。各 \(j\) に対して、 \(f_0^{-1}Y_{j, 0} = \bigcup_{k = 1, \ldots, n_j} X_{k, 0}\) を 有限アフィン開被覆とする。平坦であるという性質は局所的なので、 アフィン間の射 \(X_{k, i} \to Y_{j, i} \to S_{j, i}\)、すなわち \(X_{k, 0} \to Y_{j, 0} \to S_{j, 0}\) を \(S_i\) へ基底変換して 得られる射に対して 補題を証明すれば十分である。従って \(X_0, Y_0, S_0\) が アフィンである場合へ帰着する。
アフィンの場合には、次の代数の結果へ帰着する。 \(R = \colim_{i \in I} R_i\) とする。ある \(0 \in I\) に対して、 有限表示な \(R_0\)-代数写像 \(A_i \to B_i\) が与えられているとする。 \(R \otimes_{R_0} A_0 \to R \otimes_{R_0} B_0\) が平坦ならば、 ある \(i \geq 0\) に対して写像 \(R_i \otimes_{R_0} A_0 \to R_i \otimes_{R_0} B_0\) は平坦である。 これは Algebra, Lemma 02JO part (3) から従う。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 次を仮定する:
\(f\) は有限局所自由(次数 \(d\))であり、
\(f_0\) は局所有限表示である。
このとき、\(f_i\) は有限局所自由(次数 \(d\))となる ある \(i \geq 0\) が存在する。
証明
Lemmas 04AI および 01ZO により、ある \(i\) が得られ、その \(f_i\) は平坦かつ有限である。 一方、\(f_i\) は局所有限表示である。従って Morphisms, Lemma 02KB により、 \(f_i\) は有限局所自由である。さらに \(f\) が次数 \(d\) の有限局所自由射ならば、 \(Y \to Y_i\) の像は、開かつ閉な部分 \(W_d \subset Y_i\) で、その上で \(f_i\) の次数が \(d\) となるものに含まれる。Lemma 05F4 により、ある \(i' \geq i\) に対して \(Y_{i'} \to Y_i\) の像は \(W_d\) に含まれる。従って \(f_{i'}\) は次数 \(d\) の有限局所自由射となる。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 次を仮定する:
\(f\) は滑らかであり、
\(f_0\) は局所有限表示である。
このとき、\(f_i\) はある \(i \geq 0\) に対して滑らかである。
証明
滑らかであることは始域と終域の上で局所的である (Morphisms, Lemma 01V6)。 従って \(S_0, X_0, Y_0\) はアフィンであると仮定してよい (詳細は省略する)。対応する代数の事実は Algebra, Lemma 0C0B である。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 次を仮定する:
\(f\) は étale であり、
\(f_0\) は局所有限表示である。
このとき、\(f_i\) はある \(i \geq 0\) に対して étale である。
証明
étale であることは始域と終域の上で局所的である (Morphisms, Lemma 02GJ)。 従って \(S_0, X_0, Y_0\) はアフィンであると仮定してよい (詳細は省略する)。対応する代数の事実は Algebra, Lemma 07RI である。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 次を仮定する:
\(f\) は同型であり、
\(f_0\) は局所有限表示である。
このとき、\(f_i\) はある \(i \geq 0\) に対して同型である。
証明
Lemmas 07RP および 01ZP により、ある \(i\) が得られ、その \(f_i\) は平坦かつ閉埋め込みである。 このとき \(f_i\) は \(X_i\) を \(Y_i\) の開かつ閉な部分スキームと同一視する。 Morphisms, Lemma 0819 を参照せよ。 仮定により、\(Y \to Y_i\) の像は \(f_i(X_i)\) に写る。 従って Lemma 05F4 により、 \(Y_{i'}\) が \(f_i(X_i)\) に写るような \(i' \geq i\) が存在する。 従って \(X_{i'} \to Y_{i'}\) は全射であり、主張が従う。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 次を仮定する:
\(f\) は開埋め込みであり、
\(f_0\) は局所有限表示である。
このとき、\(f_i\) はある \(i \geq 0\) に対して開埋め込みである。
証明
Lemma 07RP により、ある \(i\) が得られ、その \(f_i\) は étale である。このとき \(V_i = f_i(X_i)\) は \(Y_i\) の 準コンパクトな開部分スキームである (Morphisms, Lemma 03WT)。 \(V\) および \(V_{i'}\)(\(i' \geq i\))を、それぞれ \(V_i\) の \(Y\) および \(Y_{i'}\) における逆像とする。 このとき \(f : X \to V\) は同型である (すなわち、これは全射な開埋め込みである)。 従って Lemma 081E により、 \(X_{i'} \to V_{i'}\) はある \(i' \geq i\) に対して同型となり、 所望の結論を得る。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 次を仮定する:
\(f\) は埋め込みであり、
\(f_0\) は局所有限型である。
このとき、\(f_i\) はある \(i \geq 0\) に対して埋め込みである。
証明
開集合 \(V \subset Y\) で、射 \(f\) が \(X \to V \to Y\) と分解し、 \(X \to V\) が閉埋め込みとなるものが存在する。Schemes, Section 01IM の議論を参照せよ。 \(X\) は準コンパクトなので、\(V\) は \(Y\) の準コンパクトな開集合であると 仮定してよいし、そうする。Lemma 01Z4 により、 \(0\) を大きくした後、準コンパクトな開集合 \(V_0 \subset Y_0\) で、 \(V\) が \(V_0\) の逆像となるものを選べる。このとき \(V_0\) の \(X_0\) における逆像は準コンパクトな開集合であり、 その \(X\) における逆像は \(X\) である。 従って同じ補題を \(X = \lim X_i\) に適用することにより、 \(0\) を大きくした後、分解 \(X_0 \to V_0 \to Y_0\) を もつと仮定してよい。このとき十分大きい \(i \geq 0\) に対して、射 \(X_i \to V_i\) は、\(V_i = Y_i \times_{Y_0} V_0\) とおけば、 Lemma 01ZP により閉埋め込みとなる。これで証明は完了する。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 次を仮定する:
\(f\) はモノ射であり、
\(f_0\) は局所有限型である。
このとき、\(f_i\) はある \(i \geq 0\) に対してモノ射である。
証明
スキームの射 \(V \to W\) がモノ射であるための必要十分条件は、 対角射 \(V \to V \times_W V\) が同型となることである (Schemes, Lemma 01L3)。 射 \(X_0 \to X_0 \times_{Y_0} X_0\) は、Morphisms, Lemma 0818 により局所有限表示である。\(X_0 \times_{Y_0} X_0\) は 準コンパクトかつ準分離なので (Schemes, Remark 0816)、 Lemma 081E から、 \(\Delta_i : X_i \to X_i \times_{Y_i} X_i\) は、ある \(i \geq 0\) に対して 同型であると結論できる。 この \(i\) に対して射 \(f_i\) はモノ射である。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 次を仮定する:
\(f\) は全射であり、
\(f_0\) は局所有限表示である。
このとき、ある \(i \geq 0\) が存在して、\(f_i\) は全射である。
証明
射 \(f_0\) は有限表示である。 従って \(E = f_0(X_0)\) は \(Y_0\) の構成可能部分集合である。 Morphisms, Lemma 054J を参照せよ。 \(f_i\) は \(f_0\) の \(Y_i \to Y_0\) による基底変換なので、 \(f_i\) の像は \(E\) の \(Y_i\) における逆像である。 さらに、\(Y \to Y_0\) が \(E\) に写ることが分かっている。 従って Lemma 05F4 により 主張が従う。
補題
記法と仮定は Situation 081D のとおりとする。 次を仮定する:
\(f\) はシントミックであり、
\(f_0\) は局所有限表示である。
このとき、ある \(i \geq 0\) が存在して、\(f_i\) はシントミックである。
証明
有限アフィン開被覆 \(Y_0 = \bigcup_{j = 1, \ldots, m} Y_{j, 0}\) で、各 \(Y_{j, 0}\) があるアフィン開集合 \(S_{j, 0} \subset S_0\) に写るものを選ぶ。各 \(j\) に対して、 \(f_0^{-1}Y_{j, 0} = \bigcup_{k = 1, \ldots, n_j} X_{k, 0}\) を 有限アフィン開被覆とする。シントミックであるという性質は局所的なので、 アフィン間の射 \(X_{k, i} \to Y_{j, i} \to S_{j, i}\)、すなわち \(X_{k, 0} \to Y_{j, 0} \to S_{j, 0}\) を \(S_i\) へ基底変換して 得られる射に対して 補題を証明すれば十分である。従って \(X_0, Y_0, S_0\) が アフィンである場合へ帰着する。
アフィンの場合には、次の代数の結果へ帰着する。 \(R = \colim_{i \in I} R_i\) とする。ある \(0 \in I\) に対して、 有限表示な \(R_0\)-代数写像 \(A_i \to B_i\) が与えられているとする。 \(R \otimes_{R_0} A_0 \to R \otimes_{R_0} B_0\) がシントミックならば、 ある \(i \geq 0\) に対して写像 \(R_i \otimes_{R_0} A_0 \to R_i \otimes_{R_0} B_0\) はシントミックである。 これは Algebra, Lemma 0C33 から従う。
有限型を有限表示の中へ閉埋め込みすること
この種の結果として [Kiehl, Satz 2.10] がある。別の文献は [Conrad-Nagata] である。
補題
\(f : X \to S\) をスキームの射とする。次を仮定する:
射 \(f\) は局所有限型である。
スキーム \(X\) は準コンパクトかつ準分離である。
このとき、有限表示な射 \(f' : X' \to S\) と、 スキームの埋め込み \(X \to X'\) で \(S\) 上のものが存在する。
証明
Proposition 01ZA により、 \(X = \lim_i X_i\) と書ける。ここで各 \(X_i\) は \(\mathbf{Z}\) 上有限型であり、 推移射 \(f_{ii'} : X_i \to X_{i'}\) はアフィンである。 可換図式 \[\xymatrix{ X \ar[r] \ar[rd] & X_{i, S} \ar[r] \ar[d] & X_i \ar[d] \\ & S \ar[r] & \Spec(\mathbf{Z}) }\] を考える。\(X_i\) は \(\Spec(\mathbf{Z})\) 上有限表示であることに注意せよ。 Morphisms, Lemma 01TX を参照せよ。 従って基底変換 \(X_{i, S} \to S\) は、Morphisms, Lemma 01TS により有限表示である。 それゆえ、矢印 \(X \to X_{i, S}\) が十分大きい \(i\) に対して 埋め込みであることを示せば十分である。
このため、有限アフィン開被覆 \(X = V_1 \cup \ldots \cup V_n\) で、\(f\) が各 \(V_j\) を アフィン開集合 \(U_j \subset S\) に写すものを選ぶ。 \(h_{j, a} \in \mathcal{O}_X(V_j)\) を、 \(\mathcal{O}_X(V_j)\) を \(\mathcal{O}_S(U_j)\)-代数として生成する 有限個の元とする。Morphisms, Lemma 01T2 を参照せよ。 Lemmas 01Z4 および 01Z6 により、 (必要なら \(I\) を縮小した後)推移写像と両立するアフィン開被覆 \(X_i = V_{1, i} \cup \ldots \cup V_{n, i}\) で \(V_j = \lim_i V_{j, i}\) となるものが存在すると仮定してよい。 Lemma 01Z0 により、\(i\) を十分大きく選び、 各 \(h_{j, a}\) が元 \(h_{j, a, i} \in \mathcal{O}_{X_i}(V_{j, i})\) から来るようにできる。従って \[V_j \longrightarrow U_j \times_{\Spec(\mathbf{Z})} V_{j, i} = (V_{j, i})_{U_j} \subset (V_{j, i})_S \subset X_{i, S}\] における矢印は閉埋め込みである。 \(\bigcup (V_{j, i})_{U_j}\) は \(X_{i, S}\) の開集合をなし、かつ \((V_{j, i})_{U_j}\) の \(X\) における逆像は \(V_j\) なので、 \(X \to X_{i, S}\) は埋め込みである。
注意
\(S\) および射 \(f : X \to S\) についてこれ以上仮定しない限り、 この結論を強めることはできない。例えば一般には、補題における 閉埋め込み \(X \to X'\) を見つけることはできない。 その理由は、これが \(f\) の準コンパクト性を含意する一方、 実際にはそうでない場合があるからである。一例として、\(S\) を \(0\) を二重点化した無限次元アフィン空間とし、\(X\) を二つの 無限次元アフィン空間の一方とすればよい。
補題
\(f : X \to S\) をスキームの射とする。次を仮定する:
射 \(f\) は局所有限型である。
スキーム \(X\) は準コンパクトかつ準分離であり、
スキーム \(S\) は準分離である。
このとき、有限表示な射 \(f' : X' \to S\) と、 スキームの閉埋め込み \(X \to X'\) で \(S\) 上のものが存在する。
証明
上の Lemma 01ZE により、 有限表示な射 \(Y \to S\) と、スキームの埋め込み \(i : X \to Y\) で \(S\) 上のものが存在する。各点 \(x \in X\) に対して、 アフィン開集合 \(V_x \subset Y\) で \(i^{-1}(V_x) \to V_x\) が閉埋め込みとなるものが存在する。 \(X\) は準コンパクトなので、有限個のアフィン開集合 \(V_1, \ldots, V_n \subset Y\) で、 \(i(X) \subset V_1 \cup \ldots \cup V_n\) かつ \(i^{-1}(V_j) \to V_j\) が閉埋め込みとなるものを見つけられる。 言い換えれば、\(i : X \to X' = V_1 \cup \ldots \cup V_n\) は \(S\) 上のスキームの閉埋め込みとなる。\(S\) は準分離であり、 \(Y\) は \(S\) 上準分離なので、Schemes, Lemma 01KU により \(Y\) は準分離である。 従って開埋め込み \(X' = V_1 \cup \ldots \cup V_n \to Y\) は 準コンパクトである。このことから \(X' \to Y\) は有限表示である。 Morphisms, Lemma 01TU を参照せよ。従って \(X' \to Y \to S\) は有限表示な射の合成であり、 ゆえに有限表示であることから結論が従う (Morphisms, Lemma 01TR を参照)。
補題
\(X \to Y\) をスキームの閉埋め込みとする。\(Y\) は準コンパクトかつ 準分離であると仮定する。このとき \(X\) は有向極限 \(X = \lim X_i\) として書ける。これは \(Y\) 上のスキームからなり、 ここで \(X_i \to Y\) は 有限表示な閉埋め込みである。
証明
\(\mathcal{I} \subset \mathcal{O}_Y\) を、\(X\) を \(Y\) の 閉部分スキームとして定義する準連接イデアル層とする。 Properties, Lemma 01PG により、\(\mathcal{I}\) を有限型な準連接イデアル層の有向余極限 \(\mathcal{I} = \colim_{i \in I} \mathcal{I}_i\) として書ける。 \(X_i \subset Y\) を \(\mathcal{I}_i\) が定義する閉部分スキームとする。 これらは \(I\) で添字付けられたスキームの逆系をなす。 推移射 \(X_i \to X_{i'}\) は閉埋め込みなのでアフィンである。 各 \(X_i\) は \(Y\) の閉部分スキームであり、仮定により \(Y\) は 準コンパクトかつ準分離なので、これらも準コンパクトかつ準分離である。 \(X = \lim_i X_i\) は、 \(\mathcal{I} = \colim_{i \in I} \mathcal{I}_a\) という事実から直ちに従う。 各射 \(X_i \to Y\) は有限表示である。 Morphisms, Lemma 01TV を参照せよ。
補題
\(f : X \to S\) をスキームの射とする。次を仮定する:
射 \(f\) は局所有限型である。
スキーム \(X\) は準コンパクトかつ準分離であり、
スキーム \(S\) は準分離である。
このとき \(X = \lim X_i\) と書ける。ここで \(X_i \to S\) は 有限表示であり、\(X_i\) は準コンパクトかつ準分離であり、 推移射 \(X_{i'} \to X_i\) は閉埋め込みである (これは、\(X \to X_i\) がすべての \(i\) に対して閉埋め込みであることを含意する)。
証明
Lemma 01ZG により、 閉埋め込み \(X \to Y\) で \(Y \to S\) が有限表示となるものが存在する。 このとき Schemes, Lemma 01KU により \(Y\) は準分離である。 \(X\) は準コンパクトなので、\(Y\) は準コンパクトであると仮定してよい。 実際、\(Y\) を準コンパクトな開集合で \(X\) を含むものに置き換えればよい。 Lemma 09ZP により、 \(X = \lim X_i\) と書け、\(X_i \to Y\) は有限表示な閉埋め込みである。 Morphisms, Lemma 01TR により、 射 \(X_i \to S\) は有限表示である。
命題
\(f : X \to S\) をスキームの射とする。次を仮定する:
\(f\) は有限型かつ分離的であり、
\(S\) は準コンパクトかつ準分離である。
このとき、有限表示かつ分離的な射 \(f' : X' \to S\) と、 スキームの閉埋め込み \(X \to X'\) で \(S\) 上のものが存在する。
証明
Lemma 09ZQ を適用する。 Lemma 01ZH により、\(X_i \to S\) は 十分大きい \(i\) に対して分離的であることに注意すればよい。 これは \(X \to S\) が分離的であると仮定したためである。
補題
\(f : X \to S\) をスキームの射とする。次を仮定する:
\(f\) は有限であり、
\(S\) は準コンパクトかつ準分離である。
このとき、有限かつ有限表示な射 \(f' : X' \to S\) と、 スキームの閉埋め込み \(X \to X'\) で \(S\) 上のものが存在する。
証明
Lemma 09ZQ のように \(X = \lim X_i\) と書ける。Lemma 09ZN を適用すると、 \(X_i \to S\) は十分大きい \(i\) に対して有限である。
補題
\(f : X \to S\) をスキームの射とする。次を仮定する:
\(f\) は有限であり、
\(S\) は準コンパクトかつ準分離である。
このとき \(X\) は有向極限 \(X = \lim X_i\) である。ここで推移写像は 閉埋め込みであり、各対象 \(X_i\) は \(S\) 上有限かつ有限表示である。
証明
Lemma 09ZQ のように \(X = \lim X_i\) と書ける。Lemma 09ZN を適用すると、 \(X_i \to S\) は十分大きい \(i\) に対して有限である。
相対的対象の降下
次の補題は、本節で扱う結果の典型である。 「標準的な」証明を完全に書き下す。この証明を読むよりも、 結果が正しいことを自分で確かめるほうが速いかもしれない。
補題
\(I\) を有向集合とする。 \((S_i, f_{ii'})\) を \(I\) 上のスキームの逆系とする。次を仮定する:
射 \(f_{ii'} : S_i \to S_{i'}\) はアフィンであり、
スキーム \(S_i\) は準コンパクトかつ準分離である。
\(S = \lim_i S_i\) とする。このとき次が成り立つ:
任意の有限表示な射 \(X \to S\) に対して、添字 \(i \in I\) と 有限表示な射 \(X_i \to S_i\) が存在し、 \(X \cong X_{i, S}\) となる。この同型は \(S\) 上のスキームの同型である。
添字 \(i \in I\)、スキーム \(X_i\), \(Y_i\) で \(S_i\) 上 有限表示なもの、および射 \(\varphi : X_{i, S} \to Y_{i, S}\) で \(S\) 上のものが与えられたとする。 このとき添字 \(i' \geq i\) と射 \(\varphi_{i'} : X_{i, S_{i'}} \to Y_{i, S_{i'}}\) で、その \(S\) への基底変換が \(\varphi\) となるものが存在する。
添字 \(i \in I\)、スキーム \(X_i\), \(Y_i\) で \(S_i\) 上 有限表示なもの、および射の組 \(\varphi_i, \psi_i : X_i \to Y_i\) が与えられ、 その基底変換が \(\varphi_{i, S} = \psi_{i, S}\) を満たすとする。 このとき添字 \(i' \geq i\) で \(\varphi_{i, S_{i'}} = \psi_{i, S_{i'}}\) となるものが存在する。
言い換えれば、\(S\) 上有限表示なスキームの圏は、 \(I\) 上の、\(S_i\) 上有限表示なスキームの圏の余極限である。
証明
各スキーム \(S_i\) がアフィンであり、\(S_i\) 上、resp. \(S\) 上の 有限表示なアフィンスキームだけを考える場合、この補題は Algebra, Lemma 05N9 と同値である。 アフィンの場合から一般の場合が従うことを示す。
(3) を証明しよう。添字 \(i \in I\)、スキーム \(X_i\), \(Y_i\) で \(S_i\) 上有限表示なもの、および射の組 \(\varphi_i, \psi_i : X_i \to Y_i\) が与えられたとする。 基底変換が等しい、すなわち \(\varphi_{i, S} = \psi_{i, S}\) と仮定する。 \(X_{i'} = X_{i, S_{i'}}\) および \(Y_{i'} = Y_{i, S_{i'}}\) と書く。 この記法は \(i' \geq i\) に対して用いる。 さらに \(X = X_{i, S}\) および \(Y = Y_{i, S}\) とおく。 Lemma 01YZ によれば \(X = \lim_{i' \geq i} X_{i'}\) であり、\(Y\) についても同様である。 さらに \(\varphi_{i'}\) と \(\psi_{i'}\) (resp. \(\varphi\) と \(\psi\))で、それぞれ \(\varphi_i\) と \(\psi_i\) の \(S_{i'}\)(resp. \(S\))への基底変換を表す。 従って仮定は \(\varphi = \psi\) ということである。 \(Y_i\) と \(X_i\) は \(S_i\) 上有限表示であり、\(S_i\) は 準コンパクトかつ準分離なので、\(X_i\) と \(Y_i\) も 準コンパクトかつ準分離である(Morphisms, Lemma 01TY を参照)。従って有限アフィン開被覆 \(Y_i = \bigcup V_{j, i}\) で、各 \(V_{j, i}\) が \(S_i\) の あるアフィン開集合に写るものを選べる。上と同様に、 \(V_{j, i'}\) で \(V_{j, i}\) の \(Y_{i'}\) における逆像を表し、 \(V_j\) で \(Y\) における逆像を表す。 埋め込み \(V_{j, i'} \to Y_{i'}\) は準コンパクトであり、逆像 \(U_{j, i'} = \varphi_i^{-1}(V_{j, i'})\) と \(U_{j, i'}' = \psi_i^{-1}(V_{j, i'})\) は \(X_{i'}\) の 準コンパクトな開集合である。仮定により、\(V_j\) の \(\varphi\) と \(\psi\) による \(X\) における逆像は等しい。 従って Lemma 01Z4 により、添字 \(i' \geq i\) で、\(U_{j, i'} = U_{j, i'}'\) が \(X_{i'}\) において成り立つものが存在する。 有限アフィン開被覆 \(U_{j, i'} = U_{j, i'}' = \bigcup W_{j, k, i'}\) で、被覆 \(U_{j, i''} = U_{j, i''}' = \bigcup W_{j, k, i''}\) をすべての \(i'' \geq i'\) に対して を誘導するものを選ぶ。アフィンの場合により、添字 \(i''\) で \(\varphi_{i''}|_{W_{j, k, i''}} = \psi_{i''}|_{W_{j, k, i''}}\) がすべての \(j, k\) に対して成り立つものが存在する。 このとき \(i''\) は \(\varphi_{i''} = \psi_{i''}\) を満たす添字であり、 (3) が証明された。
(2) を証明しよう。添字 \(i \in I\)、スキーム \(X_i\), \(Y_i\) で \(S_i\) 上有限表示なもの、および射 \(\varphi : X_{i, S} \to Y_{i, S}\) が与えられたとする。 \(X_{i'} = X_{i, S_{i'}}\) および \(Y_{i'} = Y_{i, S_{i'}}\) と書く。 この記法は \(i' \geq i\) に対して用いる。 さらに \(X = X_{i, S}\) および \(Y = Y_{i, S}\) とおく。 Lemma 01YZ によれば \(X = \lim_{i' \geq i} X_{i'}\) であり、\(Y\) についても同様である。 \(Y_i\) と \(X_i\) は \(S_i\) 上有限表示であり、\(S_i\) は 準コンパクトかつ準分離なので、\(X_i\) と \(Y_i\) も 準コンパクトかつ準分離である(Morphisms, Lemma 01TY を参照)。従って有限アフィン開被覆 \(Y_i = \bigcup V_{j, i}\) で、各 \(V_{j, i}\) が \(S_i\) の あるアフィン開集合に写るものを選べる。上と同様に、 \(V_{j, i'}\) で \(V_{j, i}\) の \(Y_{i'}\) における逆像を表し、 \(V_j\) で \(Y\) における逆像を表す。 埋め込み \(V_j \to Y\) は準コンパクトであり、逆像 \(U_j = \varphi^{-1}(V_j)\) は \(X\) の準コンパクトな開集合である。 従って Lemma 01Z4 により、添字 \(i' \geq i\) と準コンパクトな開集合 \(U_{j, i'}\) で \(X_{i'}\) に含まれ、その \(X\) における逆像が \(U_j\) となるものが存在する。 有限アフィン開被覆 \(U_{j, i'} = \bigcup W_{j, k, i'}\) で、アフィン開被覆 \(U_{j, i''} = \bigcup W_{j, k, i''}\) をすべての \(i'' \geq i'\) に対して誘導し、さらにアフィン開被覆 \(U_j = \bigcup W_{j, k}\) を誘導するものを選ぶ。 アフィンの場合により、添字 \(i''\) と射 \(\varphi_{j, k, i''} : W_{j, k, i''} \to V_{j, i''}\) で、\(\varphi|_{W_{j, k}} = \varphi_{j, k, i'', S}\) が すべての \(j, k\) に対して成り立つものが存在する。 上で証明した (3) により、さらに大きい添字 \(i''' \geq i''\) で \[\varphi_{j_1, k_1, i'', S_{i'''}}|_{W_{j_1, k_1, i'''} \cap W_{j_2, k_2, i'''}} = \varphi_{j_2, k_2, i'', S_{i'''}}|_{W_{j_1, k_1, i'''} \cap W_{j_2, k_2, i'''}}\] がすべての \(j_1, j_2, k_1, k_2\) に対して成り立つものが存在する。 このとき \(i'''\) は、射 \(\varphi_{i'''} : X_{i'''} \to Y_{i'''}\) で、その \(S\) への 基底変換が \(\varphi\) となるものが存在するような添字である。 従って (2) が成り立つ。
(1) を証明しよう。スキーム \(X\) で \(S\) 上有限表示なものが 与えられたとする。 \(X\) は \(S\) 上有限表示であり、\(S\) は準コンパクトかつ準分離なので、 \(X\) も準コンパクトかつ準分離である(Morphisms, Lemma 01TY を参照)。有限アフィン開被覆 \(X = \bigcup U_j\) で、 各 \(U_j\) がアフィン開集合 \(V_j \subset S\) に写るものを選ぶ。 \(U_{j_1j_2} = U_{j_1} \cap U_{j_2}\) および \(U_{j_1j_2j_3} = U_{j_1} \cap U_{j_2} \cap U_{j_3}\) と書く。 Lemmas 01Z4 および 01Z6 により、 添字 \(i_1\) とアフィン開集合 \(V_{j, i_1} \subset S_{i_1}\) で、 各 \(V_j\) がその \(S\) における逆となるものを見つけられる。 \(V_{j, i}\) を \(V_{j, i_1}\) の \(S_i\) における逆像とする。 この記法は \(i \geq i_1\) に対して用いる。アフィンの場合により、 添字 \(i_2 \geq i_1\) と アフィンスキーム \(U_{j, i_2} \to V_{j, i_2}\) で、 その基底変換が \(U_j = S \times_{S_{i_2}} U_{j, i_2}\) となるものを 見つけられる。\(U_{j, i} = S_i \times_{S_{i_2}} U_{j, i_2}\) と書く。 この記法は \(i \geq i_2\) に対して用いる。 Lemma 01Z4 により、添字 \(i_3 \geq i_2\) と 開部分スキーム \(W_{j_1, j_2, i_3} \subset U_{j_1, i_3}\) で、 その \(S\) への基底変換が \(U_{j_1j_2}\) に等しいものが存在する。 \(W_{j_1, j_2, i} = S_i \times_{S_{i_3}} W_{j_1, j_2, i_3}\) と書く。 この記法は \(i \geq i_3\) に対して用いる。 上で示した (2) により、添字 \(i_4 \geq i_3\) と射 \(\varphi_{j_1, j_2, i_4} : W_{j_1, j_2, i_4} \to W_{j_2, j_1, i_4}\) で、その \(S\) への基底変換が恒等射 \(U_{j_1j_2} = U_{j_2j_1}\) をすべての \(j_1, j_2\) に対して 与えるものが存在する。 すべての \(i \geq i_4\) に対して \(\varphi_{j_1, j_2, i} = \text{id}_S \times \varphi_{j_1, j_2, i_4}\) をその基底変換として表す。ある \(i_5 \geq i_4\) に対して、系 \(((U_{j, i_5})_j, (W_{j_1, j_2, i_5})_{j_1, j_2}, (\varphi_{j_1, j_2, i_5})_{j_1, j_2})\) が Schemes, Section 01JA における貼り合わせデータを なすことを主張する。これを見るには、十分大きい \(i\) に対して \[\varphi_{j_1, j_2, i}^{-1}(W_{j_2, j_1, i} \cap W_{j_2, j_3, i}) = W_{j_1, j_2, i} \cap W_{j_1, j_3, i}\] が成り立ち、かつ十分大きい \(i\) に対してコサイクル条件が 成り立つことを確かめなければならない。 第1の条件は Lemma 01Z4 と \(U_{j_2j_1j_3} = U_{j_1j_2j_3}\) という事実から従う。 第2の条件は、上で証明した補題の (3) と、写像 \(\text{id} : U_{j_1j_2} \to U_{j_2j_1}\) に対して コサイクル条件が成り立つことから従う。 さて、Schemes, Lemma 01JC を用いて系 \(((U_{j, i_5})_j, (W_{j_1, j_2, i_5})_{j_1, j_2}, (\varphi_{j_1, j_2, i_5})_{j_1, j_2})\) を貼り合わせ、スキーム \(X_{i_5} \to S_{i_5}\) を得ることができる。構成により、 \(X_{i_5}\) の \(S\) への基底変換は、アフィン開集合 \(U_j\) を開集合 \(U_{j_1} \leftarrow U_{j_1j_2} \rightarrow U_{j_2}\) に沿って貼り合わせたものである。従って所望のように \(S \times_{S_{i_5}} X_{i_5} \cong X\) である。
補題
\(I\) を有向集合とする。 \((S_i, f_{ii'})\) を \(I\) 上のスキームの逆系とする。次を仮定する:
すべての射 \(f_{ii'} : S_i \to S_{i'}\) はアフィンであり、
すべてのスキーム \(S_i\) は準コンパクトかつ準分離である。
\(S = \lim_i S_i\) とする。このとき次が成り立つ:
任意の有限表示な \(\mathcal{O}_S\)-加群の層 \(\mathcal{F}\) に対して、添字 \(i \in I\) と 有限表示な \(\mathcal{O}_{S_i}\)-加群の層 \(\mathcal{F}_i\) で、 \(\mathcal{F} \cong f_i^*\mathcal{F}_i\) となるものが存在する。
添字 \(i \in I\)、有限表示な \(\mathcal{O}_{S_i}\)-加群の層 \(\mathcal{F}_i\), \(\mathcal{G}_i\)、および射 \(\varphi : f_i^*\mathcal{F}_i \to f_i^*\mathcal{G}_i\) で \(S\) 上のもの が与えられたとする。このとき添字 \(i' \geq i\) と射 \(\varphi_{i'} : f_{i'i}^*\mathcal{F}_i \to f_{i'i}^*\mathcal{G}_i\) で、その \(S\) への基底変換が \(\varphi\) となるものが存在する。
添字 \(i \in I\)、有限表示な \(\mathcal{O}_{S_i}\)-加群の層 \(\mathcal{F}_i\), \(\mathcal{G}_i\)、および射の組 \(\varphi_i, \psi_i : \mathcal{F}_i \to \mathcal{G}_i\) が与えられたとする。 基底変換が \(f_i^*\varphi_i = f_i^*\psi_i\) を満たすと仮定する。 このとき添字 \(i' \geq i\) で \(f_{i'i}^*\varphi_i = f_{i'i}^*\psi_i\) となるものが存在する。
言い換えれば、\(S\) 上有限表示な加群の圏は、 \(I\) 上の、\(S_i\) 上有限表示な加群の圏の余極限である。
証明
二つの証明を概説するが、詳細は省略する。
第1の証明。\(S\) と \(S_i\) がアフィンスキームならば、この補題は Algebra, Lemma 05N7 と同値である。 一般の場合には、Zariski 貼り合わせを用いてアフィンの場合から導く。
第2の証明。次を用いる:
準連接 \(\mathcal{O}_S\)-加群と \(S\) 上のベクトル束との間には 圏同値がある。Constructions, Section 01M1 を参照せよ。
ベクトル束 \(\mathbf{V}(\mathcal{F}) \to S\) が \(S\) 上 有限表示であるための必要十分条件は、\(\mathcal{F}\) が有限表示な \(\mathcal{O}_S\)-加群であることである。
以上を踏まえ、Lemma 01ZM を用いると、 \(S\) 上有限表示なベクトル束の圏が、\(I\) 上の、 \(S_i\) 上のベクトル束の圏の余極限であることが分かる。
補題
\(S = \lim S_i\) を、アフィン推移射をもつ準コンパクトかつ 準分離なスキーム \(S_i\) の有向系の極限とする。このとき
任意の有限局所自由 \(\mathcal{O}_S\)-加群は、有限局所自由 \(\mathcal{O}_{S_i}\)-加群で、ある \(i\) に対するものの引き戻しであり、
任意の可逆 \(\mathcal{O}_S\)-加群は、可逆 \(\mathcal{O}_{S_i}\)-加群で、ある \(i\) に対するものの引き戻しであり、
任意の有限型準連接イデアル \(\mathcal{I} \subset \mathcal{O}_S\) は、 \(\mathcal{I}_i \cdot \mathcal{O}_S\) の形である。ここで、ある \(i\) と 有限型準連接イデアル \(\mathcal{I}_i \subset \mathcal{O}_{S_i}\) をとる。
証明
\(\mathcal{E}\) を有限局所自由 \(\mathcal{O}_S\)-加群とする。 有限局所自由加群は有限表示なので、ある \(i\) と有限表示な \(\mathcal{O}_{S_i}\)-加群 \(\mathcal{E}_i\) で、 \(f_i^*\mathcal{E}_i \cong \mathcal{E}\) となるものを見つけられる。 Lemma 01ZR を参照せよ。 \(i\) を大きくした後、\(\mathcal{E}_i\) は平坦な \(\mathcal{O}_{S_i}\)-加群であると仮定してよい。Algebra, Lemma 02JO を参照せよ。 (この補題を用いる必要はないが、便利である。) このとき \(\mathcal{E}_i\) は Algebra, Lemma 00NX により有限局所自由である。
\(\mathcal{L}\) が可逆 \(\mathcal{O}_S\)-加群ならば、上の議論により、 ある \(i\) と有限局所自由 \(\mathcal{O}_{S_i}\)-加群 \(\mathcal{L}_i\) および \(\mathcal{N}_i\) で、\(\mathcal{L}\) および \(\mathcal{L}^{\otimes -1}\) へ引き戻されるものを見つけられる。 必要なら \(i\) を大きくした後、写像 \(\mathcal{L} \otimes_{\mathcal{O}_X} \mathcal{L}^{\otimes -1} \to \mathcal{O}_X\) は写像 \(\mathcal{L}_i \otimes_{\mathcal{O}_{S_i}} \mathcal{N}_i \to \mathcal{O}_{S_i}\) へ降下する。さらに \(i\) を大きくした後、 これが同型であると仮定してよい。従って \(\mathcal{L}_i\) は 可逆加群である(Modules, Lemma 0B8K)。これで (2) の証明は完了する。
(3) における \(\mathcal{I}\) が与えられたとする。このとき \(\mathcal{O}_S \to \mathcal{O}_S/\mathcal{I}\) は 有限表示な \(\mathcal{O}_S\)-加群の写像である。 従って Lemma 01ZR により、 これはある写像 \(\mathcal{O}_{S_i} \to \mathcal{F}_i\) で、 有限表示な \(\mathcal{O}_{S_i}\)-加群の写像であるものの引き戻しである。 \(i\) を大きくした後、この写像は全射であると仮定してよい (詳細は省略する。ヒント:アフィン開被覆上で Algebra, Lemma 05LI を用いる)。 このとき \(\mathcal{O}_{S_i} \to \mathcal{F}_i\) の核は \(\mathcal{O}_{S_i}\) の有限型準連接イデアルであり、 その引き戻しは \(\mathcal{I}\) を与える。
補題
記法と仮定は Lemma 01ZM のとおりとする。 \(i \in I\) とする。\(\varphi_i : X_i \to Y_i\) は \(S_i\) 上有限表示なスキームの射であり、\(\mathcal{F}_i\) は 有限表示な準連接 \(\mathcal{O}_{X_i}\)-加群であるとする。 \(\mathcal{F}_i\) の \(X_i \times_{S_i} S\) への引き戻しが \(Y_i \times_{S_i} S\) 上平坦ならば、添字 \(i' \geq i\) で、 \(\mathcal{F}_i\) の \(X_i \times_{S_i} S_{i'}\) への引き戻しが \(Y_i \times_{S_i} S_{i'}\) 上平坦となるものが存在する。
証明
(これは加群に対する Lemma 04AI の類似である。) \(i' \geq i\) に対して \(X_{i'} = S_{i'} \times_{S_i} X_i\)、 \(\mathcal{F}_{i'} = (X_{i'} \to X_i)^*\mathcal{F}_i\) と書き、 \(Y_{i'}\) についても同様とする。\(\varphi_{i'}\) で \(\varphi_i\) の \(S_{i'}\) への基底変換を表す。さらに \(X = S \times_{S_i} X_i\)、 \(Y =S \times_{S_i} X_i\)、 \(\mathcal{F} = (X \to X_i)^*\mathcal{F}_i\) とおき、 \(\varphi\) で \(\varphi_i\) の \(S\) への基底変換を表す。 \(Y_i = \bigcup_{j = 1, \ldots, m} V_{j, i}\) を有限アフィン開被覆で、 各 \(V_{j, i}\) が \(S_i\) のあるアフィン開集合に写るものとする。 各 \(j = 1, \ldots m\) に対して \(\varphi_i^{-1}(V_{j, i}) = \bigcup_{k = 1, \ldots, m(j)} U_{k, j, i}\) を有限アフィン開被覆とする。\(i' \geq i\) に対し、 \(V_{j, i'}\) で \(V_{j, i}\) の \(Y_{i'}\) における逆像を、 \(U_{k, j, i'}\) で \(U_{k, j, i}\) の \(X_{i'}\) における逆像を表す。 同様に \(U_{k, j} \subset X\) および \(V_j \subset Y\) がある。 このとき \(U_{k, j} = \lim_{i' \geq i} U_{k, j, i'}\) および \(V_j = \lim_{i' \geq i} V_j\) である (Lemma 01YX を参照)。 \(X_{i'} = \bigcup_{k, j} U_{k, j, i'}\) は有限開被覆なので、 各射 \(U_{k, j, i} \to V_{j, i}\) と層 \(\mathcal{F}_i|_{U_{k, j, i}}\) に対して補題を証明すれば十分である。 従って補題は、\(X_i\) と \(Y_i\) がアフィンで \(S_i\) の あるアフィン開集合に写る場合へ帰着する。すなわち、 \(S\) もアフィンであると仮定してよい。
アフィンの場合には次の代数の結果へ帰着する。 \(R = \colim_{i \in I} R_i\) とする。ある \(i \in I\) に対して、 写像 \(A_i \to B_i\) で、有限表示な \(R_i\)-代数の写像であるものが 与えられたとする。 \(N_i\) を有限表示な \(B_i\)-加群とする。 \(R \otimes_{R_i} N_i\) が \(R \otimes_{R_i} A_i\) 上平坦ならば、 ある \(i' \geq i\) に対して加群 \(R_{i'} \otimes_{R_i} N_i\) は \(R_{i'} \otimes_{R_i} A\) 上平坦である。 これはまさに Algebra, Lemma 02JO part (3) で証明された結果である。
補題
スキーム \(T\) に対して、\(\mathcal{C}_T\) で、スキーム \(W\) で \(T\) 上のもののうち、\(W\) が準コンパクトかつ準分離であり、 構造射 \(W \to T\) が 局所有限表示となるものからなる充満部分圏を表す。 \(S = \lim S_i\) を、アフィン推移射をもつスキームの有向極限とする。 このとき基底変換関手が与える圏同値 \[\colim \mathcal{C}_{S_i} \longrightarrow \mathcal{C}_S\] が存在する。
警告:この補題と Lemma 01ZM の 違いを理解していないなら、この補題を用いてはならない。
証明
充満忠実性。\(i \in I\) と対象 \(X_i\), \(Y_i\) で \(\mathcal{C}_{S_i}\) に属するものがあるとする。 \(X = X_i \times_{S_i} S\) および \(Y = Y_i \times_{S_i} S\) と書く。 射 \(f : X \to Y\) で \(S\) 上のものが与えられたとする。 有限アフィン開被覆 \(Y_i = V_{i, 1} \cup \ldots \cup V_{i, m}\) で、 \(V_{i, j} \to Y_i \to S_i\) がアフィン開集合 \(W_{i, j}\) で \(S_i\) に含まれるものへ写るように選べる。 \(Y = V_1 \cup \ldots \cup V_m\) で、誘導される \(Y\) の アフィン開被覆を表す。\(f : X \to Y\) は準コンパクトなので (Schemes, Lemma 03GI)、 \(i\) を大きくした後、準コンパクトな開集合による有限開被覆 \(X_i = U_{i, 1} \cup \ldots \cup U_{i, m}\) で、 \(U_{i, j}\) の \(Y\) における逆像が \(f^{-1}(V_j)\) となるものが 存在すると仮定してよい。Lemma 01Z4 を参照せよ。 Lemma 01ZM を \(f|_{f^{-1}(V_j)}\) に \(W_j\) 上で適用すると、\(i\) を大きくした後、 射 \(f_{i, j} : V_{i, j} \to U_{i, j}\) で \(S\) 上のものが存在し、その \(S\) への 基底変換が \(f|_{f^{-1}(V_j)}\) となるものが存在すると仮定してよい。 さらに \(i\) を大きくした後、\(f_{i, j}\) と \(f_{i, j'}\) は 準コンパクトな開集合 \(U_{i, j} \cap U_{i, j'}\) 上で一致すると 仮定してよい。従ってこれらの射を貼り合わせ、所望の射 \(f_i : X_i \to Y_i\) を得ることができる。 この射は(一意性についても \(i\) を大きくすることを許せば)一意である。 これは射 \(f_{i, j}\) についてそのことが成り立つからである。
関手が本質的全射であることを示すには、まったく同じ方法で論じる。 すなわち、\(X\) を \(\mathcal{C}_S\) の対象とし、\(i \in I\) を選ぶ。 有限アフィン開被覆 \(X = U_1 \cup \ldots \cup U_m\) で、 \(U_j \to X \to S \to S_i\) がアフィン開集合 \(W_{i, j} \subset S_i\) を経由するものを選べる。 \(W_j = W_{i, j} \times_{S_i} S\) とおく。これは \(S\) の アフィン開集合である。Lemma 01ZM により、\(i\) を大きくした後、 有限表示な射 \(U_{i, j} \to W_{i, j}\) で、その \(W_j\) への 基底変換が \(U_j\) となるものが存在すると仮定してよい。 \(i\) を大きくした後、準コンパクトな開集合 \(U_{i, j, j'} \subset U_{i, j}\) で、その \(S\) への基底変換が \(U_j \cap U_{j'}\) に等しいものが存在すると仮定してよい。 主張:\(i\) を大きくした後、射の像 \(U_{i, j, j'} \to U_{i, j} \to W_{i, j}\) は \(W_{i, j} \cap W_{i, j'}\) に入ると仮定してよい。 実際、\(W_{i, j} \cap W_{i, j'}\) の補集合はアフィンスキーム \(W_{i, j}\) の中で閉なので、アフィンである。 \(U_j \cap U_{j'} = \lim U_{i, j, j'}\) は \(W_{i, j} \cap W_{i, j'}\) に写るので、Lemma 05F3 を適用して主張を得る。 従って \[U_{i, j, j'} \quad\text{and}\quad U_{i, j', j}\] を \(W_{i, j'}\) 上のスキームとみなすことができ、その \(W_{j'}\) への基底変換はいずれも \(U_j \cap U_{j'}\) を復元する。 従って \(i\) を大きくした後、Lemma 01ZM を用いて、同型 \(U_{i, j, j'} \to U_{i, j', j}\) で \(W_{i, j'}\) 上、 従って \(S_i\) 上のものが存在すると仮定してよい。 \(i\) をさらに大きくした後(詳細は省略する)、これらの同型は Schemes, Section 01JA で述べた コサイクル条件を満たすと仮定してよい。 Schemes, Lemma 01JB を適用して、対象 \(X_i\) で \(\mathcal{C}_{S_i}\) に属し、その \(S\) への基底変換が \(X\) と同型となるものを得る。いくつかの検証は省略する。
アフィンスキームの特徴付け
\(f : X \to S\) を全射な整射とし、\(X\) がアフィンスキームならば、 \(S\) もアフィンである。[Conrad-Nagata, A.2] を参照せよ。 我々の証明は Noetherian の場合に依存する。この場合は Cohomology of Schemes, Lemma 01YQ で述べ、証明した。[EGA, II 6.7.1] も参照せよ。
補題
\(f : X \to S\) をスキームの射とする。\(f\) は全射かつ有限であり、 \(X\) はアフィンであると仮定する。このとき \(S\) はアフィンである。
証明
\(f\) は全射で \(X\) は準コンパクトなので、\(S\) は準コンパクトである。 \(X\) は分離的で、\(f\) は全射かつ普遍閉なので (Morphisms, Lemma 01WM)、 \(S\) は分離的である(Morphisms, Lemma 09MQ)。
Lemma 09YY により、 \(X = \lim_a X_a\) と書ける。ここで \(X_a \to S\) は有限かつ有限表示である。 Lemma 01Z6 により、\(X_a\) はある \(a \in A\) に対して アフィンである。\(X\) を \(X_a\) で置き換えることにより、 \(X \to S\) は全射、有限、有限表示であり、\(X\) はアフィンであると 仮定してよい。
Proposition 01ZA により、 \(S = \lim_{i \in I} S_i\) と書ける。これは \(\mathbf{Z}\) 上有限型なスキームの有向極限である。 Lemma 01ZM により、\(I\) を縮小した後、 有限表示なスキーム \(X_i \to S_i\) が存在して、等式 \(X_{i'} = X_i \times_S S_{i'}\) がすべての \(i' \geq i\) に対して成り立ち、かつ \(X = \lim_i X_i\) となると仮定してよい。Lemma 01ZO により、さらに \(X_i \to S_i\) はすべての \(i \in I\) に対して有限であると 仮定してよい。再び Lemma 01Z6 により、 スキーム \(X_i\) はすべての \(i \in I\) に対してアフィンであると仮定してよい。 従って結果は Noetherian の場合から従う。Cohomology of Schemes, Lemma 01YQ を参照せよ。
命題
\(f : X \to S\) をスキームの射とする。\(X\) はアフィンであり、 \(f\) は全射かつ普遍閉であると仮定する2。 このとき \(S\) はアフィンである。
証明
Morphisms, Lemma 09MQ により、 スキーム \(S\) は分離的である。次に Morphisms, Lemma 01SG により \(f\) はアフィンである。 すると Morphisms, Lemma 01WM により \(f\) は整である。
前段落により、\(f : X \to S\) は全射かつ整であり、\(X\) はアフィン、 \(S\) は分離的であると仮定してよい。\(f\) は全射で \(X\) は 準コンパクトなので、\(S\) も準コンパクトである。
Lemma 09YZ により、 \(X = \lim_i X_i\) と書ける。ここで \(X_i \to S\) は有限である。 Lemma 01Z6 により、十分大きい \(i\) に対して スキーム \(X_i\) はアフィンである。さらに、\(X \to S\) は 各 \(X_i\) を経由するので、\(X_i \to S\) は全射である。 従って Lemma 01ZT により \(S\) はアフィンである。
補題
\(X\) を、集合論的に有限個のアフィン閉部分スキームの和である スキームとする。このとき \(X\) はアフィンである。
証明
\(Z_i \subset X\)、\(i = 1, \ldots, n\) をアフィン閉部分スキームで、 集合論的に \(X = \bigcup Z_i\) となるものとする。このとき \(\coprod Z_i \to X\) はアフィンな始域をもつ全射な整射である。 従って Proposition 05YU により \(X\) はアフィンである。
補題
\(i : Z \to X\) をスキームの閉埋め込みで、台となる位相空間の 同相を誘導するものとする。\(\mathcal{L}\) を \(X\) 上の可逆層とする。 このとき \(i^*\mathcal{L}\) が \(Z\) 上豊富であるための必要十分条件は、 \(\mathcal{L}\) が \(X\) 上豊富であることである。
証明
\(\mathcal{L}\) が豊富ならば、例えば Morphisms, Lemma 0892 により \(i^*\mathcal{L}\) は豊富である。\(i^*\mathcal{L}\) が豊富であると仮定する。 このとき \(Z\) は準コンパクトであり (Properties, Definition 01PS)、 分離的である (Properties, Lemma 09MP)。 \(i\) は全射なので、\(X\) は準コンパクトである。 \(i\) は普遍閉かつ全射なので、\(X\) は分離的である (Morphisms, Lemma 09MQ)。
Proposition 01ZA により、 \(X = \lim X_i\) を、アフィン推移射をもつ \(\mathbf{Z}\) 上有限型な スキームの有向極限として書ける。ある \(i\) と可逆層 \(\mathcal{L}_i\) で \(X_i\) 上のものを、その \(X\) への引き戻しが \(\mathcal{L}\) と同型に なるものを見つけられる。Lemma 01ZR を参照せよ。
各 \(i\) に対して、\(Z_i \subset X_i\) を射 \(Z \to X_i\) の スキーム論的像とする。\(\Spec(A_i) \subset X_i\) がアフィン開部分スキームで、 その逆像が \(\Spec(A)\) であるような \(X\) 内のものであり、 \(Z \cap \Spec(A)\) がイデアル \(I \subset A\) により定義されるならば、 \(Z_i \cap \Spec(A_i)\) はイデアル \(I_i \subset A_i\) により定義される。 これは \(I\) の \(A_i\) における逆像、すなわち環準同型 \(A_i \to A\) の下での 逆像である。 Morphisms, Example 056A を参照せよ。 \(\colim A_i/I_i = A/I\) なので、\(\lim Z_i = Z\) が従う。 Lemma 09MT により、\(\mathcal{L}_i|_{Z_i}\) はある \(i\) に対して 豊富である。\(Z\)、従って \(X\) は集合論的に \(Z_i\) に写るので、 \(X_{i'} \to X_i\) も集合論的に \(Z_i\) に写るような \(i' \geq i\) が存在する。Lemma 05F4 を参照せよ。 (\(X_i\) は Noetherian なので、\(X_i\) の任意の閉部分集合は 構成可能であることに注意せよ。)\(T \subset X_{i'}\) を \(Z_i\) の \(X_{i'}\) におけるスキーム論的逆像とする。 \(\mathcal{L}_{i'}|_T\) は \(\mathcal{L}_i|_{Z_i}\) の引き戻しであり、 従って Morphisms, Lemma 0892 と、 \(T \to Z_i\) がアフィン射であるという事実により豊富である。 従って Cohomology of Schemes, Lemma 09MS により、 \(\mathcal{L}_{i'}\) は \(X_{i'}\) 上豊富である。 \(X\) へ引き戻すと(上と同じ補題を用いて)、 \(\mathcal{L}\) が豊富であることが分かる。
補題
\(i : Z \to X\) をスキームの閉埋め込みで、台となる位相空間の 同相を誘導するものとする。このとき \(X\) が準アフィンであるための 必要十分条件は、\(Z\) が準アフィンであることである。
証明
スキームが準アフィンであるための必要十分条件は、構造層が豊富である ことである。Properties, Lemma 01QE を参照せよ。 従って \(Z\) が準アフィンならば \(\mathcal{O}_Z\) は豊富であり、 Lemma 09MW により \(\mathcal{O}_X\) は豊富であり、 従って \(X\) は準アフィンである。逆も、今の議論を逆向きに読むことで 初等的に証明できる。
次の補題は、実際には本節に属さない。
補題
\(X\) をスキームとする。\(\mathcal{L}\) を \(X\) 上の豊富な可逆層とする。 スキームの射 \[\Spec(k) \leftarrow \Spec(A) \to W \subset X\] があると仮定する。ここで \(k\) は体、\(A\) は整な \(k\)-代数、 \(W\) は \(X\) の開集合である。このとき \(n > 0\) と切断 \(s \in \Gamma(X, \mathcal{L}^{\otimes n})\) で、 \(X_s\) がアフィン、\(X_s \subset W\)、かつ \(\Spec(A) \to W\) が \(X_s\) を経由するものが存在する。
証明
\(\Spec(A)\) は準コンパクトなので、\(W\) を、なお \(\Spec(A) \to X\) の像を含む準コンパクトな開集合で置き換えてよい。 \(X\) は豊富な可逆層をもつので準分離かつ準コンパクトであることを 思い出そう。Properties, Definition 01PS および Lemma 01PY を参照せよ。 Proposition 01ZA により、 \(X = \lim X_i\) を、アフィン推移射をもつ \(\mathbf{Z}\) 上有限型な スキームの有向系の極限として書ける。ある \(i\) に対して、豊富な可逆層 \(\mathcal{L}\) で \(X\) 上のものは、豊富な可逆層 \(\mathcal{L}_i\) で \(X_i\) 上のものに降下し、開集合 \(W\) は準コンパクトな開集合 \(W_i \subset X_i\) の逆像である。Lemmas 09MT, 0B8W, および 01Z4 を参照せよ。 \(X, W, \mathcal{L}\) を \(X_i, W_i, \mathcal{L}_i\) で置き換え、 \(X\) は \(\mathbf{Z}\) 上有限表示であると仮定してよい。 \(A = \colim A_j\) を有限 \(k\)-部分代数の余極限として書く。 このとき、ある \(j\) に対して射 \(\Spec(A) \to X\) は 射 \(\Spec(A_j) \to X\) を経由する。Proposition 01ZC を参照せよ。 \(\Spec(A_j)\) は有限なので、補題は Properties, Lemma 09NV に帰着する。
Chow の補題の諸変種
本節では Chow の補題のいくつかの変種を証明する。 最も興味深い版は、おそらく Noetherian の場合そのものである。 これは Cohomology of Schemes, Section 02O2 で述べ、証明した。
補題
\(S\) を準コンパクトかつ準分離なスキームとする。 \(f : X \to S\) を有限型の分離射とする。 このとき、ある \(n \geq 0\) と図式 \[\xymatrix{ X \ar[rd] & X' \ar[d] \ar[l]^\pi \ar[r] & \mathbf{P}^n_S \ar[dl] \\ & S & }\] で、\(X' \to \mathbf{P}^n_S\) が埋め込みであり、 \(\pi : X' \to X\) が固有かつ全射であるものが存在する。
証明
Proposition 01ZJ により、閉埋め込み \(X \to Y\) で、\(Y\) が \(S\) 上分離かつ 有限表示であるものを見つけられる。主張を \(Y\) に対して証明すれば、 結果は \(X\) に対して従うことは明らかである。従って \(X\) は \(S\) 上有限表示であると仮定してよい。
\(S = \lim_i S_i\) を Noetherian スキームの有向極限として書く。 Proposition 01ZA を参照せよ。Lemma 01ZM により、添字 \(i \in I\) と 有限表示なスキーム \(X_i \to S_i\) で、 \(X = S \times_{S_i} X_i\) となるものを見つけられる。 Lemma 01ZQ により、 \(X_i \to S_i\) は分離的であると仮定してよい。 \(X_i\) に対する主張を \(S_i\) 上で証明すれば、その主張は \(X\) に 対して成り立つことは明らかである。\(X_i \to S_i\) の場合は Cohomology of Schemes, Lemma 0200 で扱われている。
注意
Chow の補題 0202 の状況では、次が成り立つ。
射 \(\pi\) は実際 H-射影的である(従って射影的である。 Morphisms, Lemma 01W9 を参照せよ)。 実際、射 \(X' \to \mathbf{P}^n_S \times_S X = \mathbf{P}^n_X\) は 閉埋め込みである(\(\pi\) が固有であることを用いよ。 Morphisms, Lemma 01W6 を参照せよ)。
\(X'\) をその被約化で置き換えても補題の他の主張は変わらないので、 \(X'\) は被約であると仮定してよい。
補題の他の主張を変えずに、\(X' \to X\) は有限表示であると 仮定してよい。これは Lemma 0202 の証明から 導けるが、次のように直接証明することもできる。(1) により閉埋め込み \(X' \to \mathbf{P}^n_X\) がある。Lemma 09ZP により、 \(X' = \lim X'_i\) と書ける。ここで \(X'_i \to \mathbf{P}^n_X\) は有限表示な閉埋め込みである。 特に \(X'_i \to X\) は有限表示、固有、全射である。 十分大きい \(i\) に対し、射 \(X'_i \to \mathbf{P}^n_S\) は Lemma 081B により埋め込みである。 \(X'\) を \(X'_i\) で置き換えれば、求めるものを得る。
もちろん一般には (2) と (3) の両方を同時に達成することはできない。
上段のスキームが有限個の既約成分をもつと仮定する、 Chow の補題の変種を次に示す。
補題
\(S\) を準コンパクトかつ準分離なスキームとする。 \(f : X \to S\) を有限型の分離射とする。 \(X\) が有限個の既約成分をもつと仮定する。 このとき、ある \(n \geq 0\) と図式 \[\xymatrix{ X \ar[rd] & X' \ar[d] \ar[l]^\pi \ar[r] & \mathbf{P}^n_S \ar[dl] \\ & S & }\] で、\(X' \to \mathbf{P}^n_S\) が埋め込みであり、 \(\pi : X' \to X\) が固有かつ全射であるものが存在する。さらに、 稠密開部分スキーム \(U \subset X\) で、 \(\pi^{-1}(U) \to U\) がスキームの同型であるものが存在する。
証明
\(X = Z_1 \cup \ldots \cup Z_n\) を \(X\) の既約成分への分解とする。 \(\eta_j \in Z_j\) を生成点とする。
証明を進める方法は(少なくとも)二つある。 第一は Cohomology of Schemes, Lemma 0200 の証明をやり直し、一般的な Properties, Lemma 01ZX を用いて \(X\) の適切なアフィン開集合を見つける方法である。 (これが「標準的な」証明である。)第二は、上の Lemma 0202 の証明と同様に絶対 Noetherian 近似を 用いる方法である。ここでは第二の方法を採る。
Proposition 01ZJ により、閉埋め込み \(X \to Y\) で、\(Y\) が \(S\) 上分離かつ 有限表示であるものを見つけられる。\(S = \lim_i S_i\) を Noetherian スキームの有向極限として書く。Proposition 01ZA を参照せよ。Lemma 01ZM により、添字 \(i \in I\) と 有限表示なスキーム \(Y_i \to S_i\) で、 \(Y = S \times_{S_i} Y_i\) となるものを見つけられる。 Lemma 01ZQ により、 \(Y_i \to S_i\) は分離的であると仮定してよい。次の図式がある。 \[\xymatrix{ \eta_j \in Z_j \ar[r] & X \ar[r] \ar[rd] & Y \ar[r] \ar[d] & Y_i \ar[d] \\ & & S \ar[r] & S_i }\] この合成を \(h : X \to Y_i\) と書く。
\(i' \geq i\) に対して \(Y_{i'} = S_{i'} \times_{S_i} Y_i\) と書く。 このとき \(Y = \lim_{i' \geq i} Y_{i'}\) である。Lemma 01YZ を参照せよ。 \(j, j' \in \{1, \ldots, n\}\)、\(j \not = j'\) を選ぶ。 \(\eta_j\) は \(\eta_{j'}\) の特殊化ではないことに注意せよ。 Lemma 01YY により、\(i\) をより大きい添字で 置き換え、\(h(\eta_j)\) が \(h(\eta_{j'})\) の特殊化ではないと 仮定してよい。ここでこれは上のすべての組 \((j, j')\) に対して成り立つ。 そのような添字に対し、\(Y' \subset Y_i\) を \(h : X \to Y_i\) のスキーム論的像とする。Morphisms, Definition 01R7 を参照せよ。 射 \(h\) は準コンパクト射 \(X \to Y\) と \(Y \to Y_i\) (後者はアフィンである)の合成なので準コンパクトである。 従って Morphisms, Lemma 01R8 により、 射 \(X \to Y'\) は優勢である。ゆえに \(Y'\) のすべての生成点は集合 \(\{h(\eta_1), \ldots, h(\eta_n)\}\) に含まれる。Morphisms, Lemma 01RL を参照せよ。 どの \(h(\eta_j)\) も他のものの特殊化ではないので、 点 \(h(\eta_1), \ldots, h(\eta_n)\) は互いに異なり、 それぞれ \(Y'\) の生成点である。
上の Cohomology of Schemes, Lemma 0200 を射 \(Y' \to S_i\) に適用する。 これにより図式 \[\xymatrix{ Y' \ar[rd] & Y^* \ar[d] \ar[l]^\pi \ar[r] & \mathbf{P}^n_{S_i} \ar[dl] \\ & S_i & }\] で、\(\pi\) が固有かつ全射であり、稠密開部分スキーム \(V \subset Y'\) 上で同型となるものを得る。上の \(i\) の選び方により、 \(h(\eta_1), \ldots, h(\eta_n) \in V\) である。可換図式 \[\xymatrix{ X' \ar@{=}[r] & X \times_{Y'} Y^* \ar[r] \ar[d] & Y^* \ar[r] \ar[d] & \mathbf{P}^n_{S_i} \ar[ddl] \\ & X \ar[r] \ar[d] & Y' \ar[d] & \\ & S \ar[r] & S_i & }\] を考える。\(X' \to X\) は開部分スキーム \(U = h^{-1}(V)\) 上で同型であることに注意せよ。この開部分スキームは 各 \(\eta_j\) を含むので \(X\) で稠密である。従って \(X \leftarrow X' \rightarrow \mathbf{P}^n_S\) は補題で提示された 問題の解である。
Chow の補題の応用
Chow の補題の第一の応用を示す。
補題
仮定と記法は Situation 081D と同じとする。 次を仮定する。
\(f\) は固有であり、
\(f_0\) は局所有限型である。
このとき、ある \(i\) で \(f_i\) が固有となる。
証明
Lemma 01ZQ により、 \(f_i\) はある \(i \geq 0\) に対して分離的である。\(0\) を \(i\) で 置き換え、\(f_0\) は分離的であると仮定してよい。 \(f_0\) は準コンパクトであることに注意せよ。Schemes, Lemma 03GI を参照せよ。 Lemma 0202 により、図式 \[\xymatrix{ X_0 \ar[rd] & X_0' \ar[d] \ar[l]^\pi \ar[r] & \mathbf{P}^n_{Y_0} \ar[dl] \\ & Y_0 & }\] で、\(X_0' \to \mathbf{P}^n_{Y_0}\) が埋め込みであり、 \(\pi : X_0' \to X_0\) が固有かつ全射であるものを選べる。 \(X' = X_0' \times_{Y_0} Y\) および \(X_i' = X_0' \times_{Y_0} Y_i\) を導入する。 Morphisms, Lemmas 01W3 および 01W4 により、\(X' \to Y\) は固有である。 従って \(X' \to \mathbf{P}^n_Y\) は閉埋め込みである (Morphisms, Lemma 01W6)。 Morphisms, Lemma 03GN により、 \(X'_i \to Y_i\) がある \(i\) に対して固有であることを示せば十分である。 Lemma 01ZP により、 射 \(X'_i \to \mathbf{P}^n_{Y_i}\) は十分大きい \(i\) に対して 閉埋め込みであることが分かる。このとき \(X'_i \to Y_i\) は固有であり、 証明が完了する。
補題
\(f : X \to S\) を固有射とし、\(S\) は準コンパクトかつ準分離であるとする。 このとき \(X = \lim X_i\) はスキームの有向極限として書ける。 \(X_i\) は \(S\) 上固有かつ有限表示であり、すべての推移射と射 \(X \to X_i\) は閉埋め込みである。
証明
Proposition 01ZJ により、閉埋め込み \(X \to Y\) で、\(Y\) が \(S\) 上分離かつ 有限表示であるものを見つけられる。Lemma 0202 により図式 \[\xymatrix{ Y \ar[rd] & Y' \ar[d] \ar[l]^\pi \ar[r] & \mathbf{P}^n_S \ar[dl] \\ & S & }\] で、\(Y' \to \mathbf{P}^n_S\) が埋め込みであり、 \(\pi : Y' \to Y\) が固有かつ全射であるものを見つけられる。 Lemma 09ZP により、 \(X = \lim X_i\) と書ける。ここで \(X_i \to Y\) は有限表示な閉埋め込みである。 \(X'_i \subset Y'\)、およびそれぞれ \(X' \subset Y'\) を、 それぞれ \(X_i \subset Y\) および \(X \subset Y\) のスキーム論的逆像とする。 このとき \(\lim X'_i = X'\) である。\(X' \to S\) は固有なので (Morphisms, Lemmas 01W3)、 \(X' \to \mathbf{P}^n_S\) は閉埋め込みである(Morphisms, Lemma 01W6)。従って十分大きい \(i\) に対し、 Lemma 0A0N により \(X'_i \to \mathbf{P}^n_S\) は閉埋め込みである。 ゆえに \(X'_i\) は \(S\) 上固有である。そのような \(i\) に対し、射 \(X_i \to S\) は Morphisms, Lemma 03GN により固有である。
補題
\(f : X \to S\) を固有射とし、\(S\) は準コンパクトかつ準分離であるとする。 このとき、有向集合 \(I\) と、スキームの射の逆系 \((f_i : X_i \to S_i)\) で \(I\) 上のものが存在し、推移射 \(X_i \to X_{i'}\) および \(S_i \to S_{i'}\) はアフィン、\(f_i\) は固有、\(S_i\) は \(\mathbf{Z}\) 上有限型であり、かつ \((X \to S) = \lim (X_i \to S_i)\) となる。
証明
Lemma 09ZR により、 \(X = \lim_{k \in K} X_k\) と書ける。ここで \(X_k \to S\) は固有かつ 有限表示である。次に絶対 Noetherian 近似 (Proposition 01ZA)により、 \(S = \lim_{j \in J} S_j\) と書ける。ここで \(S_j\) は \(\mathbf{Z}\) 上有限型である。各 \(k\) に対して、ある \(j\) と 有限表示な射 \(X_{k, j} \to S_j\) が存在して、等式 \(X_k \cong S \times_{S_j} X_{k, j}\) が \(S\) 上のスキームとして成り立つ。 Lemma 01ZM を参照せよ。 \(j\) を増大させた後、\(X_{k, j} \to S_j\) は固有であると 仮定してよい。Lemma 081F を参照せよ。 集合 \(I\) はこれらの組 \((k, j)\) からなり、対応する射は \(X_{k, j} \to S_j\) である。任意の \(k' \geq k\) に対して、 ある \(j' \geq j\) と射 \(X_{j', k'} \to X_{j, k}\) で、 \(S_{j'} \to S_j\) 上のものが存在し、その \(S\) への基底変換が射 \(X_{k'} \to X_k\) を与えるものを見つけられる (これも Lemma 01ZM から従う)。 これらの射が系の推移射をなす。若干の詳細は省略する。
補題
\(S\) をスキームとする。\(X = \lim X_i\) を、アフィン推移射をもつ \(S\) 上のスキームの有向極限とする。\(Y \to X\) を \(S\) 上のスキームの射とする。\(Y \to X\) が固有で、 \(X_i\) が準コンパクトかつ準分離であり、\(Y\) が \(S\) 上 局所有限型ならば、\(Y \to X_i\) は十分大きい \(i\) に対して固有である。
証明
閉埋め込み \(Y \to Y'\) で、\(Y'\) が \(X\) 上固有かつ有限表示であるものを選ぶ。 Lemma 09ZR を参照せよ。 次に、ある \(i\) と固有射 \(Y'_i \to X_i\) で、 \(Y' = X \times_{X_i} Y'_i\) となるものを選ぶ。これは Lemmas 01ZM および 081F により可能である。次に \(i\) を より大きい添字で置き換えた後、\(Y \to Y'_i\) は閉埋め込みである。 Lemma 081B を参照せよ。
有限型準連接加群のスキーム論的台を思い出そう。Morphisms, Definition 05JV を参照せよ。
補題
仮定と記法は Situation 081D と同じとする。 \(\mathcal{F}_0\) を準連接 \(\mathcal{O}_{X_0}\)-加群とする。 \(\mathcal{F}\) および \(\mathcal{F}_i\) を、それぞれ \(\mathcal{F}_0\) の \(X\) および \(X_i\) への引き戻しとする。次を仮定する。
\(f_0\) は局所有限型である。
\(\mathcal{F}_0\) は有限型である。
\(\mathcal{F}\) のスキーム論的台は \(Y\) 上固有である。
このとき、\(\mathcal{F}_i\) のスキーム論的台が \(Y_i\) 上固有となる \(i\) が存在する。
証明
\(X_0\) を \(\mathcal{F}_0\) のスキーム論的台で置き換えてよい。 Morphisms, Lemma 056J により、 これで \(X_i\) は \(\mathcal{F}_i\) の台となり、\(X\) は \(\mathcal{F}\) の台となることが保証される。次に \(Z \subset X\) が \(\mathcal{F}\) のスキーム論的台を表すならば、\(Z \to X\) は 普遍同相であることが分かる。\(X \to Y\) は固有であると結論できる。 これは仮定により \(Z \to Y\) が固有だからである。Morphisms, Lemma 03GN を参照せよ。 Lemma 081F により、\(X_i \to Y\) はある \(i\) に対して 固有である。このときスキーム論的台 \(Z_i\)(\(\mathcal{F}_i\) のもの)は \(Y\) 上固有である。 これは Morphisms, Lemmas 01W5 および 01W3 による。
普遍閉射
本節では、準コンパクトな(しかし必ずしも分離的ではない)射が いつ普遍閉であるかを論じる。まず、局所有限表示な基底変換の後で 普遍閉性を検査できるようにする補題を証明する。
補題
\(f : X \to S\) をスキームの準コンパクト射とする。 \(g : T \to S\) をスキームの射とする。 \(t \in T\) を点とし、\(Z \subset X_T\) を \(Z \cap X_t = \emptyset\) を満たす閉部分スキームとする。 このとき、開集合 \(V \subset T\) で \(t\) の近傍となるもの、可換図式 \[\xymatrix{ V \ar[d] \ar[r]_a & T' \ar[d]^b \\ T \ar[r]^g & S, }\] および閉部分スキーム \(Z' \subset X_{T'}\) で、次を満たすものが存在する。
射 \(b : T' \to S\) は局所有限表示である。
\(t' = a(t)\) とおくと \(Z' \cap X_{t'} = \emptyset\) である。
\(Z \cap X_V\) は \(Z'\) の中に、射 \(X_V \to X_{T'}\) によって写る。
さらに、\(V\) と \(T'\) はアフィンであると仮定してよい。
証明
\(s = g(t)\) とおく。証明中、\(T\) をいつでも \(t\) の開近傍で 置き換えてよい。従って \(S\) も \(s\) の開近傍で置き換えてよい。 ゆえに \(T\) と \(S\) はアフィンであると仮定する。 \(S = \Spec(A)\)、\(T = \Spec(B)\) とし、\(g\) は環準同型 \(A \to B\) により与えられ、\(t\) は素イデアル \(\mathfrak q \subset B\) に対応するとする。
\(X \to S\) は準コンパクトで \(S\) はアフィンなので、 \(X = \bigcup_{i = 1, \ldots, n} U_i\) をアフィン開集合の有限和として書ける。 \(U_i = \Spec(C_i)\) と書く。特に \(X_T = \bigcup_{i = 1, \ldots, n} U_{i, T} = \bigcup_{i = 1, \ldots n} \Spec(C_i \otimes_A B)\) である。\(I_i \subset C_i \otimes_A B\) を閉部分スキーム \(Z \cap U_{i, T}\) に対応するイデアルとする。条件 \(Z \cap X_t = \emptyset\) は、\(I_i\) が環 \[C_i \otimes_A \kappa(\mathfrak q) = (B \setminus \mathfrak q)^{-1}\left( C_i \otimes_A B/\mathfrak q C_i \otimes_A B \right)\] の単位イデアルを生成することを意味する。 \(I_i (B \setminus \mathfrak q)^{-1}(C_i \otimes_A B) = (B \setminus \mathfrak q)^{-1} I_i\) なので、これは、 \(1 = x_i/g_i\) を満たすある \(x_i \in I_i\) と \(g_i \in B\)、 \(g_i \not \in \mathfrak q\) が存在することを意味する。従って分母を払うと、関係式 \[x_i + \sum\nolimits_j f_{i, j}c_{i, j} = g_i\] で、\(x_i \in I_i\)、\(f_{i, j} \in \mathfrak q\)、 \(c_{i, j} \in C_i \otimes_A B\)、かつ \(g_i \in B\)、 \(g_i \not \in \mathfrak q\) を満たすものを見つけられる。 \(B\) を \(B_{g_1 \ldots g_n}\) で置き換えること、すなわち \(T\) を \(t\) のより小さいアフィン近傍で置き換えることにより、 方程式は \[x_i + \sum\nolimits_j f_{i, j}c_{i, j} = 1\] となり、\(x_i \in I_i\)、\(f_{i, j} \in \mathfrak q\)、 \(c_{i, j} \in C_i \otimes_A B\) を満たすと仮定してよい。
議論を完了するため、\(B\) を有限表示な \(A\)-代数 \(B_\lambda\) の 余極限として書く。添字は有向集合 \(\Lambda\) を走る。各 \(\lambda\) に対して \(\mathfrak q_\lambda = (B_\lambda \to B)^{-1}(\mathfrak q)\) とおく。 十分大きい \(\lambda \in \Lambda\) に対して、次を見つけられる。
元 \(x_{i, \lambda} \in C_i \otimes_A B_\lambda\) で \(x_i\) に写るもの。
元 \(f_{i, j, \lambda} \in \mathfrak q_{i, \lambda}\) で \(f_{i, j}\) に写るもの。
元 \(c_{i, j, \lambda} \in C_i \otimes_A B_\lambda\) で \(c_{i, j}\) に写るもの。
\(\lambda\) をさらに少し増大させた後、方程式 \[x_{i, \lambda} + \sum\nolimits_j f_{i, j, \lambda}c_{i, j, \lambda} = 1\] が成り立つ。そのような \(\lambda\) を固定し、 \(T' = \Spec(B_\lambda)\) とおく。このとき \(t' \in T'\) は 素イデアル \(\mathfrak q_\lambda\) に対応する点である。 最後に、\(Z' \subset X_{T'}\) を \(Z \to X_T \to X_{T'}\) の スキーム論的像とする。\(X_T \to X_{T'}\) はアフィンなので、 \(Z'\) はアフィン開部分 \(U_{i, T'}\) 上で閉部分スキーム \(\Ker(C_i \otimes_A B_\lambda \to C_i \otimes_A B/I_i)\) として 計算できる。Morphisms, Example 056A を参照せよ。 従って \(x_{i, \lambda}\) は \(Z'\) を定義するイデアルに属する。 ゆえに最後の表示式は \(Z' \cap X_{t'}\) が空であることを示す。
補題
\(f : X \to S\) をスキームの準コンパクト射とする。 次の条件は同値である。
\(f\) は普遍閉である。
局所有限表示な任意の射 \(S' \to S\) に対して、 基底変換 \(X_{S'} \to S'\) は閉射である。
すべての \(n\) に対して、射 \(\mathbf{A}^n \times X \to \mathbf{A}^n \times S\) は閉射である。
証明
(1) が (2) を含意することは明らかである。(2) が (1) を 含意することを証明しよう。基底変換 \(X_T \to T\) が閉射でないと仮定する。 ここで \(T\) は \(S\) 上のあるスキームである。Schemes, Lemma 01K9 により、これは、 \(t_1 \leadsto t\) という \(T\) における特殊化と、点 \(\xi \in X_T\) で \(t_1\) に写るものが存在し、この \(\xi\) が \(t\) 上のファイバーの点へ特殊化しないことを意味する。 \(Z = \overline{\{\xi\}} \subset X_T\) とおく。このとき \(Z \cap X_t = \emptyset\) である。Lemma 05BD を適用する。 開集合 \(V \subset T\) で \(t\) の近傍となるもの、可換図式 \[\xymatrix{ V \ar[d] \ar[r]_a & T' \ar[d]^b \\ T \ar[r]^g & S, }\] および閉部分スキーム \(Z' \subset X_{T'}\) で、次を満たすものを得る。
射 \(b : T' \to S\) は局所有限表示である。
\(t' = a(t)\) とおくと \(Z' \cap X_{t'} = \emptyset\) である。
\(Z \cap X_V\) は \(Z'\) の中に、射 \(X_V \to X_{T'}\) によって写る。
これは、\(X_{T'} \to T'\) が閉部分集合 \(Z'\) を、\(T'\) の部分集合で \(a(t_1)\) を含むが \(t' = a(t)\) を含まないものに 写すことを意味する。\(a(t_1) \leadsto a(t) = t'\) なので、 \(X_{T'} \to T'\) は閉射でないと結論する。従って、 \(X \to S\) が普遍閉でないならば、\(X_{T'} \to T'\) が閉射でなくなるような 局所有限表示な \(T' \to S\) が存在することを示した。 言い換えれば、(2) は (1) を含意する。
射 \(\mathbf{A}^n \times X \to \mathbf{A}^n \times S\) が 任意の整数 \(n\) に対して閉射であると仮定する。 基底変換 \(X_T \to T\) が閉射であることを、\(T\) が \(S\) 上 局所有限表示な任意のスキームである場合に示したい。もちろん \(T\) は アフィンで、アフィン開集合 \(V\) で \(S\) のものに写ると仮定してよい (\(X_T \to T\) が閉射であることは \(T\) 上局所的だからである)。 この場合、閉埋め込み \(T \to \mathbf{A}^n \times V\) が存在する。 実際、\(\mathcal{O}_T(T)\) は有限表示な \(\mathcal{O}_S(V)\)-代数である。 Morphisms, Lemma 01TQ を参照せよ。このとき \(T \to \mathbf{A}^n \times S\) は 局所閉埋め込みである。従って、横向きの矢印が局所閉埋め込みである スキームの Cartesian 図式 \[\xymatrix{ X_T \ar[d]_{f_T} \ar[r] & \mathbf{A}^n \times X \ar[d]^{f_n} \\ T \ar[r] & \mathbf{A}^n \times S }\] を得る。従って任意の閉部分集合 \(Z \subset X_T\) は \(X_T \cap Z'\) と書ける。ここで \(Z' \subset \mathbf{A}^n \times X\) は ある閉部分集合である。このとき \(f_T(Z) = T \cap f_n(Z')\) であるから、\(f_n\) が閉射ならば \(f_T\) も閉射であることが分かる。
補題
\(S\) をスキームとする。 \(f : X \to S\) を有限型の分離射とする。 次の条件は同値である。
射 \(f\) は固有である。
局所有限型な任意の射 \(S' \to S\) に対して、 基底変換 \(X_{S'} \to S'\) は閉射である。
すべての \(n \geq 0\) に対して、射 \(\mathbf{A}^n \times X \to \mathbf{A}^n \times S\) は閉射である。
証明
固有射は分離、有限型、かつ普遍閉な射と同じものであるから、 この補題は Lemma 05JX の特別な場合である。
証明
(1) が (2) を、(2) が (3) を含意することは明らかなので、 (3) が (1) を含意することだけを示せばよい。 まず \(S\) がアフィンの場合に帰着する。基底がアフィンのとき (3) が (1) を含意すると仮定する。ここで \(f: X \to S\) を有限型の分離射とする。固有性は基底上局所的である (Morphisms, Lemma 01W2 を参照せよ)。 従って、\(S = \bigcup_\alpha S_\alpha\) がアフィン開被覆で、 \(X_\alpha := f^{-1}(S_\alpha)\) と書くならば、 \(f|_{X_\alpha}: X_\alpha \to S_\alpha\) がすべての \(\alpha\) に対して 固有であることを 示せば十分である。\(S_\alpha\) はアフィンなので、写像 \(f|_{X_\alpha}\) が (3) を満たせば、仮定により (1) を満たし、 固有となる。\(S\) がアフィンの場合への帰着を完了するには、 \(f: X \to S\) が (3) を満たす有限型の分離射ならば、 \(f|_{X_\alpha} : X_\alpha \to S_\alpha\) も (3) を満たす 有限型の分離射であることを示さなければならない。 分離性と有限型であることは明らかである。(3) を見るため、 \(\mathbf{A}^n \times X_\alpha\) は \(\mathbf{A}^n \times S_\alpha\) の \(1 \times f\) による開逆像であることに注意せよ。 閉集合 \(Z \subset \mathbf A^n \times X_\alpha\) を固定する。 \(\bar Z\) を \(Z\) の \(\mathbf{A}^n \times X\) における閉包とする。 このとき位相的理由により、 \[1 \times f(\bar Z) \cap \mathbf{A}^n \times S_\alpha = 1 \times f(Z).\] 従って \(1 \times f(Z)\) は閉であり、(3) \(\Rightarrow\) (1) の証明を アフィンの場合に帰着した。
\(S\) はアフィンで、\(f : X \to S\) は有限型の分離射であると仮定する。 Chow の補題 0202 を適用すると、 固有全射 \(\pi : X' \to X\) と埋め込み \(X' \to \mathbf{P}^n_S\) を得る。\(X\) が \(S\) 上固有ならば、 \(X' \to S\) は固有である(Morphisms, Lemma 01W3)。また \(\mathbf{P}^n_S \to S\) は分離的なので、 \(X' \to \mathbf{P}^n_S\) は固有であると結論できる (Morphisms, Lemma 01W6)。従ってこれは 閉埋め込みである(Schemes, Lemma 01IQ)。 逆に、\(X' \to \mathbf{P}^n_S\) が閉埋め込みであると仮定する。 図式 [05LZ]\[\begin{equation} \xymatrix{ X' \ar[r] \ar@{->>}[d]_{\pi} & \mathbf{P}^n_S \ar[d] \\ X \ar[r]^f & S } \end{equation}\] を考える。\(X \to S\) を除くすべての写像は先験的に固有である。 従って Morphisms, Lemma 03GN により、 \(X \to S\) は固有であると結論する。以上により、 \(X \to S\) が固有であるための必要十分条件は \(X' \to \mathbf{P}^n_S\) が閉埋め込みであることだと分かった。
\(S\) はアフィンで (3) が成り立つと仮定し、\(n, X', \pi\) は 上の通りとする。閉射であることは基底上局所的なので、写像 \(X \times \mathbf{P}^n \to S \times \mathbf{P}^n\) は閉射である。 実際、(3) により \(X \times \mathbf{A}^n \to S \times \mathbf{A}^n\) は閉射であり、 射影空間はアフィン \(n\)-空間のコピーで被覆される。 Constructions, Lemma 01NG を参照せよ。 Morphisms, Lemma 01W4 により、射 \[X' \times_S \mathbf{P}^n_S \to X \times_S \mathbf{P}^n_S = X \times \mathbf{P}^n\] は固有である。\(\mathbf{P}^n\) は分離的なので、射影 \[X' \times_S \mathbf{P}^n_S = \mathbf{P}^n_{X'} \to X'\] は分離射の基底変換にほかならず、分離的である。従って写像 \(X' \to X' \times_S \mathbf{P}^n_S\) は分離写像の切断なので 固有である(Schemes, Lemma 01KT を参照せよ)。 これらの射を合成して \[X' \to X' \times_S \mathbf{P}^n_S \to X \times_S \mathbf{P}^n_S = X \times \mathbf{P}^n \to S \times \mathbf{P}^n = \mathbf{P}^n_S\] を得ると、埋め込み \(X' \to \mathbf{P}^n_S\) は閉であり、 従って閉埋め込みであることが分かる。
Noetherian 付値判定法
基底が Noetherian ならば、離散付値環だけを用いて 付値判定法が成り立つことを示せる。
本節の結果の多くは、次の補題を用いて証明できる (そして、おそらくそうすべきである)が、常にそのようにしたわけではない。
補題
\(f : X \to Y\) をスキームの射とする。 \(f\) は有限型であり、\(Y\) は局所 Noetherian であると仮定する。 \(y \in Y\) を \(f\) の像の閉包に含まれる点とする。 このとき可換図式 \[\xymatrix{ \Spec(K) \ar[r] \ar[d] & X \ar[d]^f \\ \Spec(A) \ar[r] & Y }\] が存在する。ここで \(A\) は離散付値環、\(K\) はその分数体であり、 この図式は \(\Spec(A)\) の閉点を \(y\) に写す。さらに、 \(\Spec(K) \to X\) の像点は生成点 \(\eta\) であり、これは \(X\) のある既約成分のもので、\(K = \kappa(\eta)\) であると仮定してよい。
証明
この補題の非 Noetherian 版 (Morphisms, Lemma 02JQ)により、 点 \(x \in X\) で \(f(x)\) が \(y\) に特殊化するものが存在する。 \(x\) を \(x\) に特殊化する任意の点で置き換えてよいので、 \(x\) は \(X\) のある既約成分の生成点であると仮定してよい。 これにより環準同型 \(\mathcal{O}_{Y, y} \to \kappa(x)\) を得る (Schemes, Section 01J5 を参照せよ)。 \(R \subset \kappa(x)\) をその像とする。このとき \(R\) は Noetherian 局所環 \(\mathcal{O}_{Y, y}\) の商として Noetherian である。 一方、拡大 \(\kappa(x)\) は \(R\) の分数体の有限生成拡大である。 これは \(f\) が有限型だからである。従って Algebra, Lemma 00PH により、離散付値環 \(A \subset \kappa(x)\) で、\(\kappa(x)\) を分数体とし、\(R\) を支配するものが存在する。 すると \[\xymatrix{ \Spec(\kappa(x)) \ar[d] \ar[rrr] & & & X \ar[d] \\ \Spec(A) \ar[r] & \Spec(R) \ar[r] & \Spec(\mathcal{O}_{Y, y}) \ar[r] & Y }\] が求める図式を与える。
まず分離性に関する結果を述べる。以下の形をもつ スキームの射の実線可換図式をしばしば用いる。 [0206]\[\begin{equation} \vcenter{ \xymatrix{ \Spec(K) \ar[r] \ar[d] & X \ar[d] \\ \Spec(A) \ar[r] \ar@{-->}[ru] & S } } \end{equation}\] ここで \(A\) は付値環、\(K\) はその分数体である。
補題
\(S\) を局所 Noetherian スキームとする。 \(f : X \to S\) をスキームの射とする。 \(f\) は局所有限型であると仮定する。 次の条件は同値である。
射 \(f\) は分離的である。
任意の図式 (0206) に対して、点線矢印は 高々一つである。
\(A\) が離散付値環であるすべての図式 (0206) に対して、点線矢印は高々一つである。
任意の既約成分 \(X_0\) で \(X\) のものと、その生成点 \(\eta \in X_0\)、任意の離散付値環 \(A \subset K = \kappa(\eta)\) で分数体 \(K\) をもつもの、および射 \(\Spec(K) \to X\) が標準的なものである任意の図式 (0206) に対して、点線矢印は高々一つである (Schemes, Section 01J5 を参照せよ)。
証明
(1) が (2) を、(2) が (3) を、(3) が (4) を含意することは明らかである。 (4) が (1) を含意することを示すことが残る。(4) を仮定する。 まず \(S\) がアフィンの場合に帰着する。分離性は基底上局所的である (Schemes, Lemma 01KP を参照せよ)。 従って、\(X \to S\) が (4) を満たすとき、その制限 \(X_\alpha \to S_\alpha\) も (4) を満たすことを示せればよい。 ここで \(S_\alpha \subset S\) は(アフィン)開部分集合で、 \(X_\alpha := f^{-1}(S_\alpha)\) である。\(X_\alpha\) は \(X\) の開部分集合なので、 \(X_\alpha\) の既約成分の生成点は \(X\) の既約成分の生成点である。 従って、図式 [05M0]\[\begin{equation} \xymatrix{ \Spec(K) \ar[r] \ar[d] & X_\alpha \ar[d] \\ \Spec(A) \ar[r] \ar@{-->}[ru] & S_\alpha } \end{equation}\] に二つの異なる点線矢印があれば、写像 \(X_\alpha \to X\) および \(S_\alpha \to S\) を通じて 図式 (0206) に二つの異なる矢印を与え、 矛盾となる。従って \(S\) がアフィンの場合に帰着した。 この帰着の過程で、\(X \to S\) が (4) を満たすならば、 開集合 \(U \to V\) への制限も (4) を満たすことを証明したことに注意する。 ここで \(U \subset X\)、\(V \subset S\)、\(f(U) \subset V\) である。
次に \(X \to S\) が有限型である場合に帰着したい。 \(X\) が有限型の場合に (4) が (1) を含意すると仮定する。 \(S\) は Noetherian であり、\(X\) は \(S\) 上局所有限型なので、 \(X\) も局所 Noetherian である(Morphisms, Lemma 01T6 を参照せよ)。 従って \(X \to S\) は準分離的であり (Properties, Lemma 01OY)、 付値判定法を適用して \(X\) が分離的かどうか検査できる (Schemes, Lemma 01L0 を参照せよ)。 \(X = \bigcup_\alpha X_\alpha\) を \(X\) のアフィン開被覆とする。 図式 (0206) の任意の二つの点線矢印について、 \(\Spec A\) の閉点の像は二つの集合 \(X_\alpha\) と \(X_\beta\) に入る。 \(X_\alpha \cup X_\beta\) は開であるから、位相的理由により、両方の写像の下での \(\Spec(A)\) の像を含まなければならない。従って二つの点線矢印は \(X_\alpha \cup X_\beta \to X\) を経由する。これは \(S\) 上有限型な スキームである。\(X_\alpha \cup X_\beta\) は \(X\) の開部分集合なので、 先ほどの注意により \(X_\alpha \cup X_\beta\) は (4) を満たし、 仮定により分離的である。 従って与えられた二つの点線矢印は等しい。以上で \(X \to S\) が有限型の場合に帰着した。
\(X \to S\) は有限型であると仮定し、(4) を仮定する。 \(X \to S\) は有限型で \(S\) はアフィン Noetherian スキームなので、 \(X\) も Noetherian である(Morphisms, Lemma 01T6 を参照せよ)。 従って \(X \to X \times_S X\) は Noetherian スキームの 準コンパクトな埋め込みである。背理法で進める。 \(X \to X \times_S X\) が閉でないと仮定する。このとき、その像の 閉包に属するが像には属さない点 \(y \in X \times_S X\) がある。 \(X\) は Noetherian なので有限個の既約成分をもつ。従って \(y\) は、 ある既約成分 \(X_0 \subset X\) の像の閉包に属する。 \(X_0\) に誘導される被約構造を入れる。合成 \(X_0 \to X \to X \times_S X\) は閉部分スキーム \(X_0 \times_S X_0 \subset X \times_S X\) を経由する。 \(\Delta(X_0)\) の \(X_0 \times_S X_0\) における閉包を \(\bar X_0\) と書く(再び被約閉部分スキームとして)。 従って \(y \in \bar X_0\) である。 \(X_0 \to X_0 \times_S X_0\) は埋め込みなので、\(X_0\) の像は \(\bar X_0\) で開である。従って \(X_0\) と \(\bar X_0\) は双有理である。 \(\bar{X}_0\) は Noetherian スキームの閉部分スキームなので Noetherian である。 従って局所環 \(\mathcal O_{{\bar X_0, y}}\) は局所 Noetherian 整域で、 その分数体 \(K\) は \(X_0\) の関数体に等しい。Krull–Akizuki の定理 (Algebra, Lemma 00PH を参照せよ)により、 離散付値環 \(A\) で、\(\mathcal O_{{\bar X_0, y}}\) を支配し、 分数体 \(K\) をもつものが存在する。これにより図式 [05M1]\[\begin{equation} \xymatrix{ \Spec(K) \ar[r] \ar[d] & X_0 \ar[d]^{\Delta} \\ \Spec(A) \ar[r] \ar@{-->}[ur]& X_0 \times_S X_0 \\ } \end{equation}\] を構成できる。この図式は \(\Spec K\) を \(\Delta(X_0)\) の生成点に、 \(A\) の閉点を \(y \in X_0 \times_S X_0\) に写す (矢印の構成には Schemes, Section 01J5 の内容を用いよ)。 集合論的な点線矢印すら存在し得ない。実際、\(y\) は \(\Delta\) の像に 属さない。これは \(y\) の選び方による。圏論的に、上の図式における 点線矢印の存在は、次の図式における点線矢印の一意性と同値である。 [05M2]\[\begin{equation} \xymatrix{ \Spec(K) \ar[r] \ar[d] & X_0 \ar[d]\\ \Spec(A) \ar[r] \ar@{-->}[ur] & S \\ } \end{equation}\] 従って第一の図式における不存在により、この後者の図式では 一意性が成り立たない。ゆえに \(X_0\) は離散付値環に対する一意性を 満たさない。\(X_0\) は \(X\) の既約成分なので、\(X \to S\) は (4) を満たさない。以上で (4) が (1) を含意することを示した。
補題
\(S\) を局所 Noetherian スキームとする。 \(f : X \to S\) を有限型射とする。 次の条件は同値である。
射 \(f\) は固有である。
任意の図式 (0206) に対して、 点線矢印がちょうど一つ存在する。
\(A\) が離散付値環であるすべての図式 (0206) に対して、点線矢印がちょうど一つ存在する。
任意の既約成分 \(X_0\) で \(X\) のものと、その生成点 \(\eta \in X_0\)、任意の離散付値環 \(A \subset K = \kappa(\eta)\) で分数体 \(K\) をもつもの、および射 \(\Spec(K) \to X\) が標準的なものである任意の図式 (0206) に対して、点線矢印がちょうど一つ存在する (Schemes, Section 01J5 を参照せよ)。
証明
(1) は (2) を、(2) は (3) を、(3) は (4) を含意する。 ここで (4) が (1) を含意することを示す。Lemma 0207 の証明と同様に、 \(S\) がアフィンの場合に帰着できる。実際、固有性は基底上局所的であり、 \(X \to S\) が (4) を満たすならば、\(X_\alpha \to S_\alpha\) も (4) を満たす。 ここで \(S_\alpha \subset S\) は開で、\(X_\alpha = f^{-1}(S_\alpha)\) である。
今や \(S\) は Noetherian スキームなので \(X\) も Noetherian である。 実際、\(X \to S\) は有限型である。Chow の補題 (Cohomology of Schemes, Lemma 0200)により、全射、固有、双有理な射 \(X' \to X\) と埋め込み \(X' \to \mathbf{P}^n_S\) を得る。 \(X \to S\) が普遍閉であることを示したい。Lemma 0205 の証明と同様に、 \(X' \to \mathbf{P}^n_S\) が閉埋め込みであることを検査すれば十分である。 背理法のため、\(X' \to \mathbf{P}^n_S\) が閉埋め込みでないと仮定する。このとき、点 \(y \in \mathbf{P}^n_S\) が存在し、\(X'\) の像の閉包に属するが像には属さない。 従って \(y\) はある既約成分 \(X_0'\) で \(X'\) のものの像の閉包に属するが、 像には属さない。 \(\bar X_0' \subset \mathbf{P}^n_S\) を \(X_0'\) の像の閉包とする。 \(X' \to \mathbf{P}^n_S\) は Noetherian スキームの埋め込みなので、 射 \(X'_0 \to \bar X_0'\) は開かつ稠密である。Algebra, Lemma 00PH または Properties, Lemma 054F により、 離散付値環 \(A\) で、\(\mathcal{O}_{\bar X_0', y}\) を支配し、 同一の分数体 \(K\) をもつものを見つけられる。\(K\) が \(X_0'\) の生成点における 剰余体であることは明らかである。従って実線可換図式 [05M3]\[\begin{equation} \xymatrix{ \Spec K \ar[r] \ar[d] & X' \ar [r] \ar[d] & \mathbf{P}^n_S \ar[d] \\ \Spec A \ar@{-->}[r] \ar@{-->}[ru] \ar[urr] & X \ar[r] & S\\ } \end{equation}\] を得る。\(A\) の閉点は \(y \in \mathbf{P}^n_S\) に写ることに注意せよ。 構成により、\(X'\) への集合論的な持ち上げは存在しない。 \(X' \to X\) は双有理なので、\(X'_0\) の \(X\) における像は 既約成分 \(X_0\) で \(X\) のものであり、\(K\) は \(X_0\) の関数体とも同一視される。 従って \(X \to S\) は (4) を満たすと仮定しているので、 点線矢印 \(\Spec(A) \to X\) が存在する。 \(X' \to X\) は固有なので、この点線矢印は点線矢印 \(\Spec(A) \to X'\) に持ち上がる(Schemes, Proposition 01KF を用いよ)。 これと埋め込み \(X' \to \mathbf{P}^n_S\) を合成すると、 図には描かれていない別の射 \(\Spec(A) \to \mathbf{P}^n_S\) を得る。\(\mathbf{P}^n_S\) は \(S\) 上固有なので (2) を満たし、従ってこれら二つの射は一致する。 これは矛盾である。実際、元の写像 \(\Spec(A) \to \mathbf{P}^n_S\) の \(X'\) への禁止された持ち上げを 構成したことになる。
補題
\(f : X \to S\) をスキームの有限型射とする。 \(S\) は局所 Noetherian であると仮定する。このとき次の条件は同値である。
証明
(1) と (2) の同値性は Lemma 05JX の特別な場合である。 (1) と (3) の同値性は Schemes, Proposition 01KF の 特別な場合である。(3) が (4) を含意することは自明である。 従って (4) が (2) を含意することだけを証明すればよい。 Schemes, Lemma 01K9 の判定法により、 \(\mathbf{A}^n \times X \to \mathbf{A}^n \times S\) が閉射であることを示す。 \(n\) を選び、非自明な特殊化 \(z \leadsto z'\) で \(\mathbf{A}^n \times S\) の点のものと、点 \(y \in \mathbf{A}^n \times X\) で \(z\) の上にあるものを選ぶ。 \(\kappa(y)\) は \(\kappa(z)\) の有限生成体拡大であることに注意せよ。 これは \(\mathbf{A}^n \times X \to \mathbf{A}^n \times S\) が有限型だからである。 従って Properties, Lemma 054F または Algebra, Lemma 00PH により、 離散付値環 \(A \subset \kappa(y)\) で分数体 \(\kappa(z)\) をもち、 \(\mathcal{O}_{\mathbf{A}^n \times S, z'}\) の \(\kappa(z)\) における像を 支配する。これにより可換図式 \[\xymatrix{ \Spec(\kappa(y)) \ar[r] \ar[d] & \mathbf{A}^n \times X \ar[d] \ar[r] & X \ar[d] \\ \Spec(A) \ar[r] & \mathbf{A}^n \times S \ar[r] & S }\] を得る。性質 (4) により、この図式に収まる射 \(\Spec(A) \to X\) が存在する。左下の水平矢印からすでに射 \(\Spec(A) \to \mathbf{A}^n\) があるので、左の正方形に収まる射 \(\Spec(A) \to \mathbf{A}^n \times X\) も得る。従って閉点の像 \(y' \in \mathbf{A}^n \times X\) は \(y\) の特殊化であり、 \(z'\) の上にある。これで、特殊化が \(\mathbf{A}^n \times X \to \mathbf{A}^n \times S\) に沿って持ち上がることが示され、証明が完了する。
精密化された Noetherian 付値判定法
付値判定法を検査するとき、通常は付値環をもつすべての可能な図式を 考える必要はない。一例は Morphisms, Lemma 0894 で与えられている。Noetherian の状況でも、Lemmas 0207 および 0208 でこれを見た。 別の変種を次に示す。
補題
\(f : X \to S\) および \(h : U \to X\) をスキームの射とする。 \(S\) は局所 Noetherian、\(f\) と \(h\) は有限型、\(f\) は分離的で、 \(h(U)\) は \(X\) で稠密であると仮定する。任意の実線可換図式 \[\xymatrix{ \Spec(K) \ar[r] \ar[d] & U \ar[r]^h & X \ar[d]^f \\ \Spec(A) \ar[rr] \ar@{-->}[rru] & & S }\] で、\(A\) が分数体 \(K\) をもつ離散付値環であるものに対して、 図式を可換にする点線矢印が存在するならば、\(f\) は固有である。
証明
\(S\) がアフィンの場合に直ちに帰着する。このとき \(U\) は準コンパクトである。 \(U = U_1 \cup \ldots \cup U_n\) をアフィン開被覆とする。 仮定を変えずに \(U\) を \(U_1 \amalg \ldots \amalg U_n\) で置き換えられるので、 \(U\) はアフィンであると仮定してよい。従って、開埋め込み \(U \to Y\) で \(X\) 上のものを見つけられ、\(Y\) は \(X\) 上固有である。 (まず Morphisms, Lemma 04II を用いて \(U\) を \(\mathbf{A}^n_X\) の中に入れ、次に \(\mathbf{P}^n_X\) の中で閉包を取る。 または Morphisms, Lemma 07RM を直接用いてもよい。) \(U\) は \(Y\) で稠密であると仮定してよい(必要ならば \(Y\) を \(U\) のスキーム論的閉包で置き換える。Morphisms, Section 01RA を参照せよ)。 \(g : Y \to X\) は全射であることに注意せよ。実際、その像は閉であり、 稠密部分集合 \(h(U)\) を含む。 \(Y \to S\) が固有であることを示す。すると Morphisms, Lemma 03GN により \(X \to S\) が 固有となり、証明が完了する。 \(Y \to S\) が固有であることを示すため、Lemma 0208 の (4) を用いる。 そのため図式 \[\xymatrix{ \Spec(K) \ar[r]_y \ar[d] & Y \ar[d]^{f \circ g} \\ \Spec(A) \ar[r] \ar@{..>}[ru] & S }\] を考える。ここで \(A\) は分数体 \(K\) をもつ離散付値環で、 \(y : \Spec(K) \to Y\) は生成点の包含である。 点線矢印が一意に存在することを示さなければならない。 分離性の付値判定法の逆(Schemes, Lemma 01KZ)により一意性が成り立つ。 実際、\(Y \to S\) は分離射 \(Y \to X\) と \(X \to S\) の合成として 分離的である(Schemes, Lemma 01KU)。 存在は次のように分かる。\(y\) は \(Y\) の生成点なので \(U\) に含まれる。 補題の仮定により、射 \(a : \Spec(A) \to X\) で \[\xymatrix{ \Spec(K) \ar[r]_y \ar[d] & U \ar[r] & X \ar[d]^f \\ \Spec(A) \ar[rr] \ar[rru]^a & & S }\] を可換にするものが存在する。次に \(Y \to X\) は固有なので、 固有性の付値判定法(Morphisms, Lemma 0BX5)を適用し、射 \(b : \Spec(A) \to Y\) で \[\xymatrix{ \Spec(K) \ar[r]_y \ar[d] & Y \ar[d]^g \\ \Spec(A) \ar[r]^a \ar[ru]^b & X }\] を可換にするものを見つけられる。\(b\) が上の点線矢印として使えるので、 これで証明は完了する。
補題
\(f : X \to S\) および \(h : U \to X\) をスキームの射とする。 \(S\) は局所 Noetherian、\(f\) は局所有限型、\(h\) は有限型で、 \(h(U)\) は \(X\) で稠密であると仮定する。任意の実線可換図式 \[\xymatrix{ \Spec(K) \ar[r] \ar[d] & U \ar[r]^h & X \ar[d]^f \\ \Spec(A) \ar[rr] \ar@{-->}[rru] & & S }\] で、\(A\) が分数体 \(K\) をもつ離散付値環であるものに対して、 図式を可換にする点線矢印が高々一つならば、\(f\) は分離的である。
証明
Lemma 0CM3 を射 \(U \to X\) および \(\Delta : X \to X \times_S X\) に適用する。 条件を検査する。\(\Delta\) は Properties, Lemma 01OY (および Schemes, Lemma 01KV)により準コンパクトである。 もちろん \(\Delta\) は局所有限型かつ分離的である (これは任意の対角射について成り立つ)。 最後に、実線可換図式 \[\xymatrix{ \Spec(K) \ar[r] \ar[d] & U \ar[r]^h & X \ar[d]^\Delta \\ \Spec(A) \ar[rr]^{(a, b)} \ar@{-->}[rru] & & X \times_S X }\] が与えられたとする。ここで \(A\) は分数体 \(K\) をもつ離散付値環である。 すると \(a\) と \(b\) は補題の図式における二つの点線矢印を与え、 等しくなければならない。従って点線矢印として \(a = b\) を用いれば 存在が得られる。これで証明は完了する。
補題
\(f : X \to S\) および \(h : U \to X\) をスキームの射とする。 \(S\) は局所 Noetherian、\(f\) と \(h\) は有限型で、\(h(U)\) は \(X\) で稠密であると仮定する。任意の実線可換図式 \[\xymatrix{ \Spec(K) \ar[r] \ar[d] & U \ar[r]^h & X \ar[d]^f \\ \Spec(A) \ar[rr] \ar@{-->}[rru] & & S }\] で、\(A\) が分数体 \(K\) をもつ離散付値環であるものに対して、 図式を可換にする点線矢印が一意に存在するならば、\(f\) は固有である。
証明
永田基底上の付値判定法
永田基底上局所有限型のスキームを扱うとき、基底上本質的有限型である 離散付値環へ帰着できる。以下は、この方法で得られる結果のいくつかの例にすぎない。
補題
\(S\) を永田スキーム(従って特に局所 Noether スキーム)とする。 \(f : X \to Y\) を、\(S\) 上局所有限型なスキームの準コンパクトな射とする。 次は同値である:
\(f\) は普遍閉である。
任意の \(n\) に対し、射 \(\mathbf{A}^n \times X \to \mathbf{A}^n \times Y\) は閉である。
\(S\) 上のスキームの任意の可換図式 \[\xymatrix{ U \ar[r] \ar[d] & X \ar[d]^f \\ C \ar[r] \ar@{..>}[ru] & Y }\] であって、次を満たすものを考える:
\(C\) は \(S\) 上有限型な正規整スキームである。
\(U = C \setminus \{c\}\) であり、ここで \(c \in C\) は閉点である。
\(A = \mathcal{O}_{C, c}\) の次元は \(1\) である3
このとき可換図式 \[\xymatrix{ \Spec(K) \ar[r] \ar[d] & X \ar[d]^f \\ \Spec(A) \ar[r] \ar@{-->}[ru] & Y }\] で \(K = \text{Frac}(A)\) とするものには、図式を可換にする 点線矢印が少なくとも一つ存在する4。
証明
(1) と (2) の同値性、およびこれらが (3) を含意することは Lemma 05JY で既に見た。 従って (3) が (2) を含意することを示せば十分である。 条件 (3) が \(f : X \to Y\) に対して成り立つならば、 \(1 \times f : \mathbf{A}^n \times X \to \mathbf{A}^n \times Y\) に対しても条件 (3) が成り立つことに注意せよ (Lemma 05JY の証明中の議論を参照)。 従って (3) から \(f\) が閉であることを示せば十分である。
\(Y\) と \(S\) がアフィンである場合への帰着。この段落は読み飛ばしてよい。 \(S' \subset S\) をアフィン開集合、\(Y' \subset Y\) を \(S'\) へ写る アフィン開集合とする。\(X' = f^{-1}(Y')\) と置く。 このとき \(f' : X' \to Y'\) という \(f\) の制限を \(S'\) 上のスキームの射と見れば、 これも性質 (3) をもつと主張する。詳細は省略する。 \(f'\) が、\(S'\) と \(Y'\) のすべての選び方について閉であることを証明できれば、 \(f\) が閉であることが従う。これにより次の段落で扱う場合へ帰着する。
\(S\) と \(Y\) はアフィンであると仮定する。\(Z \subset X\) を閉部分集合とする。 \(Z\) を \(X\) の被約閉部分スキームと見てよく、そうする。 \(E = f(Z)\) が閉であることを示さなければならない。 \(y \in Y\) を \(f(Z)\) の閉包に含まれる閉点として取る。\(y \in E\) を示せば十分である。 矛盾を導くため \(y \not \in E\) と仮定する。 \(s \in S\) を \(y\) の像とする。これは \(S\) の有限型点である。Morphisms, Lemma 02J3 を参照せよ。 \(E\) は構成可能であることを思い出そう (Morphisms, Lemma 054J)。 交わり \(\Spec(\mathcal{O}_{Y, y}) \cap E\) を考える。 これはスペクトルの構成可能部分集合であり (Morphisms, Lemma 054I)、 閉点を含まない。穴あきスペクトル \(\Spec(\mathcal{O}_{Y, y}) \setminus \{y\}\) は Jacobson なので (Morphisms, Lemma 02J6)、 閉点 \(t \in \Spec(\mathcal{O}_{Y, y}) \setminus \{y\}\) で \(t \in E\) を満たすものが存在する (Topology, Lemma 005X を参照)。 言い換えると、\(t \in E\) は \(Y\) の点で、直後特殊化 \(t \leadsto y\) をもつ。 \(t \in E\) なので、スキーム論的ファイバー \(Z_t\) は空でない。 閉点 \(x \in Z_t\) を選ぶ。特に Hilbert の零点定理により \([\kappa(x) : \kappa(t)] < \infty\) である (Morphisms, Lemma 01TF)。
台となる位相空間が表示どおりである整閉部分スキーム \(T = \overline{\{t\}} \subset Y\) を取る (Schemes, Definition 01J4)。 すると \(t \in T\) は生成点である。 \(C \to T\) を \(T\) の \(\kappa(x)\) における正規化とする。Morphisms, Section 0BAK を参照せよ (より正確には、\(C \to T\) は \(T\) の \(x\) における正規化であり、ここで \(x = \Spec(\kappa(x)) \to T\) を \(T\) 上のスキームと見る)。 \(S\) は永田スキームなので、\(T\) もそうである (Morphisms, Lemma 035A)。 従って \(C \to T\) は有限である (Morphisms, Lemma 0AVK)。 \(t\) は像に含まれるので、\(C \to T\) は全射である (像は閉であり、\(T\) は \(t\) の \(Y\) における閉包だからである)。 \(c \in C\) で \(y \in T\) へ写るものを選ぶ。 \(y\) は \(T\) の閉点なので、\(c\) は \(C\) の閉点である。 \(\dim(\mathcal{O}_{T, y}) = 1\) だから \(\dim(\mathcal{O}_{C, c}) = 1\) である (次元が少なくとも \(1\) であるのは \(c\) が \(C\) の生成点でないためであり、 高々 \(1\) であることは \(C \to T\) が有限であることから従う)。 \(C\) の関数体は \(\kappa(x)\) であり、\(x\) は \(X\) の点なので、 \(Y\) 上の、\(C\) から \(X\) への有理写像を得る (例えば Morphisms, Lemma 0BX8 を参照)。 \(C \supset U \to X\) をその代表とする(特に \(U\) は空でない)。 \(c \not \in U\) と仮定してよい(\(U\) を \(U \setminus \{c\}\) で置き換える)。 \(c\) は余次元 \(1\) の閉点であり、\(C\) は整スキームなので、 \(C = U \amalg \{c\} \amalg \Sigma\) である。ここで \(\Sigma \subset C\) はある真の閉部分集合である。 \(C\) を \(C \setminus \Sigma\) で置き換えれば、(3) にある可換図式が構成される。 補題の主張の第 2 脚注により、点線矢印の存在から有理写像の \(C\) 全体への延長が得られる。しかし \(c\) の像は \(Z\) の点で、\(y\) へ写るものと なるので、これは矛盾である。
補題
\(S\) を永田スキーム(従って特に局所 Noether スキーム)とする。 \(f : X \to Y\) を、\(S\) 上局所有限型なスキームの射とする。 次は同値である:
\(f\) は分離的である。
\(S\) 上のスキームの任意の可換図式 \[\xymatrix{ U \ar[r] \ar[d] & X \ar[d]^f \\ C \ar[r] \ar@{..>}[ru] & Y }\] であって、次を満たすものを考える:
\(C\) は \(S\) 上有限型な正規整スキームである。
\(U = C \setminus \{c\}\) であり、ここで \(c \in C\) は閉点である。
\(A = \mathcal{O}_{C, c}\) の次元は \(1\) である5
このとき可換図式 \[\xymatrix{ \Spec(K) \ar[r] \ar[d] & X \ar[d]^f \\ \Spec(A) \ar[r] \ar@{-->}[ru] & Y }\] で \(K = \text{Frac}(A)\) とするものには、図式を可換にする 点線矢印が高々一つ存在する6。
証明
Lemma 0207 により (1) が (2) を含意することが分かる。(2) を仮定する。 \(f\) が分離的であることを示すには、 \(\Delta : X \to X \times_Y X\) が閉であることを示さなければならない。 Morphisms, Lemma 01T7 により、 射 \(\Delta\) は準コンパクトである。 Lemma 0GWV により、次を示せば十分である。\(S\) 上のスキームの任意の可換図式 \[\xymatrix{ U \ar[rr] \ar[d] & & X \ar[d]^\Delta \\ C \ar[rr]^{(a_1, a_2)} \ar@{..>}[rru] & & X \times_Y X }\] であって、次を満たすものを考える:
\(C\) は \(S\) 上有限型な正規整スキームである。
\(U = C \setminus \{c\}\) であり、ここで \(c \in C\) は閉点である。
\(A = \mathcal{O}_{C, c}\) の次元は \(1\) である。
このとき可換図式 \[\xymatrix{ \Spec(K) \ar[r] \ar[d] & X \ar[d]^\Delta \\ \Spec(A) \ar[r] \ar@{-->}[ru] & X \times_Y X }\] で \(K = \text{Frac}(A)\) とするものには、図式を可換にする点線矢印が 少なくとも一つ存在する。Lemma 0GWT により、 第 2 の図式における点線矢印の存在は、第 1 の図式における 点線矢印の存在と同値である。さらに、そこでの存在は \(a_1 = a_2\) を要求することに等しい。しかし \(a_1|_U = a_2|_U\) なので、一意性の仮定 (2) によりこれが成り立つ。 これで証明が完了する。
補題
\(S\) を永田スキーム(従って特に局所 Noether スキーム)とする。 \(f : X \to Y\) を、\(S\) 上局所有限型なスキームの準コンパクトな射とする。 次は同値である:
\(f\) は固有である。
\(S\) 上のスキームの任意の可換図式 \[\xymatrix{ U \ar[r] \ar[d] & X \ar[d]^f \\ C \ar[r] \ar@{..>}[ru] & Y }\] であって、次を満たすものを考える:
\(C\) は \(S\) 上有限型な正規整スキームである。
\(U = C \setminus \{c\}\) であり、ここで \(c \in C\) は閉点である。
\(A = \mathcal{O}_{C, c}\) の次元は \(1\) である7
このとき可換図式 \[\xymatrix{ \Spec(K) \ar[r] \ar[d] & X \ar[d]^f \\ \Spec(A) \ar[r] \ar@{-->}[ru] & Y }\] で \(K = \text{Frac}(A)\) とするものには、図式を可換にする 点線矢印がちょうど一つ存在する8。
証明
これは Lemmas 0GWV および 0GWW と、 固有射が有限型、分離的、普遍閉であるという定義から形式的に従う。
極限とファイバーの次元
次の補題は、Lemma 01ZM の状況で最もよく用いられる。 すなわち、極限のファイバーの次元が \(\leq d\) ならば、ある有限段階での ファイバーの次元も \(\leq d\) であることを保証するために用いる。
補題
\(I\) を有向集合とする。 \((f_i : X_i \to S_i)\) を \(I\) 上のスキームの射の逆系とする。 次を仮定する:
すべての射 \(S_{i'} \to S_i\) はアフィンである。
すべてのスキーム \(S_i\) は準コンパクトかつ準分離的である。
射 \(f_i\) は有限型である。
射 \(X_{i'} \to X_i \times_{S_i} S_{i'}\) は閉埋め込みである。
\(f : X = \lim_i X_i \to S = \lim_i S_i\) をその極限とする。 \(d \geq 0\) とする。\(f\) のすべてのファイバーの次元が \(\leq d\) ならば、 ある \(i\) に対して \(f_i\) のすべてのファイバーの次元が \(\leq d\) である。
証明
各 \(i\) に対して \(U_i = \{x \in X_i \mid \dim_x((X_i)_{f_i(x)}) \leq d\}\) と置く。 これは \(X_i\) の開部分集合である。Morphisms, Lemma 02FZ を参照せよ。 \(Z_i = X_i \setminus U_i\) と置く(被約誘導スキーム構造を入れる)。 \(Z_i = \emptyset\) となる \(i\) が存在することを示さなければならない。 そうでなければ \(Z = \lim Z_i \not = \emptyset\) である。Lemma 01Z2 を参照せよ。 \(z \in Z\) を一点とする。\(Z \subset X\) は閉部分スキームであることに注意せよ。 \(s = f(z)\) と置く。各 \(i\) に対して、\(s_i \in S_i\) を \(s\) の像とする。 \(Z_s\) はスキーム \((Z_i)_{s_i}\) の極限であり、また \(Z_s\) は スキーム \((Z_i)_{s_i}\) を \(\kappa(s)\) へ基底変換したものの極限でもある。 さらに、仮定 (4) によりすべての射 \[Z_s \longrightarrow (Z_{i'})_{s_{i'}} \times_{\Spec(\kappa(s_{i'}))} \Spec(\kappa(s)) \longrightarrow (Z_i)_{s_i} \times_{\Spec(\kappa(s_i))} \Spec(\kappa(s)) \longrightarrow X_s\] は閉埋め込みである。従って \(Z_s\) は、閉部分スキーム \((Z_i)_{s_i} \times_{\Spec(\kappa(s_i))} \Spec(\kappa(s))\) の \(X_s\) におけるスキーム論的交わりである。スキーム \((Z_i)_{s_i} \times_{\Spec(\kappa(s_i))} \Spec(\kappa(s))\) のすべての既約成分は次元 \(> d\) で \(z\) を含むので、\(Z_s\) は 次元 \(> d\) で \(z\) を通る既約成分を含むと結論する。 これは \(Z_s \subset X_s\) かつ \(\dim(X_s) \leq d\) であることに矛盾する。
補題
Situation 081D と同じ記法および仮定を用いる。 次を仮定する:
\(f\) は準有限射である。
\(f_0\) は局所有限型である。
このとき、\(i \geq 0\) で \(f_i\) が準有限となるものが存在する。
証明
Lemma 05M5 から直ちに従う。
補題
Situation 081D と同じ仮定および記法を用いる。 \(d \geq 0\) とする。次を仮定する:
\(f\) の相対次元は \(\leq d\) である (Morphisms, Definition 02NJ)。
\(f_0\) は局所有限型である。
このとき、\(i\) で \(f_i\) の相対次元が \(\leq d\) となるものが存在する。
証明
Lemma 05M5 から直ちに従う。
補題
Situation 081D と同じ記法および仮定を用いる。 次を仮定する:
\(f\) の相対次元は \(d\) である。
\(f_0\) は局所有限表示である。
このとき、\(i \geq 0\) で \(f_i\) の相対次元が \(d\) となるものが存在する。
証明
Lemma 05M5 により、\(f_0\) のすべてのファイバーの 次元が \(\leq d\) であると仮定してよい。Morphisms, Lemma 02G0 により、集合 \(U_0 \subset X_0\) は、点 \(x \in X_0\) であって \(X_0 \to Y_0\) の \(x\) におけるファイバーの次元が \(\leq d - 1\) となるもの全体であり、開かつ \(X_0\) において 逆コンパクトである。従って補集合 \(E = X_0 \setminus U_0\) は構成可能である。 さらに Morphisms, Lemma 02FY により、 \(X \to X_0\) の像は \(E\) に含まれる。 従って \(i \gg 0\) に対し、\(X_i \to X_0\) の像は \(E\) に含まれる (Lemma 05F4)。 すると、上で引用した Morphisms, Lemma 02FY により、 \(X_i \to Y_i\) のすべてのファイバーの次元は \(d\) である。
補題
\(S\) を準コンパクトかつ準分離的なスキームとする。 \(f : X \to S\) を有限表示射とする。 \(d \geq 0\) を整数とする。 \(Z \subset X\) を閉部分スキームとし、\(\dim(Z_s) \leq d\) が すべての \(s \in S\) に対して成り立つと仮定する。このとき閉部分スキーム \(Z' \subset X\) で次を満たすものが存在する:
\(Z \subset Z'\)。
\(Z' \to X\) は有限表示である。
\(\dim(Z'_s) \leq d\) がすべての \(s \in S\) に対して成り立つ。
証明
Proposition 01ZA により、 \(S = \lim S_i\) を、アフィン遷移射をもつ Noether スキームの 有向逆系の極限として書ける。Lemma 01ZM により、有限表示射の系 \(f_i : X_i \to S_i\) で、 \(X_{i'} = X_i \times_{S_i} S_{i'}\) がすべての \(i' \geq i\) に対して成り立ち、かつ \(X = X_i \times_{S_i} S\) を満たすものが存在すると仮定してよい。 \(Z_i \subset X_i\) を \(Z \to X \to X_i\) のスキーム論的像とする。 \(i' \geq i\) ならば、射 \(X_{i'} \to X_i\) は \(Z_{i'}\) を \(Z_i\) の中へ写し、 誘導射 \(Z_{i'} \to Z_i \times_{S_i} S_{i'}\) は閉埋め込みである。 Lemma 05M5 により、\(Z_i \to S_i\) のすべての ファイバーの次元が \(\leq d\) となる適切な \(i \in I\) が存在する。 そのような \(i\) を固定し、\(Z' = Z_i \times_{S_i} S \subset X\) と置く。 \(S_i\) は Noether なので \(X_i\) も Noether であり、従って射 \(Z_i \to X_i\) は有限表示である。ゆえにその基底変換 \(Z' \to X\) も有限表示である。さらに、\(Z' \to S\) のファイバーは \(Z_i \to S_i\) のファイバーの基底変換であり、従って次元は \(\leq d\) である。
最高次数における基底変換
固有射と有限型準連接加群に対して、基底変換写像は最高次数で同型である。
補題
\(f : X \to Y\) をスキームの射とする。\(d \geq 0\) とする。次を仮定する:
\(X\) と \(Y\) は準コンパクトかつ準分離的である。
\(R^if_*\mathcal{F} = 0\) が、\(i > d\) および任意の準連接 \(\mathcal{O}_X\)-加群 \(\mathcal{F}\) に対して成り立つ。
このとき次が成り立つ:
任意の基底変換図式 \[\xymatrix{ X' \ar[d]_{f'} \ar[r]_{g'} & X \ar[d]^f \\ Y' \ar[r]^g & Y }\] に対し、\(R^if'_*\mathcal{F}' = 0\) が、\(i > d\) および任意の準連接 \(\mathcal{O}_{X'}\)-加群 \(\mathcal{F}'\) について成り立つ。
\(R^df'_*(\mathcal{F}' \otimes_{\mathcal{O}_{X'}} (f')^*\mathcal{G}') = R^df'_*\mathcal{F}' \otimes_{\mathcal{O}_{Y'}} \mathcal{G}'\) が、任意の準連接 \(\mathcal{O}_{Y'}\)-加群 \(\mathcal{G}'\) に対して成り立つ。
\(R^df'_*\mathcal{F}'\) の形成は任意のさらなる基底変換と可換である (説明は証明を参照)。
証明
証明に先立ち、(c) の意味を説明する。与えられた図式にさらにカルテジアン正方形を 付け加えて \[\xymatrix{ X'' \ar[d]_{f''} \ar[r]_{h'} & X' \ar[d]_{f'} \ar[r]_{g'} & X \ar[d]^f \\ Y'' \ar[r]^h & Y' \ar[r]^g & Y }\] を得たとする。(a) が成り立つならば、標準写像 \(\gamma : h^*R^df'_*\mathcal{F}' \to R^df''_*(h')^*\mathcal{F}'\) が存在する。すなわち、\(\gamma\) は合成 \[Lh^*Rf'_*\mathcal{F}' \longrightarrow Rf''_*L(h')^*\mathcal{F}' \longrightarrow Rf''_*(h')^*\mathcal{F}'\] が次数 \(d\) のコホモロジー層上に誘導する写像である。 ここで第 1 の矢印は基底変換写像 (Cohomology, Remark 08HY)であり、 第 2 の矢印は標準写像 \(L(g')^*\mathcal{F} \to (g')^*\mathcal{F}\) から得られる複体の写像である。 同様に、(a) により \(Rf'_*\mathcal{F}\) は次数 \(> d\) に非零の コホモロジー層をもたないので、 \(H^d(Lh^*Rf_*\mathcal{F}') = h^*R^df_*\mathcal{F}\) である。 (c) の内容は \(\gamma\) が同型であるということである。
以上を踏まえ、(a), (b), (c) は \(Y'\) と \(Y''\) 上局所的に検査できる。 \(V \subset Y\) を準コンパクト開部分スキームとする。このとき (1) と (2) は \(f|_{f^{-1}(V)} : f^{-1}(V) \to V\) に対しても成り立つと主張する。 実際、(1) は直ちに分かる。(2) は、\(f^{-1}(V)\) 上の任意の準連接加群が \(X\) 上の準連接加群の制限であり (Properties, Lemma 01PE)、 高次順像の形成が開集合への制限と可換であることから従う。 従って \(Y\) 上でも局所的に作業できる。言い換えると、 \(Y''\), \(Y'\), \(Y\) はアフィンスキームであると仮定してよい。
\(Y'\) と \(Y\) がアフィンである場合の (a) の証明。 この場合、射 \(g\) と \(g'\) はアフィンである。従って \(g_* = Rg_*\) および \(g'_* = Rg'_*\) であり (Cohomology of Schemes, Lemma 01XC)、 \(g_*\) は加群上の制限関手と同一視される (Schemes, Lemma 01I9)。 そこで \[g_*(R^if'_*\mathcal{F}') = H^i(Rg_*Rf'_*\mathcal{F}') = H^i(Rf_*Rg'_*\mathcal{F}') = H^i(Rf_*g'_*\mathcal{F}') = Rf^i_*g'_*\mathcal{F}'\] であり、これは仮定 (2) により零である。従って、上の \(g_*\) の記述から (a) が従う。
\(Y'\) がアフィン、例えば \(Y' = \Spec(R')\) である場合の (b) の証明。 (a) により、\(H^{d + 1}(X', \mathcal{F}') = 0\) が任意の準連接 \(\mathcal{O}_{X'}\)-加群 \(\mathcal{F}'\) に対して成り立つ。Cohomology of Schemes, Lemma 01XK を参照せよ。規則 \[F(M) = H^d(X', \mathcal{F}' \otimes_{\mathcal{O}_{X'}} (f')^*\widetilde{M})\] で定義される関手 \(F\) を \(R'\)-加群上で考える。 Cohomology, Lemma 01FF により、 この関手は直和と可換である(ここで \(X\)、従って \(X'\) が準コンパクトかつ 準分離的であることを用いる)。他方、完全列 \(M_1 \to M_2 \to M_3 \to 0\) が与えられると、 \[\mathcal{F}' \otimes_{\mathcal{O}_{X'}} (f')^*\widetilde{M}_1 \to \mathcal{F}' \otimes_{\mathcal{O}_{X'}} (f')^*\widetilde{M}_2 \to \mathcal{F}' \otimes_{\mathcal{O}_{X'}} (f')^*\widetilde{M}_3 \to 0\] は \(X'\) 上の準連接加群の完全列であり、上で得た高次コホモロジーの消滅により 完全列 \[F(M_1) \to F(M_2) \to F(M_3) \to 0\] を得る。言い換えると \(F\) は右完全である。直和と可換する任意の右完全 \(R'\)-線形関手 \(F : \text{Mod}_{R'} \to \text{Mod}_{R'}\) は、ある \(R'\)-加群とのテンソル積によって与えられる (証明は省略し、読者への演習とする)。 従って \(F(M) = H^d(X', \mathcal{F}') \otimes_{R'} M\) を得る。 \(R^d(f')_*\mathcal{F}'\) および \(R^d(f')_*(\mathcal{F}' \otimes_{\mathcal{O}_{X'}} (f')^*\widetilde{M})\) は準連接であるから (Cohomology of Schemes, Lemma 01XJ)、 \(F(M) = H^d(X', \mathcal{F}') \otimes_{R'} M\) という事実は (b) の主張に移される。
\(Y'' \to Y' \to Y\) がアフィンスキームの射である場合の (c) の証明。 \(Y'' = \Spec(R'')\) および \(Y' = \Spec(R')\) とする。 すると \(R^df''_*(h')^*\mathcal{F}'\) は、\(Y'\) 上の準連接加群で、 \(R''\)-加群 \(H^d(X'', (h')^*\mathcal{F}')\) に付随するものである。 いま \(h' : X'' \to X'\) はアフィンなので、既に用いた Cohomology of Schemes, Lemma 089W により \(H^d(X'', (h')^*\mathcal{F}') = H^d(X, h'_*(h')^*\mathcal{F}')\) である。また \[h'_*(h')^*\mathcal{F}' = \mathcal{F}' \otimes_{\mathcal{O}_{X'}} (f')^*\widetilde{R''}\] である。これはアフィン開被覆上で検査すれば分かる。 従って \(H^d(X'', (h')^*\mathcal{F}') = H^d(X', \mathcal{F}') \otimes_{R'} R''\) を得る。これは \(f'\) に (b) を適用したものであり、 証明が完了する。
補題
\(f : X \to Y\) をスキームの射とする。\(y \in Y\) とする。 \(f\) は固有で \(\dim(X_y) = d\) であると仮定する。このとき
\(\mathcal{F} \in \QCoh(\mathcal{O}_X)\) に対して、 \((R^if_*\mathcal{F})_y = 0\) がすべての \(i > d\) について成り立つ。
アフィン開近傍 \(V \subset Y\) で \(y\) のもののうち、 \(f^{-1}(V) \to V\) と \(d\) が Lemma 0EX3 の仮定と結論を満たすものが存在する。
証明
Morphisms, Lemma 02FZ と \(f\) が閉であることから、 \(V\) を \(y\) のアフィン開近傍で、\(V\) のすべての点上のファイバーの次元が \(\leq d\) となるものを取れる。従って \(X \to Y\) は、すべてのファイバーの 次元が \(\leq d\) である固有射で、\(Y\) はアフィンであると仮定してよい。 (2) を示す。すると、これはすべての \(y \in Y\) に対して直ちに (1) を含意する。
Lemma 09ZR により、 \(X = \lim X_i\) を余フィルター極限として書ける。ここで \(X_i \to Y\) は固有かつ有限表示であり、\(X \to X_i\) と遷移射はいずれも 閉埋め込みである。ある \(i\) に対して \(X_i \to Y\) のファイバーの次元は \(\leq d\) である。Lemma 05M5 を参照せよ。 準連接 \(\mathcal{O}_X\)-加群 \(\mathcal{F}\) に対して、 \(R^pf_*\mathcal{F} = R^pf_{i, *}(X \to X_i)_*\mathcal{F}\) である。 これは Cohomology of Schemes, Lemma 01XC と Leray (Cohomology, Lemma 01F6)による。 従って \(X\) を \(X_i\) で置き換え、次の段落の場合へ帰着できる。
\(Y\) はアフィンで、\(f : X \to Y\) は固有かつ有限表示、すべての ファイバーの次元は \(\leq d\) であると仮定する。 \(H^p(X, \mathcal{F}) = 0\) が \(p > d\) に対して成り立つことを示せば十分である。 実際、Cohomology of Schemes, Lemma 01XK により \(H^p(X, \mathcal{F}) = H^0(Y, R^pf_*\mathcal{F})\) である。 一方、Cohomology of Schemes, Lemma 01XJ により \(R^pf_*\mathcal{F}\) は \(Y\) 上準連接なので、大域切断の消滅から 加群自体の消滅が従う。 \(Y = \lim_{i \in I} Y_i\) をアフィンスキームの余フィルター極限として書く。 ここで \(Y_i\) は Noether 環のスペクトルである (例えば有限型 \(\mathbf{Z}\)-代数のスペクトル)。 元 \(0 \in I\) と有限型射 \(X_0 \to Y_0\) を \(X \cong Y \times_{Y_0} X_0\) となるように選べる。Lemma 01ZM を参照せよ。 \(0\) を増大させた後、\(X_0 \to Y_0\) は固有であると仮定してよく (Lemma 081F)、さらに \(X_0 \to Y_0\) のファイバーの次元は \(\leq d\) であると仮定してよい (Lemma 05M5)。 \(X \to X_0\) はアフィンなので、Cohomology of Schemes, Lemma 089W により \(H^p(X, \mathcal{F}) = H^p(X_0, (X \to X_0)_*\mathcal{F})\) である。 これにより次の段落の場合へ帰着する。
\(Y\) はアフィン Noether、\(f : X \to Y\) は固有で、すべての ファイバーの次元は \(\leq d\) であると仮定する。 \(\mathcal{F} = \colim \mathcal{F}_i\) を連接 \(\mathcal{O}_X\)-加群の フィルター余極限として書ける。Properties, Lemma 01PK を参照せよ。 Cohomology, Lemma 01FF により \(H^p(X, \mathcal{F}) = \colim H^p(X, \mathcal{F}_i)\) である。 従って \(\mathcal{F}\) は連接であると仮定してよい。 この場合、Cohomology of Schemes, Lemma 02V7 により、\((R^pf_*\mathcal{F})_y = 0\) が すべての \(y \in Y\) に対して成り立つ。従って \(R^pf_*\mathcal{F} = 0\) であり、ゆえに \(H^p(X, \mathcal{F}) = 0\) である(上を参照)。これで証明が完了する。
補題
\(f : X \to Y\) をスキームの射とする。\(d \geq 0\) とする。 \(\mathcal{F}\) を \(\mathcal{O}_X\)-加群とする。次を仮定する:
\(f\) は固有射で、そのすべてのファイバーの次元は \(\leq d\) である。
\(\mathcal{F}\) は有限型準連接 \(\mathcal{O}_X\)-加群である。
このとき \(R^df_*\mathcal{F}\) は有限型準連接 \(\mathcal{O}_X\)-加群である。
証明
加群 \(R^df_*\mathcal{F}\) は Cohomology of Schemes, Lemma 01XJ により準連接である。 問題は \(Y\) 上局所的なので、\(Y\) はアフィンであると仮定してよい。 \(Y = \Spec(R)\) とする。このとき \(H^d(X, \mathcal{F})\) が有限 \(R\)-加群であることを示せば十分である。
Lemma 09ZR により、 \(X = \lim X_i\) を余フィルター極限として書ける。ここで \(X_i \to Y\) は固有かつ有限表示であり、\(X \to X_i\) と遷移射はいずれも 閉埋め込みである。ある \(i\) に対して \(X_i \to Y\) のファイバーの次元は \(\leq d\) である。Lemma 05M5 を参照せよ。また \(R^pf_*\mathcal{F} = R^pf_{i, *}(X \to X_i)_*\mathcal{F}\) である。 これは Cohomology of Schemes, Lemma 01XC と Leray (Cohomology, Lemma 01F6)による。 従って \(X\) を \(X_i\) で置き換え、次の段落の場合へ帰着できる。
\(Y\) はアフィンで、\(f : X \to Y\) は固有かつ有限表示、すべての ファイバーの次元は \(\leq d\) であると仮定する。 \(\mathcal{F}\) を有限表示 \(\mathcal{O}_X\)-加群 \(\mathcal{F}'\) の 商として書ける。Properties, Lemma 086M を参照せよ。 写像 \(H^d(X, \mathcal{F}') \to H^d(X, \mathcal{F})\) は全射である。 実際、Lemma 0E7D (またはその証明)で見た高次コホモロジーの消滅により \(H^{d + 1}(X, \Ker(\mathcal{F}' \to \mathcal{F})) = 0\) だからである。 従って次の段落の場合へ帰着する。
\(Y = \Spec(R)\) はアフィンで、\(f : X \to Y\) は固有かつ有限表示、 すべてのファイバーの次元は \(\leq d\) であり、\(\mathcal{F}\) は 有限表示 \(\mathcal{O}_X\)-加群であると仮定する。 \(Y = \lim_{i \in I} Y_i\) をアフィンスキームの余フィルター極限として書く。 ここで \(Y_i = \Spec(R_i)\) は Noether 環のスペクトルである (例えば有限型 \(\mathbf{Z}\)-代数のスペクトル)。 元 \(0 \in I\) と有限型射 \(X_0 \to Y_0\) を \(X \cong Y \times_{Y_0} X_0\) となるように選べる。Lemma 01ZM を参照せよ。 \(0\) を増大させた後、\(X_0 \to Y_0\) は固有であると仮定してよく (Lemma 081F)、さらに \(X_0 \to Y_0\) のファイバーの次元は \(\leq d\) であると仮定してよい (Lemma 05M5)。 さらに \(0\) を増大させた後、連接 \(\mathcal{O}_{X_0}\)-加群 \(\mathcal{F}_0\) で、その引き戻しが \(\mathcal{F}\) となるものが存在すると仮定してよい。 Lemma 01ZR を参照せよ。 Lemma 0EX3 により \[H^d(X, \mathcal{F}) = H^d(X_0, \mathcal{F}_0) \otimes_{R_0} R\] である。Cohomology of Schemes, Lemma 02O6 により コホモロジー加群 \(H^d(X_0, \mathcal{F}_0)\) は有限なので、証明が完了する。
補題
\(f : X \to Y\) をスキームの射とする。\(d \geq 0\) とする。 \(\mathcal{F}\) を \(\mathcal{O}_X\)-加群とする。次を仮定する:
\(f\) は有限表示固有射で、そのすべてのファイバーの次元は \(\leq d\) である。
\(\mathcal{F}\) は有限表示 \(\mathcal{O}_X\)-加群である。
このとき \(R^df_*\mathcal{F}\) は有限表示 \(\mathcal{O}_X\)-加群である。
証明
証明は Lemma 0EX4 の証明とまったく同じだが、 第 3 段落は省略できる。詳細は省略する。
閉ファイバーにおける貼り合わせ
上の理論を局所環のスペクトルに適用すると、相対スキームについての 次の見通しのよい貼り合わせ結果を得る。
補題
\(S\) をスキームとする。\(s \in S\) を閉点とし、 \(U = S \setminus \{s\} \to S\) は準コンパクトであると仮定する。 \(V = \Spec(\mathcal{O}_{S, s}) \setminus \{s\}\) と置くと、圏の同値 \[\left\{ \begin{matrix} X \to S\text{ of finite presentation} \end{matrix} \right\} \longrightarrow \left\{ \vcenter{ \xymatrix{ X' \ar[d] & Y' \ar[d] \ar[l] \ar[r] & Y \ar[d] \\ U & V \ar[l] \ar[r] & \Spec(\mathcal{O}_{S, s}) } } \right\}\] が存在する。右辺では、正方形がカルテジアンで、垂直矢印が有限表示である 可換図式を考える。
証明
\(W \subset S\) を \(s\) の開近傍とする。相対スキームの貼り合わせ (Constructions, Section 01LG)により、関手 \[\left\{ \begin{matrix} X \to S\text{ of finite presentation} \end{matrix} \right\} \longrightarrow \left\{ \vcenter{ \xymatrix{ X' \ar[d] & Y' \ar[d] \ar[l] \ar[r] & Y \ar[d] \\ U & W \setminus \{s\} \ar[l] \ar[r] & W } } \right\}\] は圏の同値である。\(\mathcal{O}_{S, s} = \colim \mathcal{O}_W(W)\) であり、 ここで \(W\) は \(s\) のアフィン開近傍を走る。 従って \(\Spec(\mathcal{O}_{S, s}) = \lim W\) であり、ここでも \(W\) は \(s\) のアフィン開近傍を走る。 ゆえに \(\Spec(\mathcal{O}_{S, s})\) 上有限表示なスキームの圏は、 \(W\) 上有限表示なスキームの圏の極限であり、ここで \(W\) は \(s\) の アフィン開近傍を走る。Lemma 01ZM を参照せよ。 任意のアフィン開近傍(\(s \in W\))について、\(U \cap W\) は、 \(U \to S\) が準コンパクトなので準コンパクトである。 従って \(V = \lim W \cap U = \lim W \setminus \{s\}\) は 準コンパクトかつ準分離的なスキームの極限である (Lemma 01YX を参照)。 従って \(V\) 上有限表示なスキームの圏も、\(W \cap U\) 上有限表示な スキームの圏の極限であり、ここで \(W\) は \(s\) のアフィン開近傍を走る。 これらの結果を組み合わせれば補題は形式的に従う。
補題
\(S\) をスキームとする。\(s \in S\) を閉点とし、 \(U = S \setminus \{s\} \to S\) は準コンパクトであると仮定する。 \(V = \Spec(\mathcal{O}_{S, s}) \setminus \{s\}\) と置くと、圏の同値 \[\left\{ \mathcal{O}_S\text{-modules }\mathcal{F}\text{ of finite presentation} \right\} \longrightarrow \left\{ (\mathcal{G}, \mathcal{H}, \alpha) \right\}\] が存在する。右辺では、有限表示 \(\mathcal{O}_U\)-加群 \(\mathcal{G}\)、 有限表示 \(\mathcal{O}_{\Spec(\mathcal{O}_{S, s})}\)-加群 \(\mathcal{H}\)、 および同型 \(\alpha : \mathcal{G}|_V \to \mathcal{H}|_V\) からなる三つ組を考える。 ここで最後の射は \(\mathcal{O}_V\)-加群の同型である。
証明
Lemma 0BPA の証明を Lemma 01ZR を用いてやり直してもよい。 あるいは Lemma 0BPA から、準連接加群と “vector bundles” の同値(Constructions, Section 01M1)を用いて導いてもよい。 詳細は省略する。
補題
\(S\) をスキームとする。\(U \subset S\) を逆コンパクト開集合とする。 \(s \in S\) を \(U\) の補集合にある点とする。 \(V = \Spec(\mathcal{O}_{S, s}) \cap U\) と置くと、圏の同値 \[\colim_{s \in U' \supset U\text{ open}} \left\{ \vcenter{ \xymatrix{ X \ar[d] \\ U' } } \right\} \longrightarrow \left\{ \vcenter{ \xymatrix{ X' \ar[d] & Y' \ar[d] \ar[l] \ar[r] & Y \ar[d] \\ U & V \ar[l] \ar[r] & \Spec(\mathcal{O}_{S, s}) } } \right\}\] が存在する。左辺では垂直矢印が有限表示であり、右辺では正方形が カルテジアンで、垂直矢印が有限表示である可換図式を考える。
証明
\(W \subset S\) を \(s\) の開近傍とする。相対スキームの貼り合わせ (Constructions, Section 01LG)により、関手 \[\left\{ \begin{matrix} X \to U' = U \cup W \text{ of finite presentation} \end{matrix} \right\} \longrightarrow \left\{ \vcenter{ \xymatrix{ X' \ar[d] & Y' \ar[d] \ar[l] \ar[r] & Y \ar[d] \\ U & W \cap U \ar[l] \ar[r] & W } } \right\}\] は圏の同値である。\(\mathcal{O}_{S, s} = \colim \mathcal{O}_W(W)\) であり、 ここで \(W\) は \(s\) のアフィン開近傍を走る。 従って \(\Spec(\mathcal{O}_{S, s}) = \lim W\) であり、ここでも \(W\) は \(s\) のアフィン開近傍を走る。 ゆえに \(\Spec(\mathcal{O}_{S, s})\) 上有限表示なスキームの圏は、 \(W\) 上有限表示なスキームの圏の極限であり、ここで \(W\) は \(s\) の アフィン開近傍を走る。Lemma 01ZM を参照せよ。 任意のアフィン開近傍(\(s \in W\))について、\(U \cap W\) は、 \(U \to S\) が準コンパクトなので準コンパクトである。 従って \(V = \lim W \cap U\) は準コンパクトかつ準分離的な スキームの極限である (Lemma 01YX を参照)。 従って \(V\) 上有限表示なスキームの圏も、\(W \cap U\) 上有限表示な スキームの圏の極限であり、ここで \(W\) は \(s\) のアフィン開近傍を走る。 これらの結果を組み合わせれば補題は形式的に従う。
補題
Lemma 0BQ5 と同じ記法および仮定を用いる。 \(U \subset U' \subset X\) を \(s\) を含む開集合とする。
同値を通じて、\(f' : X \to U'\) が \(f : X' \to U\) および \(g : Y \to \Spec(\mathcal{O}_{S, s})\) に対応するとする。 \(f\) と \(g\) が分離的、固有、有限、または étale ならば、 \(U'\) を必要なら縮小した後、射 \(f'\) も同じ性質をもつ。
\(a : X_1 \to X_2\) を \(U'\) 上有限表示なスキームの射とし、 基底変換 \(a' : X'_1 \to X'_2\) を \(U\) 上で、 \(b : Y_1 \to Y_2\) を \(\Spec(\mathcal{O}_{S, s})\) 上で考える。 \(a'\) と \(b\) が分離的、固有、有限、または étale ならば、 \(U'\) を必要なら縮小した後、射 \(a\) も同じ性質をもつ。
証明
(1) の証明。\(\Spec(\mathcal{O}_{S, s})\) は \(s\) の \(S\) における アフィン開近傍の極限であることを思い出そう。 \(g\) は問題の性質をもつので、これらのアフィン開近傍の一つへの \(f'\) の制限もその性質をもつ。Lemmas 01ZQ, 081F, 01ZO, および 07RP を参照せよ。 \(f'\) は \(U\) 上で、\(f\) と同じく与えられた性質をもつ。 この性質は基底上局所的に検査できるので、結論が従う。
(2) の証明。\(\Spec(\mathcal{O}_{S, s}) = \lim W\) と書く。ここで \(W\) は \(s\) の \(S\) におけるアフィン開近傍を走る。このとき \(Y_i = \lim W \times_S X_i\) である。従って (1) の証明と まったく同じ議論を用いることができる。
補題
\(S\) をスキームとする。\(s_1, \ldots, s_n \in S\) を相異なる閉点とし、 \(U = S \setminus \{s_1, \ldots, s_n\} \to S\) は準コンパクトであると仮定する。 \(S_i = \Spec(\mathcal{O}_{S, s_i})\) および \(U_i = S_i \setminus \{s_i\}\) と置くと、圏の同値 \[FP_S \longrightarrow FP_U \times_{(FP_{U_1} \times \ldots \times FP_{U_n})} (FP_{S_1} \times \ldots \times FP_{S_n})\] が存在する。ここで \(FP_T\) はスキーム \(T\) 上有限表示なスキームの圏である。
証明
\(n = 1\) の場合、これは Lemma 0BPA である。 \(n > 1\) の場合もまったく同じ仕方で証明できるし、そこから導くこともできる。 例えば \(f_i : X_i \to S_i\) が \(FP_{S_i}\) の対象で、 \(f : X \to U\) が \(FP_U\) の対象であり、同型 \(X_i \times_{S_i} U_i = X \times_U U_i\) が与えられているとする。 Lemma 0BPA により、有限表示射 \(f' : X' \to U' = S \setminus \{s_1, \ldots, s_{n - 1}\}\) であって、 \(X_i\) と \(S_i\) 上で同型であり、\(X\) と \(U\) 上で同型で、これらの同型が 与えられた同型 \(X_i \times_{S_n} U_n = X \times_U U_n\) と両立するものを得る。 次に \(f_i : X_i \to S_i\), \(i \leq n - 1\)、 \(f' : X' \to U'\)、および誘導された同型 \(X_i \times_{S_i} U_i = X' \times_{U'} U_i\), \(i \leq n - 1\) に帰納法を適用できる。これで本質的全射性が示される。 充満忠実性の証明は省略する。
修正への応用
Section 0E8P の結果を用いると、 閉点上でのスキームの修正の圏を局所環によって記述できる。
補題
\(S\) をスキームとする。\(s \in S\) を閉点とし、 \(U = S \setminus \{s\} \to S\) は準コンパクトであると仮定する。 \(V = \Spec(\mathcal{O}_{S, s}) \setminus \{s\}\) と置くと、基底変換関手 \[\left\{ \begin{matrix} f : X \to S\text{ of finite presentation} \\ f^{-1}(U) \to U\text{ is an isomorphism} \end{matrix} \right\} \longrightarrow \left\{ \begin{matrix} g : Y \to \Spec(\mathcal{O}_{S, s})\text{ of finite presentation} \\ g^{-1}(V) \to V\text{ is an isomorphism} \end{matrix} \right\}\] は圏の同値である。
証明
これは Lemma 0BPA の特別な場合である。
補題
Lemma 0B3X と同じ記法および仮定を用いる。 \(f : X \to S\) が同値を通じて \(g : Y \to \Spec(\mathcal{O}_{S, s})\) に対応するとする。 このとき、\(f\) が分離的、固有、有限、étale、そして「さらにここに性質を加える」 であることと、\(g\) がそうであることは同値である。
証明
分離的、固有、整、有限、等であるという性質は基底変換で保たれる。 Schemes, Lemma 01KU および Morphisms, Lemmas 01W4 と 01WL を参照せよ。 従って \(f\) がその性質をもてば \(g\) もその性質をもつ。 逆は Lemma 0EY3 から従うが、 ここで直接証明も与える。すなわち、\(g\) がその性質をもてば、\(f\) は \(s\) の近傍でその性質をもつ。これは Lemmas 01ZQ, 081F, 01ZO, および 07RP による。 さらに \(f\) は明らかに \(S \setminus \{s\}\) 上で与えられた性質をもち、 その性質は基底上局所的に検査できるので、結論が従う。
注意
上の補題は次のように一般化できる。\(S\) をスキームとし、 \(T \subset S\) を閉部分集合とする。開近傍 \(T \subset W_i\) の共終系であって、 (1) \(W_i \setminus T\) が準コンパクトであり、 (2) \(W_i \subset W_j\) がアフィン射であるものが存在すると仮定する。 このとき \(W = \lim W_i\) は \(T\) を閉部分スキームとして含むスキームである。 \(U = X \setminus T\) および \(V = W \setminus T\) と置く。このとき基底変換関手 \[\left\{ \begin{matrix} f : X \to S\text{ of finite presentation} \\ f^{-1}(U) \to U\text{ is an isomorphism} \end{matrix} \right\} \longrightarrow \left\{ \begin{matrix} g : Y \to W\text{ of finite presentation} \\ g^{-1}(V) \to V\text{ is an isomorphism} \end{matrix} \right\}\] は圏の同値である。この結果が必要になったなら、この注意を補題に改めて 詳しい証明を与えることにする。
有限型スキームの降下
本節では、Section 01ZD の主題を、 Section 01ZL で論じた結果の精神に沿ってさらに進める。
設定
\(S = \lim_{i \in I} S_i\) を、アフィンな遷移射 \(S_{i'} \to S_i\)(\(i' \geq i\)) をもつネーター・スキームの有向系の極限とする。
補題
Situation 0CNM のもとで考える。 \(X \to S\) を準分離的かつ有限型とする。このとき、ある \(i \in I\) と図式 [0CNP]\[\begin{equation} \vcenter{ \xymatrix{ X \ar[r] \ar[d] & W \ar[d] \\ S \ar[r] & S_i } } \end{equation}\] が存在し、\(W \to S_i\) は有限型で、誘導される射 \(X \to S \times_{S_i} W\) は閉埋め込みである。
証明
Lemma 01ZG により、閉埋め込み \(X \to X'\) を \(S\) 上で取ることができる。ここで \(X'\) は \(S\) 上有限表示な スキームである。Lemma 01ZM により、 ある \(i\) と有限表示射 \(X'_i \to S_i\) で、その引き戻しが \(X'\) であるものを 取ることができる。\(W = X'_i\) と置く。
補題
Situation 0CNM のもとで考える。 \(X \to S\) を準分離的かつ有限型とする。\(i \in I\) と図式 \[\vcenter{ \xymatrix{ X \ar[r] \ar[d] & W \ar[d] \\ S \ar[r] & S_i } }\] が(0CNP)のように与えられたとき、\(i' \geq i\) に対し、 \(X_{i'}\) を \(X \to S_{i'} \times_{S_i} W\) のスキーム論的像とする。 このとき \(X = \lim_{i' \geq i} X_{i'}\) である。
証明
\(X\) は準コンパクトかつ準分離的なので、\(X \to S_{i'} \times_{S_i} W\) の スキーム論的像の形成は開部分スキームへの制限と可換である (Morphisms, Lemma 01R8)。 従って \(W\) はアフィンで、アフィン開集合 \(U_i\) へ写ると仮定してよい。 この開集合は \(S_i\) に含まれる。 \(U \subset S\) と \(U_{i'} \subset S_{i'}\) を \(U_i\) の逆像とする。 このとき \(U\)、\(U_{i'}\)、 \(S_{i'} \times_{S_i} W = U_{i'} \times_{U_i} W\)、および \(S \times_{S_i} W = U \times_{U_i} W\) はすべてアフィンである。 従って \(X\) はアフィンである。実際、\(X \to S \times_{S_i} W\) は閉埋め込みである。 また、環準同型 \[\mathcal{O}(U) \otimes_{\mathcal{O}(U_i)} \mathcal{O}(W) \to \mathcal{O}(X)\] が全射であることも分かる。その核を \(I\) とする。このとき \(X_{i'}\) は環 \[\mathcal{O}(X_{i'}) = \mathcal{O}(U_{i'}) \otimes_{\mathcal{O}(U_i)} \mathcal{O}(W)/I_{i'}\] のスペクトルである。ここで \(I_{i'}\) はイデアル \(I\) の逆像である (Morphisms, Example 056A を参照)。 \(\mathcal{O}(U) = \colim \mathcal{O}(U_{i'})\) なので、 \(I = \colim I_{i'}\) が分かり、従って \(\colim \mathcal{O}(X_{i'}) = \mathcal{O}(X)\) である。
補題
Situation 0CNM のもとで考える。 \(f : X \to Y\) を \(S\) 上準分離的かつ有限型なスキームの射とする。図式 \[\vcenter{ \xymatrix{ X \ar[r] \ar[d] & W \ar[d] \\ S \ar[r] & S_{i_1} } } \quad\text{and}\quad \vcenter{ \xymatrix{ Y \ar[r] \ar[d] & V \ar[d] \\ S \ar[r] & S_{i_2} } }\] が(0CNP)のような図式であるとする。また、 \(X = \lim_{i \geq i_1} X_i\) および \(Y = \lim_{i \geq i_2} Y_i\) を、 Lemma 0CNQ による対応する極限表示とする。 このとき、ある \(i_0 \geq \max(i_1, i_2)\) と逆系の射 \[(f_i)_{i \geq i_0} : (X_i)_{i \geq i_0} \to (Y_i)_{i \geq i_0}\] で、\((S_i)_{i \geq i_0}\) 上のものであり、 \(f = \lim_{i \geq i_0} f_i\) を満たすものが存在する。 さらに \((g_i)_{i \geq i_0} : (X_i)_{i \geq i_0} \to (Y_i)_{i \geq i_0}\) が \((S_i)_{i \geq i_0}\) 上の逆系の第二の射で、 \(f = \lim_{i \geq i_0} g_i\) を満たすなら、\(f_i = g_i\) がすべての \(i \gg i_0\) に対して成り立つ。
証明
\(V \to S_{i_2}\) は有限表示で、\(X = \lim_{i \geq i_1} X_i\) なので、 Proposition 01ZC により、 ある \(i_0 \geq \max(i_1, i_2)\) と射 \(h : X_{i_0} \to V\) であって、 \(S_{i_2}\) 上のものであり、 \(X \to X_{i_0} \to V\) が \(X \to Y \to V\) と等しいものを取れる。 \(i \geq i_0\) に対して、実線からなる可換図式 \[\xymatrix{ X \ar[d] \ar[r] & X_i \ar[r] \ar@{..>}[d] \ar@/_2pc/[dd] |!{[d];[ld]}\hole & X_{i_0} \ar[d]^h \\ Y \ar[r] \ar[d] & Y_i \ar[r] \ar[d] & V \ar[d] \\ S \ar[r] & S_i \ar[r] & S_{i_0} }\] を得る。\(X \to X_i\) はスキーム論的に稠密な像をもち、\(Y_i\) は \(Y \to S_i \times_{S_{i_2}} V\) のスキーム論的像なので、図式から誘導される射 \(X_i \to S_i \times_{S_{i_2}} V\) は \(Y_i\) を経由する (Morphisms, Lemma 01R9)。これで存在が示された。
一意性を示す。\(E_i \subset X_i\) を \(f_i\) と \(g_i\) の等化子とする(\(i \geq i_0\))。 Schemes, Lemma 01KM により、\(E_i\) は \(X_i\) の 局所閉部分スキームである。\(X_i\) は \(S_i \times_{S_{i_0}} X_{i_0}\) の閉部分スキームであり、 \(Y_i\) についても同様なので、 \[E_i = X_i \times_{(S_i \times_{S_{i_0}} X_{i_0})} (S_i \times_{S_{i_0}} E_{i_0})\] である。従って証明を終えるには、\(X_i \to X_{i_0}\) が \(E_{i_0}\) を経由する ような \(i \geq i_0\) が存在することを示せば十分である。 そのため、\(X \to X_{i_0}\) は \(E_{i_0}\) を経由することを用いる。実際、 \(f_{i_0}\) と \(g_{i_0}\) はともに \(f\) と両立する。 \(X_i\) はネーター的なので、位相空間 \(|E_{i_0}|\) は \(|X_{i_0}|\) の構成可能部分集合である (Topology, Lemma 005L)。 従って \(X_i \to X_{i_0}\) は集合論的に \(E_{i_0}\) を経由する。このことは、十分大きな \(i\) に対して Lemma 05F4 により従う。 そのような \(i\) に対して、スキーム論的逆像 \((X_i \to X_{i_0})^{-1}(E_{i_0})\) は \(X_i\) の閉部分スキームであり、 \(X\) はこれを経由する。従ってこれは \(X_i\) に等しい。実際、構成により \(X \to X_i\) はスキーム論的に稠密な像をもつ。これで証明は終わる。
注意
Situation 0CNM において、Lemmas 0CNN、0CNQ、および 0CNR は、\(S\) 上準分離的かつ有限型なスキームの圏が、 \((S_i)_{i \in I}\) 上のある種のスキームの逆系の圏と同値であることを示す。 ここでいう逆系は、Lemma 0CNQ を (0CNP)の形の図式に適用して得られるものである。 例えば、有限型かつ準分離的な \(X \to S\) が与えられ、 (0CNP)のような二つの異なる図式 \(X \to V_1 \to S_{i_1}\) と \(X \to V_2 \to S_{i_2}\) を選ぶとする。 Lemma 0CNR を \(\text{id}_X\) に二方向から適用すれば、 \(X\) の対応する極限表示は標準的に同型であることが分かる (有向集合 \(I\) を縮小することを除いて)。他も同様である。
補題
Lemma 0CNR と同じ記法および仮定を用いる。 \(f\) が平坦かつ有限表示ならば、ある \(i_3 \geq i_0\) が存在し、 \(i \geq i_3\) に対して \(f_i\) は平坦で、 \(X_i = Y_i \times_{Y_{i_3}} X_{i_3}\) および \(X = Y \times_{Y_{i_3}} X_{i_3}\) が成り立つ。
証明
Lemma 01ZM により、ある \(i \geq i_2\) と有限表示射 \(U \to Y_i\) であって \(X = Y \times_{Y_i} U\) となるものを選べる (ここで \(f\) が有限表示であることを用いた)。\(i\) を大きくすれば、 \(U \to Y_i\) は平坦であると仮定できる。Lemma 04AI を参照せよ。 Remark 0CNS で論じたように、系 \((X_i)_{i \geq i_1}\) を定義するために用いた初期図式を、 \(X \to U \to S_i\) に対応する系で置き換えてよいし、そうする。 従って \(X_{i'}\) は、\(i' \geq i\) に対して \(X \to S_{i'} \times_{S_i} U\) のスキーム論的像として定義される。
\(U \to Y_i\) は平坦であり(ここで \(f\) が平坦であることを用いる)、 \(X = Y \times_{Y_i} U\) であり、さらに \(Y \to Y_i\) のスキーム論的像は \(Y_i\) なので、 \(X \to U\) のスキーム論的像は \(U\) である (Morphisms, Lemma 081I)。 \(Y_{i'} \to S_{i'} \times_{S_i} Y_i\) は \(i' \geq i\) に対して閉埋め込みである。 これは系 \(Y_j\) の構成による。 すると上と同じ議論により、\(X \to S_{i'} \times_{S_i} U\) の スキーム論的像は閉部分スキーム \(Y_{i'} \times_{Y_i} U\) に等しい。 従って \(X_{i'} = Y_{i'} \times_{Y_i} U\) がすべての \(i' \geq i\) に対して成り立ち、 補題は \(i_3 = i\) として成り立つ。
補題
Lemma 0CNR と同じ記法および仮定を用いる。 \(f\) が滑らかならば、ある \(i_3 \geq i_0\) が存在し、\(i \geq i_3\) に対して \(f_i\) は滑らかである。
証明
補題
Lemma 0CNR と同じ記法および仮定を用いる。 \(f\) が固有ならば、ある \(i_3 \geq i_0\) が存在し、\(i \geq i_3\) に対して \(f_i\) は固有である。
証明
Remark 0CNS の議論により、 (0CNP)のような図式に現れる \(i_1\) と \(W\) の選択は、 補題の真偽には影響しない。そこで \(W\) を次のように選ぶ。 まず、閉埋め込み \(X \to X'\) で、\(X' \to S\) が固有かつ有限表示であるものを選ぶ。 Lemma 09ZR を参照せよ。 次に、ある \(i_3 \geq i_2\) と固有射 \(W \to Y_{i_3}\) で、 \(X' = Y \times_{Y_{i_3}} W\) となるものを選ぶ。これは \(Y = \lim_{i \geq i_2} Y_i\) および Lemmas 01ZM と 081F により可能である。 この \(W\) の選択に対して、構成から直ちに、\(i \geq i_3\) のときスキーム \(X_i\) は \(Y_i \times_{Y_{i_3}} W \subset S_i \times_{S_{i_3}} W\) の閉部分スキームであり、 従って \(Y_i\) 上固有である。
補題
Situation 0CNM において、カルテジアン図式 \[\xymatrix{ X^1 \ar[r]_p \ar[d]_q & X^3 \ar[d]^a \\ X^2 \ar[r]^b & X^4 }\] が与えられていると仮定する。ここに現れるスキームは \(S\) 上準分離的かつ有限型である。 各 \(j = 1, 2, 3, 4\) に対して \(i_j \in I\) と図式 \[\xymatrix{ X^j \ar[r] \ar[d] & W^j \ar[d] \\ S \ar[r] & S_{i_j} }\] を(0CNP)のように選ぶ。 \(X^j = \lim_{i \geq i_j} X^j_i\) を、Lemma 0CNR による対応する極限表示とする。 \((a_i)_{i \geq i_5}\)、\((b_i)_{i \geq i_6}\)、\((p_i)_{i \geq i_7}\)、および \((q_i)_{i \geq i_8}\) を、Lemma 0CNR で構成される 対応する系の射とする。このとき、ある \(i_9 \geq \max(i_5, i_6, i_7, i_8)\) が存在し、\(i \geq i_9\) に対して \(a_i \circ p_i = b_i \circ q_i\) であり、かつ \[(q_i, p_i) : X^1_i \longrightarrow X^2_i \times_{b_i, X^4_i, a_i} X^3_i\] は閉埋め込みである。\(a\) と \(b\) が平坦かつ有限表示ならば、ある \(i_{10} \geq \max(i_5, i_6, i_7, i_8, i_9)\) が存在し、\(i \geq i_{10}\) に対して 最後に表示した射は同型である。
証明
Remark 0CNS の議論によれば、 (0CNP)のような図式に現れる \(W^1\) の選択は、 補題の真偽には影響しない。従って \(W^1 = W^2 \times_{W^4} W^3\) と選んでよい。 すると \(X^1_i\) の構成から直ちに \(a_i \circ p_i = b_i \circ q_i\) であり、かつ \[(q_i, p_i) : X^1_i \longrightarrow X^2_i \times_{b_i, X^4_i, a_i} X^3_i\] が閉埋め込みであることが分かる。
\(a\) と \(b\) が平坦かつ有限表示ならば、\(p\) と \(q\) もそうである。これらは \(a\) と \(b\) の基底変換だからである。 従って Lemma 0CNT を \(a\)、\(b\)、\(p\)、\(q\)、および \(a \circ p = b \circ q\) のそれぞれに適用できる。従って、ある \(i_9 \in I\) が存在して \[(q_i, p_i) : X^1_i \to X^2_i \times_{X^4_i} X^3_i\] は \((q_{i_9}, p_{i_9})\) の、射 \(X^4_i \to X^4_{i_9}\) による基底変換であり、 すべての \(i \geq i_9\) に対してそうである。Lemma 081E により、\((q_i, p_i)\) は十分大きなすべての \(i\) に対して同型である。
これは Morphisms, Lemma 01S7、 Topology, Definition 005A、および Schemes, Lemma 01KU から従う。↩︎
このとき \(A\) は離散付値環である。Algebra, Lemma 00PD を参照せよ。 さらに、\(c\) は有限型点 \(s \in S\) へ写り、 \(A\) は \(\mathcal{O}_{S, s}\) 上本質的有限型である。↩︎
このとき \(A\) は離散付値環である。Algebra, Lemma 00PD を参照せよ。 さらに、\(c\) は有限型点 \(s \in S\) へ写り、 \(A\) は \(\mathcal{O}_{S, s}\) 上本質的有限型である。↩︎
Lemma 0GWT により、これは 最初の可換図式を可換にする点線矢印が高々一つであることを 要求することと同値である。↩︎
このとき \(A\) は離散付値環である。Algebra, Lemma 00PD を参照せよ。 さらに、\(c\) は有限型点 \(s \in S\) へ写り、 \(A\) は \(\mathcal{O}_{S, s}\) 上本質的有限型である。↩︎
Lemma 0GWT により、これは 最初の可換図式を可換にする点線矢印の存在と一意性を 要求することと同値である。↩︎